インドネシア日系繊維企業/素材の高付加価値化 進む/内販と第三国輸出が課題

2019年03月05日(Tue曜日) 午前11時0分

 インドネシアの日系繊維企業は、現地生産の高度化を進める。年8%台という高水準の賃金上昇や日本のアパレル市場の不振などを背景に、同国の汎用素材を大量に生産するというこれまでの役割は、いかに適量の付加価値品を割安で作るかという考え方に変化しつつある。将来の日本のマーケット縮小を考えれば、内販市場や欧米をはじめとする第三国輸出をいかに増やすかが今後の課題になる。(橋本 学)

 インドネシアの日系繊維企業の多くは日本向け最終製品の縫製や、そのための素材販売を主力とする。これまでインドネシアは、2億人という豊富な生産年齢人口(15~64歳)や中国に比べれば十分競争力のある人件費を背景に、汎用的な素材を大量に作る拠点として位置付けられてきた。

 ところが、年8%台という最低賃金の上昇や日本の衣料品消費の低迷から、従来の生産の在り方や売り先を見直す企業が増えている。日系の素材メーカーやメーカー系商社では、生産する糸や生地にこれまでよりも付加価値を付ける動きが目立つ。

 シキボウの紡織加工会社、メルテックス(東ジャワ州モジョケルト県)は、これまで生産してきたポリエステル・綿混汎用糸の生産を徐々に減らし、代わりにポリエステル短繊維を綿で包み込んだ2層構造糸「ツーエース」を増産している。

 さらに昨年度から増設するダブルツイスターを使ったツーエースの双糸や精紡高撚糸など糸の付加価値化を加速させる。ターゲットは従来の日本のユニフォームアパレルに加え、ホテルで使われるシーツやタオルなどリネン分野でも供給を増やす。タイ市場に向けた機能糸の輸出も、今年始まる。

 ユニチカの紡織加工会社、ユニテックス(西ジャワ州ボゴール県)はインドネシア国内向けのドレスシャツ地と日本向けのユニフォーム用途の生機輸出が主力。今期(2019年12月期)は苦戦続きの内販シャツ地用途の素材でてこ入れを図る。強みとなるのは芯にポリエステル、外側にコットンという2層構造糸「パルパー」だが、綿の代わりにレーヨンを使った素材やスラブ糸やミスティヤーンといった特殊糸を使ったドレスシャツ地も開発し、昨年末に現地アパレルで採用が決まったという。

 メーカー系商社でも、日本で培った独自の技術を強みにした素材の付加価値化が顕著になっている。帝人フロンティアインドネシア(ジャカルタ市)は、帝人の技術者が現地で監修する独自の素材開発を強める。現地の協力縫製工場と製品まで一貫生産できる体制を構築し、日本向けだけでなく、インドネシア内販、さらに海外の帝人グループとも連携し欧米向けにも生地を売り込む。

 インドネシア東洋紡グループで、編み立て・染色加工を手掛ける東洋紡マニュファクチャリングインドネシア(TMI、西ジャワ州カラワン県)は、日本のマザー工場との連携を強め、現地でのニット素材開発に力を入れる。アパレルだけでなく資材用繊維素材の供給量拡大にも取り組み、20年3月期には現在の構成比率10%程度から倍の20%まで引き上げる計画を進める。東洋紡インドネシア(TID、同)は得意のビジネスニットシャツの現地ブランドへの販売増や欧州輸出を模索する。