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合繊メーカー20春夏インナー素材/猛暑対策素材出そろう/接触冷感など機能性を強化

2019年03月27日(Wed曜日) 午前11時20分

 20春夏に向けたインナー商戦が始まった。合繊メーカーのインナー部門は春夏ならではの機能性を進化させた素材群の開発を強化し、吸汗速乾、遮熱、接触冷感、UVケアといった快適素材群の打ち出しを強めている。(堤 貴一)

 合繊メーカーのインナー部門は2018年度、春夏が順調だったものの暖冬によって秋冬商戦が低調だったため、「18年度のトータルではもうひとつ」との声が強い。20春夏に向けても「当面、前売りは厳しいのでは」との見方が支配的で、販売数量増よりも付加価値素材への転換で利益改善を狙う傾向が目立つ。

 帝人フロンティアは、これまでポリエステルで展開してきた「ウェーブロン」で、ナイロン版の「ウェーブロンNY」を新たに開発した。ナイロンならではのしなやかな質感とともに、優れた吸汗速乾性能、透け防止性能を持たせた。

 旭化成も、20春夏からナイロンによる新素材を投入する。キュプラ繊維「ベンベルグ」・ポリエステルで展開してきた複合糸「キュアベール」にナイロンタイプを追加。真夏の猛暑対策を意識し、吸放湿性能と接触冷感を引き上げた。

 東レは、猛暑対策に貢献する冷感素材などの機能性を消費者に訴求できる高機能素材の開発・打ち出しに意欲を示す。

 東洋紡STCは、100%使いや綿混で展開してきた極細ポリエステル短繊維「トライクール」にレーヨン混などを加え商品ラインを充実させている。中国市場の開拓にも着手。昨年9月の「インターテキスタイル上海」で、優れた吸汗速乾性能、紫外線遮蔽(しゃへい)性能をアピールしたところ、「なかなか好評だった」と言う。

 東レも、「事業拡大には国内販売だけでは不十分」と見て、海外アパレルとのタイアップなどで国内生産する特化素材の拡販を狙う。

 旭化成の場合、海外オペレーションを中心にSPA向けの商材を展開するSCM担当が「ベンベルグ機能素材展示会」に今年から参画。通気性に着目して開発した新素材「キュアベールIA」を出展した。ベンベルグ・ポリエステルによる複合素材で、汗を吸うと編み目が開き乾くと閉じることで通気性をコントロールするのが特徴。編み目が開いたときに通気性が約15%高まる。海外生産を活用し、生地や製品で売り込んでいく。

 帝人フロンティアは、接触冷感に着目。寝装・寝具やスポーツインナー向けを先行させたポリエチレン「クールセンサーEX」で婦人インナーを開拓する。かねて取り組んできたニット生地企画・開発・販売のウイズ(大阪市中央区)との連携を通じ、海外で生地から製品を一貫生産し日本に持ち帰るオペレーションに意欲を示している。

 一方、東洋紡STCは「全体のトレンドは綿の方に向かっている」と見て、吸汗速乾性能やさらっとしたタッチが特徴の「爽快コット」、トリコット用にビームで供給する「サイプス」の拡販を計画する。

 消臭素材を打ち出す傾向も強まっている。東洋紡STCは改質レーヨンで業界最速の消臭スピードを持たせた「アットデオ」を新たに開発。帝人フロンティアは東邦テキスタイルの改質レーヨン「柿渋消臭糸」を浸透させたいと考えている。