糸から見る潮流/第16回ジャパン・ヤーン・フェア⑤

2019年03月13日(Wed曜日)

新素材求める声多数

 一宮地場産業ファッションデザインセンターの来場者アンケートでは、「ジャパン・ヤーン・フェア」(JY)の来場目的として「新しい素材を求めてきた」という声が多かった。企業側も展示会に合わせて新作の糸を発表することは多く、今展でも多数の新商品が見られた。

 大垣扶桑紡績(岐阜県大垣市)は、カチオン可染ポリエステル短繊維とウールの混紡糸「ルミレットウール」とスパンデックスの芯鞘2層構造糸を新提案した。鞘部分のカバー率が95%以上(通常の交撚糸は約70%)と非常に高いのが特徴。来場者の関心は高く、「高性能繊維による2層構造糸ができないか」などの要望があったと言う。

 同社と共同出展した丸一繊維(新潟県糸魚川市)は、ナイロン66の100%による「ボルテックス」糸をアピール。伸度があるナイロン66短繊維をボルテックス糸にするのは難度が高い。「ホールガーメント」製品で提案し来場者から好評だった。

 北洞(京都市)は、撚糸した銅線をリリヤーンにした新原糸を使った横編みのワンピースを初披露。銅線は金網フィルターの残線で、再生率も高いことからサステイナビリティー(持続可能性)素材としても打ち出したが、ウエアラブルとしても関心が高かった。

 ほかにも前多(金沢市)は、サイド・バイ・サイド糸によるウールライク織物「リッチ」を新提案。旭化成アドバンスは、三菱商事ファッションから1月に事業継承した輸入綿糸や水溶性繊維「ソルブロン」を使用した綿中空糸などを初披露し、それぞれ人気を集めた。豊島は19秋冬向け投入のウールライクなポリエステル長繊維「ウールナット」が好評だった。

 さまざまな新商品があった一方で、「今年の新作はない」とする企業も少なからずあった。ある企業は「新しい糸の機械も出てこない中で、新作の開発はなかなか難しい」と指摘する。(おわり)