横山達也のチャイナ・アウトサイト(18)/「千字で分かる中国政治組織」

2019年03月25日(Mon曜日) 午前11時39分

 日中経済協会の職員なのに経済や大局なんて見やしない。身の回り半径数キロの出来事にこだわると公言するこのコラム。でも、今月だけは視点を広げよう。なぜなら3月は中国で一番大きな会議である全人代が開催される季節。よく内容を聞かれるので、この際だから中国の政治機構について簡単にまとめてみることにした。コラムの字数は最大約千字。どこまで語れるのか分からない……と言っているうちにもう250字だ。

 全人代とは全国人民代表大会の略。日本の国会に相当するもので、全国から一応選挙で決まった任期5年の代表約3千人が集い、年に1度開催する。基本的な政策(第○次5カ年計画など)を確認し、国家主席の選出、総理・閣僚の任命、最高人民法院のメンバー選出、立法を行うもので、国家機関としては最上位に位置し、全人代の下に裁判所などは付属する(だから三権分立ではない)。

 一方で中国共産党全国代表大会(いわゆる党大会)は、多党制!の中国にある最大政党・共産党の大会議のこと。5年に1度開催し、党の指導者の選出、重要事項を決定する会議で、最近では2018年に党員代表約2300人が出席して開催した。ここで選ばれた総書記が、全人代で与党トップとして国家主席に選出される形となる。あくまでも国家の最高権力機関は全人代であるが、党のトップが中国のリーダーに選ばれ、党大会での方向性が中国の政策に大いに反映されることから、注目されるのである。ついでに言うと、中国には国務院(内閣府みたいなもの)の下に国防部があるものの、主戦力は共産党軍事委員会が所管する人民解放軍であり、中国軍という正式名称の軍事力は存在しない。いかん、もう700字だ。

 もう一つ、政治協商会議という組織がある。これは多くの人が謎に思う組織だが、由緒は正しく、第2次世界大戦後の1946年に中国の内戦を止めるべく、共産党をはじめ当時の政治勢力が集まって発足した会議。今の中国の建国(全人代開始)までは最高権力機関であった。だから統一戦線組織ともいわれる。現在は各政党が集まり、政治のチェック機関の役割を担っている。

 ということで、全人代、党大会、政治協商会議、ついでに軍と、それぞれが役割を持ち、密接複雑に絡み合っているものであり、一部だけを取り上げても全体がなかなか見えない構造になっている。ちなみに地方政府の省長と書記の関係も、人民代表大会で選ばれた行政の長(省長)と、その地方の共産党委員会の代表(書記)という関係で、基本的には別物。並んで立つと、与党のトップである書記が前にいる構図である。

 じゃあ、党のトップをはじめ国務院の大臣や裁判所長官、地方政府の人事は誰が決めるのかって? それが分かれば学者になれると、中国政府の関係者も言うほど、奥の院の話である。

 よこやま・たつや:1971年兵庫県生まれ。静岡新聞記者を経て2001年、北京に留学。02年から日中経済協会。12年5月同協会上海事務所長(成都事務所長兼務)。17年8月からは同協会本部事業開発部に勤務