インド縫製業 エチオピアで商機(後)/コンプライアンス強化で移転加速

2019年03月01日(Fri曜日) 午前11時5分

 関税措置だけでなく、人件費の安さもエチオピアへの投資が活発化している要因の一つだ。業界関係者などによると、エチオピアの縫製工場の給与相場は月40~70㌦と、インドを含むアジアの国々と比べて格段に低い。そのためインド企業だけでなく、欧米のアパレルブランドの下請けを行う中国やトルコ、バングラデシュのメーカーの間でも、エチオピアを代替生産拠点とする傾向が強まっている。

 アービンドのエチオピア法人トップであるラジアールシ・ダッタ氏は、「縫製産業のコンプライアンス関連の規制強化が、エチオピアへの生産移転の動きを加速させている」と語る。

 産業事故の予防を含む工場の安全基準や労働基準の厳格化、賃金基準の上昇などに伴い、インドやバングラデシュ、スリランカにある工場で規制を満たして生産を続ける、または拡大することが困難になってきているためだ。「アジアの縫製工場はかなり老朽化していて、新たな基準に合致する形へとアップグレードするのは難しい。一方、ここエチオピアでは最新の世界基準に沿って、将来的な規制強化も見据えてゼロから工場を建てることができる」とダッタ氏。古くなった自国の拠点を改修・拡張するよりも、賃金水準の低い新天地で最新鋭の工場を新設する方が効率的で、自社の競争力を高めることにつながるという。

 アービンドとレイモンドはそれぞれ、エチオピアでの生産拡大を計画している。PVHやH&Mといった世界のアパレル大手を顧客に持つアービンドは、首都アディスアベバのボレレミ工業団地で2工場、南部諸民族州ハワサのハワサ工業団地で4工場を操業中。ダッタ氏によると、エチオピア政府との間で新工場の設置についても合意済み。オロミア州ジンマのジンマ工業団地で4工場を建設する計画だ。

 2017年にハワサ工業団地で工場を稼働したレイモンドは、今のところ50~60%にとどまっている稼働率を来年までに100%へと引き上げる見通し。フル稼働後には、工場拡張にも着手する。

(おわり)

〔NNA〕