メーカー別 繊維ニュース

不織布新書19春(3)

2019年03月20日(Wed曜日) 午後4時5分

〈東レ・不織布事業部/年商1000億円に拡大/長短総合不織布メーカーに〉

 東レはグループで展開する不織布関連ビジネスの年商を2019年度末で1千億円に引き上げる。短繊維不織布の原反販売も目指しており、「世界で唯一の長短総合不織布メーカーを目指す」との意欲を示す。

 同社は紙オムツ向けのポリプロピレン(PP)スパンボンド、工業資材向けのポリエステルスパンボンド、PPS繊維「トルコン」による不織布などを展開する。

 ファイバー部門が不織布向けの原料売りを、水処理・環境事業本部がエアフィルターユニットを展開するなど幅広く不織布事業に取り組んできた。

 主力のPPスパンボンド(SB)では、世界3極(中国・韓国・インドネシア)による年産17万1千トン体制を構築。中国・仏山やインドでの拡大投資を計画通りに進め、インドが立ち上がる20年4月に世界4極による同20万9千トン体制へと引き上げる。滋賀事業場には次世代型PPSBの開発設備を導入しており、高機能PPSBの具体化を急ぐ。

 一方、短繊維不織布を原反で販売するため、日本バイリーンと連携。吸音材、遮炎材などをターゲットとする共同開発を強化している。

 ナイロンナノファイバー使いで吸音材を開発。自動車メーカーなどからは「そこそこの反響が得られている」と言う。

 遮炎材では、トルコンとポリアクリロニトリルによる耐炎化糸で「ガルフェン」を開発。スポットではあるものの航空機シート用クッションの保護材向けに販売をスタートさせた。

 短繊維不織布では、既存商材の置き換えではなく「ハイスペックの高次加工品で新しいサプライチェーンを構築したい」と考えている。

〈東洋紡/「コスモフレッシュNANO」拡販/NETIS登録で弾みつける〉

 東洋紡のスパンボンド事業部は重金属イオン吸着シート「コスモフレッシュNANO」の拡販に取り組む。

 2017年度後半にテストセールを始め昨年、小規模ながら本格販売に移行した。

 「思っていた以上に需要がある」とみており、19年度からリニア中央新幹線の建設工事が始まるタイミングに合わせ販促を加速する。

 同素材は重金属イオン吸着剤をコーティングしたポリエステルスパンボンド。トンネル工事などで発生した土砂(残土)から有害な重金属イオンを含んだ水が流れ出ることがあり、この水から重金属イオンを吸着し土壌汚染を防止する。

 昨年12月にNETIS(新技術情報提供システム~公共工事等で活用する新技術をまとめたデータベース)に登録されて以降、「引き合いが増え始めた」と言う。

 今年は品川~名古屋で、着工が遅れていたリニア中央新幹線の工事が始まり、大量の残土の発生が見込まれている。このため、持ち運びが容易で施工も簡単といった同素材の特徴も合わせて売り込み、普及・浸透につなげていく。

〈ユニチカ/スパンボンド機能品拡充/コットエースで増設検討〉

 ユニチカは2017年度から19年度までの中期3カ年計画を進めており、主力のスパンボンドではグローバル化を推進。タイの子会社・タスコとの連携を強化し、40%まで引き上げてきた海外販売比率を「早急に50%台に乗せる」との方針を掲げている。

 強力や通気性、消臭性能、抗ウイルス性能といった機能性を特徴とする原反のラインアップを充実させ、スパンボンド全体の高機能化に取り組んでいく。

 タスコでは、このほど自動車内装材、外装材向けの商材を開発。日本にも輸入し、両用途に売り込んでいく。

 コットンスパンレース「コットエース」では、湿潤養生シート「アクアパック」を開発。非透水性ポリエステルフィルムを貼り合わせた2層構造により、表面に貼り付けることでコンクリートの高品質化、構造物の高寿命化につなげられるという。

 コットエースは既に、垂井工場に構える年産5千トンの設備をフル操業させている。このままでは品不足に陥りかねないため、増設を検討し始めた。丸三産業との合弁でUMCTを設立しており、ここへの新設備導入に意欲を示している。

〈フロイデンベルグ・スパンウェブ・ジャパン/余裕生かし開発推進/18年は7%の増販〉

 独フロイデンベルググループ傘下のフロイデンベルグ・スパンウェブ・ジャパン(大阪市中央区)は台湾の親会社を中心にポリエステルスパンボンドを輸入し日本国内での販売を担当する。

 カーペット基布、建材(ルーフィングなど)やフィルター、靴の3用途を主力に展開。2018年度(1~12月)から20年度までの中期計画を進めており、初年度の18年度は数量ベースで「7%の増販を達成した」。

 現在、台湾では3号機の増設工事を進めており、現行の年産2万トンを来年4月には同3万千トンへと引き上げる。新設備の稼働に伴い生じる生産面での余裕を生かしたいとしており、今後は改めて商品開発を強化し、建材や靴向けに新しい原反を打ち出したいと考えている。

 単なる原反の販売だけでなく、他の不織布やフィルムなどと張り合わせた商材の開発・販売に意欲を示しており、カーペットやフィルターで取り組んできた加工メーカーとの連携でさまざまな機能を持たせた多層構造品による商品ライン拡充を目指す。

〈三井化学/柔軟高強度不織布を拡販/3極での供給体制整う〉

 三井化学の不織布事業部は、2019年度(20年3月期)の重点方針として、柔軟高強度不織布「エアリファ」の拡販に取り組む。日本とタイに続き、中国の三井化学不織布〈天津〉(MCNT)でも生産に入り、世界3極での供給体制が整った。そのほかでは産業材分野の拡大も加速する。

 エアリファは、柔らかさと強さを兼ね備えた高機能不織布で、17年5月に開発した。独自のポリオレフィン紡糸技術を駆使して繊維を薄肉の中空構造とし、ソフト感や均一性を高めた。薄肉中空構造によって使用するプラスチック原料が削減でき、地球環境負荷軽減にもつながる。

 18年夏にタイの製造子会社であるミツイ・ハイジーン・マテリアルズ〈タイランド〉(MHM)で本格生産を開始した。今年の3月にはMCNTで試験生産をスタートし、(認証が取れ次第本格生産へ移行する)。日本を含めた3極での供給体制を構築し、展開のスピードを速める。

 産業材分野ではメルトブロー不織布やスパンボンド不織布を活用して、フィルターや自動車、農業分野を攻める。

〈クラレクラフレックス/メルトブローで新規開発急ぐ/「カウンタークロス」の輸出拡大〉

 クラレグループは2018年度(12月期)から20年度までの中期3カ年計画に取り組んでおり、クラレクラフレックスは初年度の18年度、「おおむね順調に推移した」と言う。

 中計2年目の19年度は、増設を決めたメルトブロー不織布で改めて新規用途開拓を推進するとともに、乾式「クラフレックス」での輸出拡大、岡山工場での複合商品開発と重点的に取り組み、中計目標の達成を目指す。

 年産1800トン体制のメルトブローをフル稼働させており、このほど同2700トンへの増設を決定。20年度下半期から新設備を立ち上げる。

 これまでは西条工場に設備を構えてきたが、今回は岡山工場に設備投資。岡山工場のスパンレースなどとの開発面での融合に着手する。

 メルトブロー、スパンレースなどそれぞれの開発担当を既に一本化しており、岡山工場に構えるさまざまな加工設備を駆使した開発を強化し多層構造品で新素材の具体化を急ぐ。

 業務用ワイピングクロス「カウンタークロス」では今後は輸出の拡大で成長路線を維持したいと考える。

 昨年はベトナムの「ベトフード・ベバレッジ・プロパック2018」、シンガポールの「フード&ホテル アジア2018」といった食品・サービスの展示会に出展。各国語に翻訳したマニュアルやパンフレットによる広報宣伝活動も強化し、カウンタークロスを使うことが安全・衛生の向上につながることを訴求する。

 スチームジェット不織布「フェリベンディ」では、クラレファスニングとの連携で開発した生け花・フラワーアレンジメント用水揚げテープのようなアイデア商品のラインアップ拡充に取り組む。

〈ダイワボウポリテック/付加価値化でSL伸ばす/播磨研究所との連携深耕〉

 ダイワボウポリテックは、高付加価値化を軸にスパンレース不織布(SL)の販売を伸ばす。播磨工場(兵庫県播磨町)内の播磨研究所との連携によるわたの開発や意匠性の付与で高付加価値化を図り、用途はコスメティックや除菌関連分野を引き続き攻める。医薬部外品に対応できるSLも増やす。

 SLの市場は「フェースマスク用途などが順調に推移しているが、一部の用途は2018年の12月あたりから失速」している。そうした状況下でも同社のSL販売は計画をクリアする見通し(19年3月期)になっており、来期もコスメティック分野などの深耕に力を入れ、一層の成長を目指す。

 ただ、中国品や台湾品の台頭も予想され、高付加価値化の加速が不可欠と捉える。播磨研究所との連携のほか、他社とのアライアンスも強化する。商品開発に加え、用途開拓も顧客と一体になって進める。

 合繊わたについては、強みである品質力向上や顧客ニーズ具現化のスピードアップに磨きをかける。新商品の開発案件は多いが、「顧客が求める以上のものの提供」に力を入れる。開発商品は早い段階で一気に市場投入を図るなど、事業拡大に向けて攻勢をかける。

〈オーミケンシ/独自レーヨンでシェア拡大 「極」シリーズが“切り札”〉

 オーミケンシは、独自の技術で付加価値を付けたレーヨン短繊維の販売を強める。紡糸工程、練り込み、加工などで特徴を持たせた商品でシェアを高める。

 昨年発売したレーヨン短繊維ブランド「ホープ」の「極(きわみ)」シリーズは“切り札”の一つ。同シリーズは練り込みによる機能付加をベースにし、0・45デシテックスの極細タイプとY字断面タイプなどがある。極細とY字断面タイプともに保水力、吸水力がレギュラー品より高い。

 極細タイプは布巾などにした際に拭き取り効果が向上するほか、体に直接触れるアイテムでは肌触りが良くなる。Y字断面のものはかさ高性や消臭機能もある。

 植物や果物などの天然成分で機能性を持たせたレーヨンや後加工商品のラインアップも充実させる。紅椿、ヒマワリ、アボカドのオイルを練り込んだレーヨン「ボタニフル」やインナー向け後加工としてヘチマ、ヨモギ、アズキ、イチョウ、メロン、ブドウの成分を使った加工がある。

〈ダイワボウレーヨン/“環境”テーマに開発重視/pHコントロール機能も打ち出す〉

 ダイワボウレーヨンはSDGs(持続可能な開発目標)を不織布向けレーヨン短繊維でも積極的に事業戦略に取り入れている。2019年度(20年3月期)も環境負荷低減を切り口とした開発を重視し、衛材、コスメ、食品包装などの用途に向けた提案を強化する。

 18年度の不織布向け原綿の販売は堅調に推移した。ただ、溶解パルプやカセイソーダなど原料・副原料の高騰もあり収益面は圧迫された。こうした中、衛材など新規用途に向けて撥水(はっすい)レーヨン「エコリペラス」を開発し、サンプル出荷が始まるなど種まきが進む。エコリペラスは撥水性だけでなくpHコントロール機能も打ち出した。肌に優しいとされる弱酸性を維持する機能を生かし、紙おむつなど衛材用途での採用を狙う。

 エコリペラスに続く開発を進めており、ダイワボウポリテックと定例の開発会議を実施するなどグループ協業にも力を入れる。大和紡績香港とも連携し、細繊度レーヨン「ソフレイ」や丸断面レーヨン「ベーリービーズ」など機能レーヨンによる海外市場開拓にも取り組む。

〈レンチング/トイレに流せる製品開発/ウエットティッシュなどに〉

 2018年6月のアジア不織布産業総合展示会・会議「ANEX2018」で新ブランド「ヴェオセル」を発表したレンチンググループ(オーストリア)。デーリーケア用の不織布繊維のプレミアムブランドと位置付け、開発を進めてきたが、新たに「トイレに流せるウエット製品」用ヴェオセルを商品化した。

 新繊維は、優れた生分解性を持ち、土中だけでなく、淡水・海水での生分解の認証も取得している。この繊維を配合することによって高い湿潤強度と崩壊性を保ちながら製品デザインの幅を広げることが可能になり、同社は「最先端の繊維」と話す。

 ヴェオセルを複合した不織布製品は七つの工業試験に合格し、米国不織布協会(INDA)、欧州不織布協会(EDANA)が定める「トイレに流せると標榜(ひょうぼう)する不織布製品の評価・判定に関する評価ガイドライン第4版」の基準を満たすと言う。

 ベビーワイプ、フェイシャルワイプ、ウエットティッシュ、ウエットワイプなどに使用できる。