転機を好機に変える PV・MU レビュー⑥

2019年03月05日(Tue曜日)

新規出展者も手応えまずまず

 日本ファッションウィーク推進機構主催の日本コーナー「ジャパン・オブザーバトリー」(JOB)設置10回目の節目となる今回の「ミラノ・ウニカ」(MU)には9社・団体の新規出展者が顔をそろえた。チーム出展がその大多数で、行政などの支援も受けたプロジェクトでの出展、産地団体出展に加わる新顔まで形はさまざまだが、コンパクトな区画に日本テキスタイルの多様性を示したい主催者の姿勢も後押しに、小規模産地メーカーが挑戦しやすい出展環境が整う。

 プロジェクトで参加したのは2者。MU主催者の期待も高かったデニムメーカーの初出展で、会期中来場者が絶えなかった備中備後ジャパンデニムプロジェクト(日本綿布、山陽染工、篠原テキスタイル)に加え、三産地横断プロジェクトのブルールームが参加した。

 ブルールームは尾州の御幸毛織、遠州の成和第一産業、播州の播がコラボ。アウター、パンツ向け厚地、シャツ地など多彩なセルビッヂ生地をそろえ、製品とともに訴求し、高齢化で維持が危ぶまれるシャトル織機の生産背景の国内外へのアピールも目的とする。「狙い通りの商品が評価され、品質面のハードルは越えた」と、昨秋の国内初披露に続く好感触を得た。

 山梨県絹人繊織物工業組合ブースに初参加した渡縫織物は、主力のレディース向けオーガンジーやジャカードなどシルク生地で臨んだ。メンズ主体のMUだが、双方のトレンドコーナー経由のほか、同ブース内の別の出展者を訪れた来場者からも多数のピックアップがあり、「初回としてはまずまずの手応え」と言う。

 ただMUへ9社・団体、「プルミエール・ヴィジョン(PV)・パリ」へ2社という今回の新規出展者数は決して多くない。一時の新規出展機運は落ち着きを見せ、経験を重ねた常連出展者の安定感が目立つ。

 和歌山ニット産地の吉田染工は出展6回目の常連だが今回、産地背景の広がりを示す方向で展示内容を拡充。ブース内にグループの整理加工場、貴志川工業の加工ブランド「綵(あやぎぬ)」加工の丸編み地のほか、連携する産地内ニッター風神莫大小の丸編み地もそろえ、従来のSRY横編み機による織物調ニット地のトップメゾンへの訴求だけでなく、価格・素材両面で対応ゾーンを広げた。

 来場者の性格に加え、プレビュー展拡充や開催時期まで多くの点で対照的な方向性が目立つ両展ともに、この間、出展の敷居は確実に下がった。個々の展示会の来場者や地域性を踏まえて双方に出展するにせよ、自社の個性に合う展示会、シーズンに絞って強みを掘り下げるにせよ、求められるのは、出展機会の一つ一つの「点」を、“らしさ”を掘り下げて、「線」や「面」に展開する戦略的姿勢。常連出展者に限らず、新規出展者もその点は変わらない。

(おわり)