糸から見る潮流/第16回ジャパン・ヤーン・フェア③

2019年03月11日(月曜日)

あの手この手で苦境打破

 JYは愛知県一宮市で開催されているため、当然、尾州産地からの出展企業は多い。尾州は意匠糸を手掛ける企業が集積しており、多種多様な糸を供給する。ただ、近年は意匠糸や手芸糸の販売は低迷しているのが現実。出展した意匠糸メーカーからはさまざまな声が聞かれた。

 ¥文字('捲'+jp78)春(一宮市)はさまざまな形状の特殊意匠糸を約100種類展示した。顧客からの要望やニーズを吸い上げ、イメージ通りの意匠糸を作り上げることにたけている。ただ、担当者は「今はファンシー系の商品がお呼びでない」とこぼす。ヒノキや天然鉱石などを使い機能性を高めた糸も併せて展示した。

 「ストレート系の糸を求める来場者が多かった」と明かすのは近藤(同)。会期中で人気だった商品の一つが和紙とポリエステルを撚糸した抄繊糸。ストレッチ性も付与して機能性を高めており、使いやすさにこだわった。ほかにもエコファーやオーガニックコットン、再生ポリエステルなどサステイナビリティー(持続可能性)を打ち出した商品もそろえた。

 和紙を使った商品が人気だった企業はほかにもある。青山繊維加工(同)は細幅にカットしたスリット状の和紙を、滝善(同)は美濃和紙使いの「ネロ」や「ミギー」をそれぞれ出品。シルクを得意とする長谷川商店も「和紙の引き合いは多かった」と語った。

 リリヤーンを手掛ける高田編物/アミぅ(同県江南市)は自社のオリジナル設備と技術力を生かして作った商品をそろえた。いずれも特殊な形状や構造が特徴で“奇抜さ”が売り。今後は輸出にも力を入れる方針と言う。

 尾州では最終消費者にネットで意匠糸や手芸糸を販売する動きも見られるほか、衣料向けだけでなく資材向けに提案を強める企業もある。小笠原(一宮市)は「インテリアなど新しい販路を開拓していきたい」と意気込む。