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特集 スクールスポーツ(3)/スクールスポーツ事業トップに聞く

2018年12月17日(Mon曜日) 午後2時47分

〈明石スクールユニフォームカンパニー/営業本部 スクールスポーツ部長 前田 健太郎 氏/「アスリッシュ」新投入/20年は“勝負の年”に〉

  ――来入学商戦に向けての商況は。

 「デサント」は新規採用校が100校以上となり、11月に累計で1800校を超えました。一部のスポーツ専業メーカーの事業縮小の効果が昨年に比べ落ち着いてきましたが、中学・高校などで幅広く人気があり着実に積み上げています。

 昨年末に宇部テクノパークアソートセンター(山口県宇部市)で2次加工施設を拡張し生産性を高め、安定した供給も採用校の拡大につながっています。

  ――11月には各地で総合展を開き、新ブランド「アスリッシュ」を披露しました。

 「アスレチック」と「スタイリッシュ」の二つの意味を込めています。単に体操服というだけでなく、課外活動などの郊外着としても着用できる新たなカテゴリーを意識して開発しました。ウエアはカジュアル、レギュラー、アスレチックの3ラインをそろえ、幅広いニーズにも対応できます。

 軽量で保温性が高いダンボールニットを採用するなど、これまでデサントブランドを培ってきたノウハウを生かし、着用感と機能性の高さを追求しています。再帰反射材を使うなどで安全性の面にも配慮しました。

 展示会では30代、40代前半の先生を中心に自ら着たいという声もあり、総じて好評でした。

 2020年には東京五輪・パラリンピックが開かれ、スポーツ文化に新しい1ページが開かれると思っています。デサントでは五輪の年にちなみ、累計採用2020校の達成も目指しています。アスリッシュのような新しいテイストのスポーツウエアを打ち出し、デサントとの両輪で市場開拓を強めていければ。

  ――10月に始まった卓球のプロリーグ「Tリーグ」で岡山県を本拠地とするチーム「岡山リベッツ」のスポンサーになっています。

 今回の総合展ではリベッツのユニフォームを展示し、関心を持ってもらったようです。卓球では中高生を中心に活躍する選手が増えており、五輪に向け、ますます注目が高まるのではないかと期待しています。

  ――防災先進企業も目指しています。

 学販スポーツでは視認性が高いオレンジ水着の販促に取り組んでいます。ライフセーバーの資格を持った担当者が学校の授業でオレンジ水着を紹介するなど、認知の向上に努めています。

〈トンボ/営業統括本部MD本部 スポーツMD部長 阿部 裕安 氏/「ヨネックス」累計採用千校へ/広がる昇華転写プリント〉

  ――来入学商戦に向けた動きはいかがですか。

 ライセンスブランドの「ヨネックス」、自社ブランドの「ビクトリー」とも新規採用校が約100校獲得でき、計画通り堅調に推移しています。

 ヨネックスは昇華転写プリントでデザイン性を高めたアイテムの販売が増え、2010年の本格販売から累計採用校が千校を超えそうです。

  ――昇華転写プリントの商品が増えています。

 防寒・防風性に優れ、軽量なウオームアップウエアの「ピストレ」も、昇華転写プリントによる多彩なデザインと組み合わせることで、学販だけでなくマーチングバンドやチアリーディングなど、部活動のチームウエアとしても広がってきました。

 ピストレに使っている独自開発素材「ピステックス」では、裏起毛の「ピステックス001W」を投入し、提案の幅を広げています。001Wを含め、撥水(はっすい)や静電防止吸水、寒冷地向け肉厚起毛の4種類をそろえることで、これまで西日本が中心だった販路も北海道の学校でも決まるケースが増えています。

  ――ニーズ拡大で昇華転写プリントの設備増強も必要になってきたのでは。

 美咲工場(岡山県美咲町)に11月、設備を増設しました。裁断機も導入し、来年の入学シーズン前の最盛期までに生産を軌道に乗せていければと思っています。特に部活動向けでは、学販スポーツの採用につながるケースも一部で増えてきました。学校の教員の中には昇華転写プリントに対して強い関心を示すことも多く、商品開発を一段と強めていきます。

  ――今年6月にはスポーツウエアの生産増強のため、トンボ倉吉工房(鳥取県倉吉市)を立ち上げました。

 初年度4万点の生産目標に向け、順調に稼働しています。

  ――学校別注用途への制服ブランド「イーストボーイ」でもスポーツウエアを打ち出しました。

 イメージやカラーなどイーストボーイのテイストを盛り込み、スタイリッシュなデザインに仕上げました。まずは同ブランドの制服を採用する学校へ提案していきます。

  ――今期の見通しは。

 新規採用校の獲得はこれからが追い込みとなります。今期も増収を計画しており、しっかり達成できればと思います。

〈児島/副社長 山本 真大 氏/デザイン、視認性も高める/機能向上の実感で販促〉

  ――2018年12月期のスクールスポーツ事業の見通しはいかがですか。

 今年の入学商戦は全体的に前年より大幅に新入生が少なく、苦戦が予想されましたが、新規獲得校もあり、前期比で横ばいか微増収で推移しそうです。来年は新入生が増える見通しから、来期は何とか増収を確保できればと思っています。

  ――7月に開いた展示会は例年より来場者が多かったようですね。

 2年前から制服、学販スポーツ向けに「安心・安全・愛」をテーマにデザイン性や視認性を高めた商品開発に取り組んできました。今年の展示会ではサブテーマ「タッチアンドトライ」として「触って、試して」みるような点を重視した商品をそろえました。

 展示会を7月の第2週に開いたのですが、後半は西日本豪雨でさすがに来場者が減りました。それでもトータルで見ると前年より増えていました。実際に体験してもらうことに勝るものはありません。

 今回、当社の「コロンバイン」ブランドから“コロラボ”という安全・安心の未来ロボットという設定で親しみやすいキャラクターを登場させました。展示会でキャラクターを使った4コマ漫画によって商品を分かりやすく説明するとともに、カタログへも漫画を掲載して商品を選びやすいように工夫しました。

  ――スポーツでは昨年、東洋紡と共同開発した素材「速衣(はやい)」を使ったウエアを披露していました。

 洗濯、脱水後から着用できるまでの時間が約40分と短く、夜に洗い忘れ、朝洗濯して干しても学校に持って行けることをコンセプトに取り扱いやすさを追求しました。反響が大きく、来入学商戦に向けて販売を本格化していきます。

  ――機能性、デザイン性の両面から新しいウエア開発に取り組んでいます。

 透け防止や通気性、ストレッチ性、防風性、軽量化など既存の商品に比べ機能の向上を実感できる商品が増えてきました。アシンメトリーやデニム調素材によってスタイリッシュなデザインの体操服も開発しています。

  ――安心、安全という視点からの商品開発も強めています。

 再起性反射材を付けるだけでなく、生地の切り返し部分に視認性の高い生地を入れ込むなど、デザインと融合させながら、安全性を高めたウエアの開発に今後も取り組んでいきます。

〈瀧本/執行役員 企画開発部長 寺前 弘敏 氏/独自システムで選びやすく/「ロット」累計採用130校へ〉

  ――2019年4月入学商戦も終盤です。19年6月期のスクールスポーツ分野の業績見通しを。

 体操服はほぼ横ばいになりそうです。自社ブランド「タイガースポーツウェア」は昨年並みで、「ロット」は今のところ前年実績をわずかながら上回るペースです。ロットを扱うようになって約10年が経ち、累計130校にまで増えました。

  ――前期(18年6月期)のスクールスポーツ事業の売上高は前期比1・1%減の8億4400万円でした。

 少子化で生徒数が減少していることに加え、同業他社との競合が激しいためわずかながら減収となりました。

 主力の学生服販売で活用していた「T―PIT(ティー・ピット)」という販売ツールを体操服分野にも導入しています。タブレット端末を使って気軽にデザイン変更などができるシステムで、学校にとっては簡単に希望する商品イメージを作れるため、これまでより選びやすくなりました。

 弊社としては品番の集約につながりコスト面での改善が図れるほか、サンプルを実際に製造するための時間や費用がなくなるメリットがあります。

  ――近年、昇華プリントの体操服が注目を浴びています。

 トレンドの一つとして見ています。弊社も取り扱っていますが、イチ押しという提案の仕方はしていません。昇華プリントが人気を集める背景にはプロスポーツ選手のウエアに採用されている影響でしょう。

 ただ、学校体育衣料には一般のスポーツ選手が着るものとは異なる役割がありますから、安直に取り入れることがいいとは言い難いところがあります。生徒が動きやすいかどうか、保護者に対する価格の問題はクリアされているか、教育現場にふさわしいかどうかといった要素がより重要だと思います。

  ――タイガースポーツウェアや「ミズノ」ブランドの商品の取り扱いなど商品を充実させています。

 自社ブランドではシルエットを見直し、細身にするなど、カッティングパターンを改善しています。女子専用のカッティングも取り入れました。女子高を中心に関心が高く、好評です。ミズノブランドでは体育館シューズや、体育の授業で使うスポーツ用品も販売しています。学校の要望から少しずつ取り扱いアイテムが増えています。

〈ユニチカメイト/社長 清水 義博 氏/2020年に累計150校へ/「プーマ」の採用校拡大〉

  ――2019年3月期の業績見通しを。

 前期の売上高18億円からわずかながら増収増益となりそうです。「プーマ」をはじめとする学校体操服は前年並みですが、一部のユニフォームOEMで生産調整が解消したことが業績に寄与しています。

  ――プーマジャパンと、日本におけるプーマブランドの学校向け体育衣料品類等の販売に関する契約を結んでから4年がたちます。

 累計採用校数は来春で130校となる見込みです。学校体操服売上高に占めるプーマのウエートは約20%になる計算です。価格帯別に「トップ」「ミドル」「ベーシック」と、小学生用の「ジュニア」の4カテゴリーで各1型を展開していましたが、ミドルとベーシックでは2年前に1型追加し2型にしました。

 こうしたバリエーションの充実で、新規採用校が増えています。女子生徒向けのレディースも1型あり、20年から実績になってくる予定です。販売地域も、東京や京阪神などの都心部、東海、東北地域、九州、四国と広がっています。

 プーマでは2020年4月までに、累計採用校150校を目標としており、このペースで行けばおそらく達成できると思います。当社オリジナルブランドの「Uムーヴ」は、新規採用校の獲得に力を入れていることもあって、大きくは減っていません。

  ――来期の方針は。

 少子化の流れで学校は生徒を少しでも多く集めるため、制服や体操服による魅力のアップに力を入れています。スポーツウエアではブランド志向の流れが確実にありますので、引き続きプーマの拡販でシェアアップを図ります。隣の学校と同じ体操服になるのを嫌う傾向がありますが、プーマの採用校はまだ130校と大手に比べれば多くはありません。まだまだ伸ばす余地があります。

 定番商品で性能の見直しを行います。糸使いでユニチカの機能ナイロン糸「ハイグラ」を使うことで吸・放湿性を高めたり、生地を軽量化したり、あるいは透け感を抑えたりといったマイナーチェンジをします

  ――経営課題は。

 コストの上昇です。今期は特に物流コスト上昇がいかんともしがたいため、数%の値上げを実施しました。浸透は容易ではありませんでしたが、なんとかご理解を頂くことができました。ただ、原材料の値上がりも激しくコスト問題は依然として懸念材料です。

〈ギャレックス/スクール営業グループマネージャー 田中 誠一郎 氏/カラフル杢ウエアが好評/「フィラ」採用1200校に〉

  ――2018年6月期の業績を振り返ると。

 2018年入学商戦で自社ブランドの「ギャレックス」を中心に新規校の獲得が200校を上回りました。昨年、一部のスポーツ専業メーカーが事業を縮小したことで、スクールスポーツ市場ではモデルチェンジの動きが増えています。幸い少子化の影響はあまりありませんでした。

  ――19年入学商戦の商況について。

 売上高、営業利益とも前年を上回るペースで推移しています。約270校の新規受注がありました。スポーツ専業メーカーの事業縮小の影響がまだ残っています。

 ブランドごとの新たな獲得数は「フィラ」が100校、「スポルディング」が10~20校、自社ブランドのギャレックスが150校でした。ブランド別の売上高構成率は、ギャレックスが65%、フィラが30%、スポルディングが5%です。スポルディングの累計採用校は80校、フィラは1200校まで拡大しました。

 今商戦ではカラフルな杢(もく)の体育衣料を発売しました。ギャレックスブランドで販売し体育の時間以外、通学や課外活動にもふさわしい商品として打ち出しています。

 学校から昇華転写プリントの要望が増えており、ギャレックスから初めて昇華転写プリントのウエアを1シリーズ投入しました。襟部のファスナーをなくした商品も、軽くて防風性に優れた独自開発のポリエステル100%編み地「ウィンドバスター」使いで売り出し、好評です。昇華転写プリントの反応も良く、今後は徐々に増えていくと感じています。

  ――20年に向けた方針を。

 機能性やデザイン性を高めた新商品の投入で新規校の獲得に力を入れます。特に次の商戦では今年投入した杢素材の商品拡販に期待しています。機能面では引き続き防風性や保温性、蓄熱機能を持ったものの拡販に取り組みます。

 昇華プリントも引き続き提案を続けます。当社は中国の自社工場で昇華転写プリントの設備を持っていますので販売価格に反映できるように生かしたいと考えています。

  ――目下のところ課題となっていることは。

 コストアップが課題です。物流コストの大幅増は即利益の圧迫になりますし、合繊の高騰も懸念材料です。

〈ミズノ/ライフスタイルスポーツ事業部 事業企画2課アシスタントマネジャー 黒田 祐二郎 氏/価格と機能のバランス追求/来期は再び左右対称企画に〉

  ――スクールスポーツウエアの2019年入学商戦の商況はいかがですか。

 18年に比べると売上高、営業利益ともに数%の増加になると予想しています。売り上げ規模は約30億円、体操服(水着含む)が20億円、シューズが10億円ほどです。少子高齢化で、同業他社も新たな打ち出しを強めている中、決して悪くない数字だと思います。

 一部のスポーツ専業用品メーカーが学校体育衣料販売事業の規模を縮小したことは、幾つかの新規案件の獲得につながりましたが、今年の増収増益要因は明確でヒット商品があったからです。

 17年にデビューした商品で当社では「70シリーズ」と呼んでいますが、価格と機能、デザインのバランスの良さが高校向けで好評でした。消臭テープ、吸汗速乾機能は標準装備、ポリエステル100%で、素材に工夫することによりこれまでより軽いことが特徴です。本来、中学向けのシェア拡大の切り札として打ち出したのですが、結果的には高校からの引き合いが多くありました。

  ――中学校向けの市場開拓の現状は。

 着実に進んではいますが、簡単にはいきません。原因は高校より販売価格が低いことや学校周辺の小売店から生徒の手に商品がわたるという流通の仕方の違いにあります。

  ――近年のトレンドについて。

 これまで左右非対称が好まれてきましたが、この流れは一服したとみています。決して終わったわけではありませんが、これまで珍しかったアシンメトリーデザインの認知度が一定まで高まり一巡したというところです。

 そのため20年春入学生向けには再び左右対称の商品「00シリーズ」を提案します。上衣の色はネービーを基調とするタイプから、緑、青、赤を基本色とするカラーベースにします。ボトムスはネービーで統一します。機能面は17デビューの商品がヒットしたため、この機能を基本にします。Tシャツはより透けにくい素材を採用します。

  ――少子高齢化が進む中、体操服市場でシェアをどう高めますか。

 全体では市場は縮小するとされていますが、当社はこれをチャンスと捉えています。子供が少なくなればなるほど、学校はそれぞれの魅力を高めなければ生徒を集められません。そのため、制服や体操服のデザインにも気を配るようになります。そこにチャンスがあります。

 現在の市場は二極化が進んでいるように見えます。極端に価格の低いものか、高くて機能もデザインも優れたものかはっきりと分かれています。当社はスポーツ用品メーカーとしてのブランド力や機能などの強みを生かし、価格に対してそれ以上の高い価値を提供していくことでシェアを拡大させたいと考えています。体操服を通して生徒たちにスポーツを好きになってもらう、そういった体操服を提供していきます。

〈ゴールドウイン/販売2部 スクール販売グループマネージャー 田邉 将伯 氏/学校関係者が「テック・ラボ」見学/「スクリート」採用増える〉

  ――2019年3月期の第3四半期(4~12月)、「スクリート」の採用校数、売上高はどのぐらいになりますか。

 スクリートブランドは、有名私立高校など新規校の採用が増え、若干のプラスになる見通しです。徐々にブランドの認知度が高くなっています。ただ、スクールスポーツ事業全体では、一部チャンピオンブランドの変更などで微減収の見通しです。

  ――少子化が加速する中、19年以降の入学商戦に向けて、どのような戦略を取りますか。

 本店がある北信越地方の新規採用校数5%増を目指しています。スクリートは九つのタイプがあり、大きく三つに分けています。さらに充実したラインアップを目指して新商品の企画開発を進めています。

  ――スクリートの現在のモデルの特徴、強みを教えてください。

 現在のモデルの特徴は、運動性、吸汗速乾、耐久性といった体操服の基本機能と、買い求めやすい価格です。中学、高校からサンプルの引き合いは多く、軽量モデルの「S―BLOCK」は高校での引き合いが増えています。

 夏物商材も一部素材をリニューアルし、デザインや価格を変えずにUVカット機能を付けました。販売店、学校からも好評です。

  ――東京五輪を1年後に控えた2019年は、学校が部活動やスポーツに力を入れることが予想されます。期待感はありますか。

 スポーツ全体は活性化すると思います。ただ学校では部活動の時間短縮などがあり、必ずしも学校現場でのスポーツが盛んになるとは考えていません。少子化の影響で学校の統廃合がある地域もあり、厳しい環境が続いています。

  ――17年11月に、富山県小矢部市に開設した、研究開発施設「ゴールドウイン テック・ラボ」をどのように活用されていますか。

 モーションキャプチャで動作測定を行う運動研究室、人工気象室などを備えたテック・ラボは採用校だけではなく、学校からの見学依頼が多くきており、受け入れています。先生や生徒と直接話す機会も増えているので、今後の商品企画に役立てていきたいと思います。