メーカー別 繊維ニュース

事例研究/わが社が届ける繊維の面白さ/宇仁繊維/生地で社会に貢献/作り、売ることが面白み

2019年01月01日(Tue曜日) 午前11時30分

 「自分で生地を作る。その生地をアパレルなどが買ってくれ、最終製品となって消費者の手に渡る。この瞬間が喜びであり、面白み」と話すのは宇仁繊維(大阪市中央区)の宇仁龍一社長だ。衣・食・住の最初に来る言葉である「衣」。この世界に生きる身として、社員たちがこうした喜び、楽しさ、面白みを感じてくれていることが何よりもうれしい。「衣」の一翼を担うことで社会への貢献も果たす。

 同社のビジネスモデルは、国産で生地を作り、国内外に販売するというもの。産地の提携機業や染工場で生地を「作ってもらう」商社機能を原則としながらも、織機や染色機を自ら購入し、提携企業に貸与するという取り組みを進めてきた結果、今ではメーカーとなった。メーカーには、商品を右から左にさばくだけの仕事では感じられないことがある。

 社員は若い女性が多く、女性の平均年齢は28歳。同社では、顧客と相談して生地を企画し、仕入れ先に発注し、販売するという一連の作業は基本的に一人で完結する。企画専任、仕入れ専任、営業専任の職は基本的にはない。「だからこそ面白さが味わえる」と宇仁社長は力説する。

 仕入れ先、販売先がいなければ仕事は成立せず、そこには人との出会いがある。出会いが人を成長させ、それが喜び、楽しさ、面白さにつながる。社員がこの循環の中で成長していく姿を眺めるのが、宇仁社長のライフワークになっている。

 「楽しく仕事をしている人ほど営業数字もいい」そうだ。営業数字がいいから楽しくなるとも言えるが、このサイクルを構築することができれば、成長も止まらない。

 宇仁社長によると同社の社員はよく仕事をする。営業ノルマに追われて忙しいということもあるが、宇仁社長の目には、彼ら、彼女らが仕事を積極的に楽しんでいるように見える。残業が続く社員には「早く帰るように」と指示も出すが、なかなか帰らない人が多い。井戸端会議に花を咲かせているグループの会話に耳を傾けてみると、ファッション談義だったということもよくある。「ファッションが好き、人が好きという人が集まったのが当社」と宇仁社長。そこに面白さが出てくるのはある意味で当たり前なのかもしれない。

 「ファッションは変化がある。だから面白い」とも。トレンドには一定の周期があるが、現代は特にその切り替わりのスピードが速い。売れ筋予測は困難さを増し、ヒット期間も短くなった。メガヒット商品も生まれなくなった。ただ、変化もなく、停滞していれば、そこに面白さはなくなる。変化するから面白い。その変化を察知、感知して生地を作る、あるいは変化を生み出すことが宇仁繊維の役目である。世の中をもっと面白くするために――。