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特集 ボディー&レッグファッション(1)/商品力で購買意欲高める/市場にないアイテムを

2019年03月18日(Mon曜日) 午後4時5分

 アウターなどと比べると安定しているといわれるボディー&レッグファッション市場。しかしながら18秋冬は盛り上がりに欠け、メーカー各社は「厳しい状況」と声をそろえる。19年も市場を取り巻く環境が劇的に好転する要因は少なく、購買意欲を高める戦略が不可欠だが、各社は“市場にない”商品の打ち出しを強めており、19春夏の動向に耳目が集まる。

 「下着ブランドの立ち上げを検討しているが、ロットや価格を知りたい」――インナーのOEMを手掛けるメーカーに問い合わせが入った。尋ねてくるのは決まって異業種やクラウドファンディングで資金を調達した個人(デザイナーら)。そのメーカーは「満足できる下着が市場にないということを示しているのかもしれない」と話した。

 確かに下着・靴下に対する消費者の満足度が低下している可能性は否定できない。インナー市場をけん引してきたリラックス系商品(ノンワイヤーブラなど)は定着しつつも一服感が見られ、あるメーカーは「買いたいと思ってもらえる商品が減っている」と指摘する。ただ、厳しい環境下で健闘するブランドや商品も多数存在しており、需要のさらなる喚起は各社の提案が鍵を握る。

 19春夏の提案でポイントの一つとされているのが猛暑への対策で、特にレッグウエアでそうした流れが顕著となっている。面白いのがはくことで涼しさが感じられるストッキング。アツギが「アスティーグ【冷】」を発売し、福助も「fukuske」ブランドで商品を投入する。ナイガイは、はき心地にこだわった商品の打ち出しを強める。

 インナー・肌着関連では快適カテゴリーが引き続き一定の割合を占めると予想されるが、ボディーメークも脚光を浴びる。特にガードルが注目アイテムで、ワコールの「スハダ 肌リフト ステップ」やフジボウアパレルの「BVDレディース上げパン」に視線が集まる。トリンプ・インターナショナル・ジャパンは19秋冬からガードルの新ブランドの展開を予定している。

 19春夏シーズンの販売について、多くのメーカーが「18春夏を上回る計画」を立てているが、ゴールデンウイーク(GW)の10連休がそれに水を差す可能性がある。「旅行に行く人が増えれば、GW期間中に百貨店や量販店に足を運ぶ人が減る。その分、モノが売れなくなる」と危惧する。

 10月には消費税増税も控える。前回(2014年4月)の増税時と時期や増税幅が違うこともあってそれほど大きな影響はないと言われているが、ある程度の駆け込み需要と反動減は起こるとみられる。中には「駆け込み需要がなく、(増税で)消費意欲だけが減退してしまうのが怖い」と警戒感を強めるメーカーもある。

〈ワコール「ワコール」/執行役員 卸売事業本部ワコールブランドインナーウェア商品統括部長 岡本 克弘 氏/他社との違い明確に〉

 18秋冬(7~12月)は大幅な伸びはなく、ほぼ前年並みでした。ワイヤーブラの主力商品やハーフトップの「ゴコチ」は堅調に売り上げを伸ばした半面、保温機能のあるニット肌着は苦戦を強いられました。

 暖冬が主な要因です。これまでの温かいというアピールだけでは売れないようになっています。パターン、フィッティング、素材、新機能など、他社製品と比べたときに、温かいという要素以外の強みをいかに打ち出すかが重要です。

 ブラジャーに関しても同様で、ノンワイヤーが近年、急速に普及しました。ワイヤーがない、着け心地が楽で快適という商品がもはや当たり前になっています。今年はそういった商品との違いを明確に出していくことが求められます。

 19春夏では前年に投入した「スハダワン」をリニューアルします。胸の中央のマイクロフレームをより小さくしなやかにしました。これまでより楽な着け心地で、立体感のある美しいバストラインを実現します。

 19秋冬では発売以来、順調に売り上げを伸ばしているゴコチから、価格を据え置いた上で、より機能が充実した新商品を投入します。

 若年層の認知度が低いガードルのてこ入れ策も考えています。

〈ワコール「ウイング」/卸売事業本部 ウイングブランドインナーウェア企画商品部 辻本 浩司 氏/シンクロブラで攻める〉

 18秋冬(2018年7~12月)は酷暑で序盤にブラジャーで苦戦し、終盤は暖冬で保温ニット肌着が不振でした。しかし、最終的には前年同期を上回る数値になりました。

 不振分野をカバーしたのが、「デイト」ブランドのノンワイヤー「シンクロブラ」です。動きにフィットしてずれにくい商品です。計画では10万枚を目標にしましたが、結果的には、15万枚という大ヒット商品になりました。

 もう一つ売り上げを拡大させたのがガールズブランド「プリリ」から発売した「ノン!PK」パンツです。パンツのくい込みが気になるという学生の悩みから生まれた商品で、出荷ベースで20万枚を達成しました。

 19春夏はシンクロブラをレース使いにしてデザイン性を高めた商品を投入します。テレビCMを使いプロモーションも強化します。ニット肌着では、綿使いを強調した商品を展開します。「綿の贅沢」はその一つで肌触りが良い、洗濯後も型崩れしにくい、速乾性があるといった綿の良さと取り扱いやすさをアピールします。

 プリリには猫の足型を模したかわいらしいパッドを入れたブラジャーを新たに加えます。かわいいだけのパッドというわけでなく、科学的な根拠に基づいた若い世代のバストの形を整える効果があります。

〈グンゼ/レディスMD部長 千葉 あゆみ 氏/完全無縫製を拡充〉

 レディースの18秋冬(7~12月)は前年実績並みのほぼ横ばいです。18春夏は堅調でしたが、秋冬は暖冬の影響がありました。「トゥシェ」「キレイラボ」が前年実績を上回る実績で動いています。レディースの今期の業績は前期を上回ると見込んでいます。

 18秋冬は例年10月下旬に店頭需要の高まりが見られますが、今年はその盛り上がりがありませんでした。冷え込みが遅かったため、実需に合わせて動くEC(電子商取引)に店頭需要が移った可能性があります。

 19春夏から秋冬にかけてはレディース、メンズともに当社の強みであるインナーパーツの接着技術で縫製を無くした完全無縫製の商品を強化します。秋冬では無縫製による肌触りの良さに加え保湿・美容成分など温かさプラスアルファの訴求に力を入れます。「アディダス」ブランドのスポーツテイストの商品も春夏から強化しており売り上げ拡大が期待できます。

 レッグウエアの18秋冬は、リニューアルした「サブリナ」ブランドのストッキングやレギンスが堅調な半面、多足組タイプのタイツが苦戦しました。レギンスは、今秋冬まで底堅く売れると予想し、季節ごとの機能などの付加価値化を図って拡大を目指します。

〈トリンプ・インターナショナル・ジャパン/トリンプコア&サブブランド マーチャンダイジング シニア・マネージャー 村井 容子 氏/チャレンジングな1年に〉

 ランジェリー・ファンデーション、肌着を含めた婦人インナーマーケットは縮小傾向にあります。そうした状況でもノンワイヤーブラジャーは伸びを示し、ブラジャーの約6割(枚数ベース)がノンワイヤーと推計されています。SPAの台頭を許し、その分だけナショナルブランドが苦戦を強いられています。

 ノンワイヤーブラは品ぞろえの一つとして展開しますが、私たちに求められているのは「天使のブラ」や「恋するブラ」に代表されるボディーメークの商品だと認識しています。

 ただ、「デザインが同じで目新しさがない」という反省点もあり、19春夏はデザインに変更を加えています。

 新しい世代に受け入れられるテイストを加味しましたが、今回ほどの大きなデザイン変更は久しぶりです。とてもチャレンジングな取り組みになりますが、デザインレベルは高く、「いける」と自信を持っています。

 そのほかにもさまざまなチャレンジがあります。その一つがこれまで品ぞろえが少なかったガードルの強化です。19秋冬からになるのですが新ブランドを立ち上げ、ミディアムパワーとスムージングの2軸で展開します。ニーズは把握できており、需要の取り込みは可能と思っています。

〈フジボウトレーディング/企画部 長谷川 祐美 氏/市場にない商品を投入〉

 婦人インナーの18秋冬の市場は決して良くありませんでした。着用快適性をうたった商品は底堅い需要があるのですが、全体として消費者に「買いたい」と思ってもらえるようなアイテムがなかったのが大きかったと感じています。そのような中でも「BVDレディース」は健闘を見せ、17秋冬を上回ることができました。

 市場が盛り上がりを欠く中、店頭は新しいアイテムよりも、実績のある商品で売り上げを確保する傾向を強めています。このためBVDレディースの19春夏は人気シリーズの「涼ブラ」の幅を広げます。プリントやレースでランジェリーっぽい見た目を持つ商品を打ち出すほか、訴求方法にも工夫を施します。

 新商品では、軽くて通気性のある高機能モールドカップで簡単に奇麗なバストラインが作れるブラジャー(ハーフトップ)「軽美」を提案します。ソフトな身生地を使用しているので全体を軽やかに包むほか、吸水速乾加工も施しています。大手が手掛けない商品、市場にない商品を訴求して需要喚起を図ります。

〈アツギ/繊維事業本部 マーケティング部長 井上 優哉 氏/楽しめる商品そろえる〉

 レッグウエア市場は18春夏から勢いを欠いた状況が続き、18秋冬も盛り上がりませんでした。猛暑と暖冬、自然災害というマイナス要因があったほか、インバウンドも一巡しました。当社はプレーンストッキングが比較的健闘し、スポーツソックスもプラスになりましたが、タイツ類の落ち込みをカバーできませんでした。

 需要喚起を図るため、レッグファッションを楽しんでもらえる商品を積極的に提案します。春夏の新アイテムでは「アスティーグ【冷】」を打ち出します。旭化成と一緒に企画した商品であり、「着用することで涼しくなる」という機能を付与しました。5千店舗での展開が決まり、ヒット商品となる予感があります。

 「アツギ・ザ・レッグバー」は、臭いや滑るといった悩みに着目し、光触媒加工によって消臭機能を施したストッキングなどを新発売します。

 消費者とのタッチポイント拡充の一環として、アスティーグや「エクスエール」などでフェアを開催するほか、「フルサポーティストッキング」の40周年フェアも実施します。

〈ナイガイ/取締役兼常務執行役員 谷 知久 氏/消費者が求める価値提案〉

 18秋冬のレッグウエア市場は、10月以降に失速しました。パンティーストッキングの苦戦が目立ちましたが、クリアランスセールを含めて回復することがありませんでした。当社のレッグウエアの販売(百貨店販路)については、紳士は健闘しましたが、婦人は17秋冬の実績に届きませんでした。

 厳しい中でも日本製や素材がしっかりしている商品は価格が高くても比較的堅調な動きを見せました。安さだけの商品は魅力がなくなりつつあると言え、19春夏ははき心地にこだわったソックスやスポーツを切り口にしたアイテムを投入します。レギパンもラインアップするなど、消費者が求める価値を提案します。

 レッグウエア市場は、2月までは昨年後半からの流れを引きずったままの状態です。3月の動きが低調だった場合、4~6月も盛り上がりに欠ける可能性もあり、レギパンや「ハッピーソックス」などでプロモーションを仕掛けて需要喚起を図ります。

 コトの提案を行う「ナイガイ『足の駅』」についても出店に向けて準備を進めている段階です。

〈福助/経営企画本部ブランドマーケティング室兼広報・IR室室長 斎藤 誠矢 氏/機能とファッション融合〉

 婦人のレッグウエア市場は冷え込んだ状態が続き、あくまでも個人的な意見ですが、何も手を打たないと年率数%でシュリンクしていくのではないでしょうか。買い控えというか、無駄なものは買わない傾向が強くなっており、購買意欲を高めるための仕掛けが必要になると考えています。

 その仕掛けの一つが機能とファッションの融合であり、19春夏では暑さ対策機能に焦点を当てます。「fukuske」ブランドから旭化成の「クールエナジー」を使用して暑い日でも快適なストッキングを打ち出すほか、サンダルなどに最適なつま先オープンタイプのストッキングを展開します。

 比較的堅調な動きを続けているソックスでは、「ハニカム状メッシュ」編みを採用することで通気性を高めたシリーズ、サラサラ感を高めたソックス、特殊撥水(はっすい)加工を施した「プルーフ プラス」を表糸に使ったアイテムなどをそろえています。

 販促活動では店頭POPを強化する方針で、「満足」ブランドのストッキングで破れにくさを分かりやすく訴求します。

〈岡本/「ココピタ」から新提案〉

 岡本(大阪市西区)はマーケティングを重視した商品開発を強める。ターゲットとする消費者ニーズを的確に把握し、それに応える商品を効果的にアピールすることで業績拡大を目指す。

 19秋冬は、ヒット商品として定着した自社ブランド「脱げないココピタ」「スーパーソックス」「靴下サプリ」「はくらく」「くろぱん」「モイソク」の6ブランドを中心に新商品やリニューアル商品を投入する。

 好調の脱げにくいフットカバー、ココピタは今春にテレビCMを使ってプロモーションを強化する。さらに、新たにタイツの中にフットカバーをはくというスタイルを提案し、そのための商品「脱げないココピタタイツイン」を開発した。保温効果の高さをアピールする。

 靴下サプリでは冷え対策靴下「まるでこたつシリーズ」をリニューアルする。ふくらはぎのチクチクする感じや毛玉のできやすさ、破れやすさという従来商品の課題を改良した。素材にはマイクロファイバーアクリルを使用し肌触りもこれまでより柔らかくなった。

〈チュチュアンナ/スポーツブランドが登場〉

 チュチュアンナは今月、スポーツブランド「チュチュアンナスポーティ」を立ち上げた。ブランドロゴマークも新たに作成し、3月末には全国に70店舗で販売する計画。東京五輪に向けスポーツブームを取り込む。

 これまでスポーツテイストの一部の商品は、仕入れ販売で対応してきたが、初めて自社で一連の商品シリーズを開発した。靴下、インナー、Tシャツなどを展開する。かわいい意匠性と軽いスポーツに最適な機能、快適性を併せ持つ。

 スポーツブラでは「アクティブホールドタイプ」と「リラックスホールドタイプ」の2種類を投入する。ともにYバックスタイルで動いても肩部分がずれにくい設計。

 アクティブは左右分離型のカップを採用し、カップは本体と一体化した構造。本体にはストレッチ素材を使用し、動きにフィットするのが特徴。価格は1790円。

 リラックスは左右一体となったピーナツ型のパッドを採用し、活発な動きでもバストが揺れにくい。カットオフ素材を使い、肌当たりの良さにもこだわった。2800円。