両角みのりのイタリアモードの今 (13)

2019年03月05日(Tue曜日)

19秋冬ミラノコレクション/ストリートからフォーマルへシフト

 2月19~25日、19秋冬ミラノコレクションが開催された。60のショー、81のプレゼンテーションに加え数々のイベントが行われ、合計で173ものコレクションが発表されて、盛況なファッションウィークとなった。

 大手ブランドと新規参加の若手がバランスよく整った顔ぶれとなった。初日に「ベネトン」がミラノ初のランウエーショーを開催し、「ジャン・シャルル・ドゥ・カステルバジャック」とのデビューコレクションを発表。世界から8人のデザイナーを迎え八つのコレクションを提案する「モンクレール ジーニアス」も2年目を迎えた。ミラノ中央駅の広大な車庫スペースを会場に、八つのコレクションそれぞれがテントを張り、その中で新作を披露した。

 注目されたダニエル・リーのデビューコレクションとなる「ボッテガ・ヴェネタ」は平和の門に設置された透明テントの中で発表された。多面体を使用した四角や三角のバッグも目を引いたが、バイカーディールやカッティングに個性が表れたストレートで力強いイメージ通り、若手の顧客が増えることが期待される。

 パリから戻ってきた「グッチ」はオーバーサイズのボクシーなジャケットが特徴的で、これまでよりフォーマルな印象が強い。パンク調のアバンギャルドなアクセサリーを外せば意外に日常でも使えそうなアイテムが増えている。「ヴェルサーチ」は、昨年末にマイケル・コース(現カプリ・ホールディングス・リミテッド)による買収が完了しグループ傘下になって以来、初めて発表するウイメンズのメインコレクションとなった。

 「ジョルジオ・アルマーニ」はブランドの展示スペースであるアルマーニ シロスで開催し、より親密な雰囲気を作り出した。波のように緩やかな輪郭を描いた乗馬ズボンとジャケットや、ベルベットと光沢のある生地とのコントラストや、黒と青の色彩アプローチが素晴らしかった。ジェレミー・スコット手掛ける劇場型ファッションショーが楽しい「モスキーノ」は革新的で、秋冬コレクションを発表するためのクイズをテーマにしたショーイベントを提供した。

 今回のコレクションで最も注目されたのは、ファッション界の帝王、デザイナーのカール・ラガーフェルドの訃報という悲しいニュースだ。「フェンディ」のコレクションは、そのカールが描いた最後のデッザンから作る最後のコレクションとなった。ランウエーの入口には彼自身が書いた「love karl」の文字が掲げられ、ランウエーに描かれた筆記体の新しい「FF」ロゴは1カ月前に発表された19秋冬メンズコレクションから使用し始めたばかりだ。高い襟のシャツに肩が大きく協調されたジャケットは彼のスタイルを彷彿させ、54年にわたりデザインを手掛けてきたカールに対し、ブランドから心からの賛辞が送られた。

 「プラダ」「ロベルト・カヴァッリ」「サルヴァトーレ・フェラガモ」といったミラノ常連ブランドはもちろん、若手ブランドの新規参加も目立ったシーズンだった。今回のコレクションではストリートからフォーマルへトレンドがシフトしていく予感を感じさせると同時に、2面性への変化と革新と、保守的で伝統的な面が現れていたように思う。

もろずみ・みのり 15年前にイタリアへ渡り、建築デザインとファッションを中心とした企業視察や通訳を務める。2016年からImago Mundi代表。