「リテール20/20フォーラム東京」から(前)

2019年03月11日(月曜日)

デザイナーのフィリップ・リム氏/想定外を売る経営トップの美意識

 ルミネ(東京都渋谷区)が主催する小売りフォーラム「リテール20/20フォーラム東京」(協力=米WWD)がこのほど都内で開催された。国内外から多彩なゲストスピーカーを迎え、有力ブランドを構築している経営トップやファッションデザイナーが自身のアイデアを披露。来場者とともに、激変するビジネススキームに対応する術を議論した。

 ニューヨークから来日した「3・1フィリップ・リム」デザイナーのフィリップ・リム氏と、同ブランドのウェン・ゾウCEO(最高経営責任者)は、ファッションビジネスの可能性に言及した。リム氏は冒頭、「これまで直感で仕事をしてきた。つまり成長戦略をベースにしたビジネスをしていない。行動パターンはローカルだし、どちらかと言えば古いタイプの人間」と自己分析した。

 投資家と綿密なスキーム作成し、着実にブランド売上高を拡大している印象もあったが、自身はアナログ感覚の持ち主であることを語った。「卸事業は注意深く見ている。ユーザーはショップを旅する中で好きな商品を見つける。店舗での経験が上顧客の獲得につながるから」と同氏は同氏は続けている。

 ビジネス面を支えるゾウCEOも「小売業のバイヤーは常に新しいモノを求めるが、(その商品が)消費者の嗜好(しこう)に合致するかは分からない。私は経営の経験がなかったので、手探りでブランドを運営してきた。リムが直感という言葉を使ったが、私も同様の考えを持っている」と話した。

 同フォーラムには、日米の小売業やアパレル企業の経営トップが顔をそろえたが、登壇した2人は経営トップの美的感覚を磨くことの重要性を語っている。「センスの良いモノを並べることも必要だが、想定外のデザインを展開することも重要。想定外が売れ筋になることもある。そこがファッションビジネスの面白いところ」とリム氏はまとめた。

 一方のゾウCEOは「現在はサステイナビリティー(持続可能性)の観点を学んでいる最中。自分たちだけではなく、中国にある縫製工場や素材調達にも関わる話なので、責任は重大だ。クリエーションでアップサイクル(リサイクルではなく、デザインを加え元の製品よりも価値の高いモノを生み出すこと)という方法もあるので、リムと話を詰めていきたい」と語った。