メーカー別 繊維ニュース

シリーズ事業戦略(7)/シキボウ/上席執行役員 繊維部門長 加藤 守 氏/繊維事業の立て直し急ぐ/付加価値糸で海外市場開く

2019年02月27日(Wed曜日) 午前11時55分

 シキボウは今期、低迷する繊維事業の立て直しを急ぐ。ユニフォーム事業は、引き続きスポーツウエアの要素を取り入れた提案を強化する。中東の民族衣装用生地輸出では、現地の最新のトレンドに合った風合いの新素材を開発中。糸売りは国内市況が依然として厳しいものの、ベトナム生産糸の販売増や国内工場の利益率の改善など復調の兆しが見られる。タイでの高付加価値糸の販売もあと一歩のところまできた。

  ――2018年4~12月期を振り返って。

 繊維事業の業績は減収(売上高168億1900万円、前年同期比3%減)、営業損失(1億9200万円、前年同期は4千万円の黒字)となりました。総じて良くない流れが続いています。

 糸売りは低調ですが、内容は改善しています。昨年よりベトナムで生産した糸の販売が進んでいるほか、富山工場の減価差損が改善しています。グループの新内外綿の産地への糸供給は依然として厳しい状態です。

 中東向けの民族衣装用生地輸出はまだ大きくは回復していません。17年8月ごろ、既に売れ行きの鈍化が進んでいましたが、当時は契約の残りがあったので、数値では表れていませんでした。今期の上半期になって、はっきりと受注減が業績に出るようになりました。当社は中東地域で、特にドバイが主要なマーケットですが、復調にはまだ時間がかかりそうです。

 ユニフォーム分野の素材販売は別注向け、カタログ備蓄メーカー向けともに堅調です。ただ、原材料の値上がりで利益率は低下しています。繊維原料、工場を稼働させる燃料費、染色・加工薬剤の調達費と軒並み高止まりしており、売り先への値上げ交渉も容易には進まないためです。

 寝装・リビング分野も苦戦しています。羽毛の原料高が続いていることで、当社の稼ぎ頭となる高級な“側”の販売の売れ行きがペースダウンしています。

 こうした主要分野の業績悪化は、セグメントごとの対策のみで乗り切れるものではなく、サプライチェーン全体でカバーする必要があります。

  ――来期の方針を。

 中東向け生地輸出の低迷は底を打ったとみています。今年に入って受注が少しずつ増えていますので、来期に向けて徐々に良くなると予想します。加えて、今期の低迷を新たな素材開発のチャンスと捉え、風合いなどで現地の最新のトレンドに合った新素材の開発をこれまで進めてきました。インドネシアの紡織加工場のメルテックスを活用した中東民族衣装の既製服向けの素材も開発中で、来期にはこうした取り組みが実績になることを期待しています。

 ユニフォーム分野は引き続き価格改定をお願いすることと、スポーツとユニフォームの要素の融合を進めます。17年からユニフォームとしてポロシャツ、Tシャツなどのニット製品の販売強化を進めていますが、成果が出ています。昨夏に実績が出たポロシャツのユニフォームへの展開や電動ファン付きウエア用の生地開発もその一例です。カジュアルでも最近は機能を持った生地の需要があるので、抗菌防臭や消臭、吸汗速乾、調温機能などの得意の機能を違う分野に応用することも、新たな需要開拓のためには欠かせません。

 寝装・リビング関連では、成長市場であるリネン資材の販売を強化します。特にホテル業界は東京五輪に向けた新築が相次ぎ、海外からの旅行客が急増したため活況となっています。当然、そこに関わるシーツやタオルなどのリネン業者向けの繊維需要も増えますので、そこを狙ったビジネスを広げます。

  ――今期からベトナムの協力工場、インドネシアのメルテックス、タイのグループ繊維商社、3者の連携を強めています。成果は。

 海外市場への糸売り拡大を狙ってこれまで各拠点のトップが定期的に集まって販売戦略を立ててきました。もうすぐタイ市場で差別化糸の販売が始まるところまで来ています。

 メルテックスで従来製造してきたユニフォーム地用途の汎用糸(ポリエステル綿混糸)の調達をベトナムの協力工場からの輸入に切り替えています。メルテックスでは、徐々に差別化糸を増産しています。これまで複数回に分けて紡績機の設備投資を進めてきたのはこのためです。精紡高撚糸「デュアルアクション」がタイの現地インナーアパレルや日系企業に好評で、あとは本生産を待つのみです。

 ベトナムでは既に高付加価値糸の生産が軌道に乗っています。今後、ベトナムからタイ向けで高級綿100%糸やアクリル混糸といった付加価値糸を輸出できないか可能性を探ります。

  ――来期の設備投資は。

 メルテックスの老朽化対策を行います。タイ向けの差別化糸の販売が順調に進めばさらにダブルツイスターを入れることを検討しています。品質や生産効率向上に向けた投資も欠かせません。織布前の糊(のり)付け機の更新や、並幅の織機を広幅に入れ替える予定で、将来は全て広幅にする計画です。