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シリーズ事業戦略(8)/ダイワボウレーヨン/社長 福嶋 一成 氏/SDGsを重点戦略に/生分解性など軸に輸出強化

2019年02月27日(Wed曜日) 午前11時56分

 「世界的にSDGs(持続的な開発計画)の流れが加速しており、特に欧米はこの傾向が顕著。この流れに乗ることが重点戦略になる」――ダイワボウレーヨンの福嶋一成社長は強調する。環境負荷への配慮からレーヨンなど再生セルロース繊維への注目が高まり、合繊の機能代替や生分解性などを打ち出すことを軸に輸出の強化に取り組む。

  ――2018年度(19年3月期)もあとわずかです。商況はいかがですか。

 上半期は好調に推移していたのですが、8月ごろから潮目が変わりました。明らかに市場に変調が現れています。ちょうどその頃には溶解パルプやカセイソーダといった原料が急騰していたのですが、それに加えて燃料価格も上昇しました。パルプ、カセイソーダの高騰については取引先の皆さんの理解を得て価格転嫁することができたのですが、燃料の上昇分をカバーできず、微増収・減益で推移しています。ただ、原料高騰分の値上げができなければ、今期はさらに大変なことになっていました。その意味で今期は取引先の皆さんに助けられた年だったと考えています。

  ――用途別での荷動きはいかがですか。

 紡績用途は例年並みですが、不織布用は堅調で、販売量も増えています。特に機能レーヨンは国内だけでなく中国や米国などへの輸出が拡大しました。これまで提案を続けていた海外の需要家の間で、ようやく当社の存在が認められ始めました。やはり世界的な環境配慮の流れも要因だと考えられます。従来はポリエステルなど合繊を使用していた用途で、レーヨンなどセルロース系繊維へのシフトが起こっているようです。例えば衛材などで使われる水解紙も従来は強度を確保するためレーヨンにポリエステルを混ぜて製造されていました。しかし、マイクロプラスチックによる海洋汚染が問題となる中で、レーヨンの使用比率が上昇しているようです。

  ――19年度に向けた重点戦略は何でしょうか。

 世界的にSDGsやESG(環境・社会・ガバナンス)を重視する流れが強まっています。特に欧米市場は日本人が想像する以上にこの傾向が顕著。この流れに乗ることが重点戦略になります。例えばマイクロプラスチック問題によって“脱プラスチック”“脱合繊”の動きがあります。もちろん、繊維の世界需要を考えると合繊が全く使われなくなることはありえません。しかし、例えば合繊100%だったアイテムに何%かレーヨンが採用されるだけでも大きな需要になります。こうした需要をどのように取り込むのか。単純に代替するだけでは、コストが高くなってしまうだけです。そこで機能性を持たせることで競争力を発揮することが重要になります。合繊の機能を代替できる機能レーヨンとして、例えば撥水(はっすい)レーヨンなども開発しました。

 洗浄時の水使用量やエネルギー消費の観点から羽毛にも厳しい目が向けられるようになりました。このため羽毛代替として合繊わたの需要が増加していますが、この用途にも機能レーヨンを提案できます。例えばpHコントロールや消臭、吸湿発熱など機能を付与できますから、これで需要を掘り起こす。その他にも染色工程を省くことで水・エネルギーを削減できる原着レーヨンも注目されています。既に中国などから引き合いが増えています。やはり環境負荷低減が大きなポイントになっています。こうした路線で商品を再構築することに取り組みます。

  ――海外市場の重要性が一段と高まりました。

 輸出の拡大も19年度の重点ポイントです。やはり国内市場だけでは限界があります。そして、わた・糸など繊維原料の最大市場は中国を含むアジア地域ですから、日本のメーカーには地の利がある。再生セルロース繊維に限って見ても世界需要は年530万~550万㌧。このうち当社のような特殊品を生産しているメーカーは数社しかありません。世界需要の数%でも、当社だけではまかないきれない市場規模があるのです。ここで勝負するために世界の大手ユーザーとの取引を拡大することが重要です。特に生分解性へのニーズが大きくなっていますから、これを軸に開発を進める。ダイワボウポリテックなどダイワボウグループ内での共同開発にも取り組んでいます。さらに将来を見据えると、使用済み繊維製品をレーヨン原料として再生するといった構想も出てくるでしょう。こうした構想に対してもダイワボウグループ各社と連携しながら取り組みたい。その上でアパレルや流通と組むことも必要になるでしょう。