進撃のステージへ  メーカー系商社のいま⑧

2019年03月06日(Wed曜日)

ニッシントーア・岩尾 「原点回帰」で糸開発

 ニッシントーア・岩尾の森茂則常務執行役員は、「メーカー系商社としての地位を確立したい」として改めて素材開発に力を入れる考えを示す。親会社である日清紡テキスタイルとの協業を強めて糸からの差別化開発を進めるほか、「これがないと生き残れない」として、輸出や自主販売にもトライする。

 2018年12月期は決算期の変更によって詳細比較は困難ながら、売り上げ、利益ともに前期を下回った。特にアパレル向けが苦戦。仕入れ先、販売先ともに先方の事業撤退や倒産などが相次ぎ、業績に響いた。

 スポーツ関連は堅調だった。ただしそれも、大口納入先の事業撤退が確定しており、それを見越した“駆け込み需要”だったことから今期以降は厳しくなるという。

 ウール商材をメインとする中東向けは米国との関係悪化などを背景に主力のイラン向けが低迷し苦しかった。寝装向けは計画通りの推移だった。

 今期以降は改めて素材開発に力を注ぎ、反転を期す。「原点回帰」としてとりわけ糸からの差別化に注力。麻やウールを芯に綿でカバリングした糸を、国内紡績との協業によって開発したのも同方針の一環。設備を持たない商社ながらも「開発段階から介在していく」ことで独自性を発揮し、その開発商材を販路開拓につなげる動きを強めている。

 日清紡テキスタイルとの連携強化も商品開発のテーマ。その商材の一つが綿スパンレース不織布「オイコス」。月に2度のペースで日清紡テキスタイルと会議を重ねて商品開発、用途開発の可能性を探っており、今後は商社ならではの機動力や柔軟性を発揮して不織布分野の開拓を狙う。スパンデックス「モビロン」はインナーなどでの採用が進んでいると言い、液体アンモニア加工による差別化商材も、生地売り、製品売りの両方で進展が見られると言う。

 堅調だったものの今後の大きな落ち込みが確実視されるスポーツ分野では、「新規開拓が肝」として販路開拓を続けるほか、日清紡テキスタイルが行う生地販売の商権を、同社が介在することによって縫製品納入に切り替えるなどの取り組みを進める。

 将来の国内市場縮小に備え、輸出拡大にも本腰を入れる。製品販売を、タイ法人の活用などで模索するほか、徐々に実績を積む欧米向け生地販売も商品開発と提案強化によって伸ばす。

(おわり)