タイ・クラボウグループ/次のステップ目指す/生産プロセスの革新などで

2019年02月27日(Wed曜日) 午前11時53分

 【バンコク=宇治光洋】紡績のサイアム・クラボウ(SKC)、紡織のタイ・クラボウ(TKC)、染色加工のタイ・テキスタイル・デベロップメント・アンド・フィニッシング(TTDF)で構成するタイ・クラボウグループは、基盤技術の整備や設備更新を生かし2019年度(19年12月期)は生産プロセスの革新や商品構成の高度化に取り組む。

〈改質原料に紡織技術融合/SKC、TKC〉

 SKCはデニム糸が18年度上半期に好調で増収増益だった。TKCは日本向けや内販向けユニフォーム地が堅調に推移し、そのほかの用途も下半期から健闘したことで売上高は前年度比横ばいだった。ただ、売上高の約85%が輸出のため年後半からのバーツ高傾向が利益を押し下げた。

 こうした中、佐野高司SKC社長兼TKC社長は依然として価格競争が激化していることを課題に挙げる。一方でこれまで続けてきた基盤技術の整備や設備更新が進んだことから「生産能力の高度化で“次のステップ”を目指す」と話す。

 特にSKCとTKCが連携して改質原綿に紡織技術を融合させた開発に力を入れる。綿花の可紡性や強力を高める原料加工を利用し、原綿の効率的な利用やのり剤の使用量を削減できる紡績糸の開発などに取り組み、生産プロセスの革新を目指す。改質した未利用綿(落ち綿)を活用した開発も進める。

 販売面では日本向けを中心としたユニフォーム地の拡販とパンツ地などの欧米輸出拡大に取り組む。TTDFの加工を活用した高付加価値テキスタイルを欧米アパレルに既に提案しており、18年度も徐々に成果が出た。

 内販ではSKCのデニム糸をタイの日系デニムメーカーへ供給する取り組みに力を入れる。中国やトルコの紡織一貫デニムメーカーの攻勢にタイの日系繊維企業が連携することで対抗する。

〈コストダウンと環境配慮/TTDF〉

 TTDFは19年度の重点戦略としてSKC、TKCと連携した商品開発の強化とコストダウン、省エネ、省人化のための設備投資に取り組む。

 TTDFの18年度業績は売上高が前年比横ばいも染料やカセイソーダなどの価格上昇の影響が大きく、営業利益は前年を下回った。このため上野秀雄社長は19年度の重点戦略として「コストダウンや省エネ、省人化に直結する設備投資の優先的な実施」を掲げる。

 18年度はオンライン自動測色機導入や薬剤の自動調液設備を更新したが、19年度は晒工程への投資や薬剤制御に自動化などを実施し、生産性を一段と高める。SKCとTKCと連携し薬剤使用量を削減する環境配慮型商品の開発にも力を入れる。合弁パートナーの系列染工場とも協力し、形態安定加工や針布加工による起毛商品の開発なども進める。

 これらの実効性を高めるためにも人材育成を最重視。タイ人技術者を毎年2人のペースでクラボウの徳島工場に出向させる取り組みを継続し、生産現場の技術力底上げを図る。