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特集 アジアの繊維産業Ⅱ(5)/サービス向上を図るカケンテストセンター/南アジアでの活動も強化

2019年03月29日(Fri曜日) 午後2時52分

 カケンテストセンター(カケン)の海外試験需要は中国、ASEAN地区を中心におおむね好調である。これまで進出していなかった南西アジア地区のインドに、「カケンインド バンガロール事務所」を1月に開設。海外でも試験報告書のデジタル化で短納期化を支援、現地セミナーなどサービスの向上を図っている。

 カケンによると、ASEAN地区の繊維関連業務は引き続き好調だが、「さらに西に繊維製造業が移り、新たな業務協力体制や顧客満足度向上が必要になった」とインド進出を決めた。

 バンガロール事務所には日本人駐在員2人を派遣、試験受け付け(試験は香港で実施)と試験相談、技術アドバイスにも応じる。「需要が高まり次第、試験室の開設も視野に入れる」。

 バングラデシュはこれまで韓国のKOTITIバングラデシュの協力を得て、日本向けJIS試験を行っていたが、2月から新たに日本人駐在員2人を配置した。「日本人スタッフがいることによる安心感もある。現地の日系企業に相談やアドバイスなどのサービスも提供していく」

〈消臭試験を強化/上海科懇検験服務〉

 上海科懇検験服務が、日本向け生地の消臭試験を強化している。中国全土から受託する体制をこのほど整えた。繊維評価技術協議会のSEKマーク認証に必要な試験にも、将来対応していく計画。

 消臭試験はこれまで、日本の試験室に委託してきたが「納期短縮のため、現地で対応することにした」と牟田友也総経理は話す。18年10月に準備を始め、同年末に本格化した。

 消臭試験以外にも、さまざまな機能性試験に力を入れている。今年は日本向けの試験で、新たな試験項目の追加を検討しているほか、「内販向け製品の機能性試験も拡充していきたい」という。

 一方、日本企業の間でニーズが高まっているサプライヤー(工場)のCSR監査の提供にも重点を置く。18年4月に始めたところ、反響が大きく、既に20軒以上の工場の監査を手掛けている。当初2人だった監査スタッフは、間もなく10人を超える見通し。

 現在は同社だけが提供しているが、今後は中国のグループ会社全体で手掛けていく計画で、そのために監査スタッフの育成に力を入れていく。

〈中国系への対応を強化/ベトナム試験室〉

 カケンベトナム試験室は、同国最古参の日系検査機関としてその存在感を発揮している。検査依頼件数が拡大基調を続けていることから人員拡充を図るほか、米中貿易摩擦の影響として「中国系メーカーの進出が今後加速する」と読み、中国系メーカーからの依頼増を狙う。

 同検査室への検査依頼元は日本企業が95%を占めるが、生地を実際に同国で生産するのは韓国系や台湾系メーカーが大半。今後は中国対応もテーマになる。米中貿易摩擦を背景に今後一層中国系資本がベトナムに進出してくることが見込まれ、その兆候が既に表れてきていることから、ベトナム人スタッフで中国語が堪能な人員を窓口業務に配置した。

 ベトナムの生産スペースが中国系の進出によってタイトになることも想定。その際の対応力強化を課題の一つとし、これまで以上に納期管理の力を磨く。提携するフランスの総合検査機関、ビューロ・ベリタスが持つ集荷ルートを活用する形でベトナム全土とカンボジアのプノンペン、バベット地域で無料の集荷サービスを既に実施している。

〈試験キャパシティー拡大へ/カケンインドネシア〉

 カケンインドネシア(ジャカルタ市)は、繊維製品試験の受け入れ可能量を拡大する。日本の大手SPAの現地の店舗数増など緩やかに拡大する日系企業のニーズに合わせて試験機を増設し受注量を増やす。

 人件費の低い縫製拠点として注目される中部ジャワのソロやスマラン近郊で生産される生地の試験需要が増加しているもよう。染色堅ろう度や強度をはじめとする物性試験、ホルマリン検査、洗濯耐久性、機能性試験の受注が少しずつだが増えている。日本で規制が始まった特定芳香族アミンを生成するアゾ化合物試験にもフランスの検査機関BVCPSと提携し対応する。

 2018年9月ごろから終わりにかけて染色堅ろう度試験と遊離ホルムアルデヒド試験の各試験機を増設して受注能力を1・5倍にまで高めた。19年度(20年3月期)には吸汗速乾機能を測定する試験機を1台追加して、計2台の体制にする。現地で増加する同機能性試験の需要増に備える。

 岡野正光社長は「受け入れ能力を上げることで現地でのより迅速なサービスに努めたい」と話す。

〈タイ中堅企業にもアプローチ/タイ試験室〉

 カケンテストセンターが欧州の大手検査機関であるBVCPSと提携してタイ・バンコクに開設したタイ試験室が順調に受注を増やしている。今井計貴室長は「今後は日本向けをやりたい中堅クラスの現地企業にもアプローチを強め、受注拡大を目指す」と話す。

 カケンは従来、タイで別の海外検査機関と提携していたが、その検査機関がタイから撤退したことを受け、新たにBVCPSと提携し、2018年1月にタイ試験室を再開設した。約1年を経て「受注が順調に増えている。以前の顧客も戻ってきた」。特に機能性試験の依頼が増加した。18年9月から特定芳香族アミン(アゾ染料)の分析試験も開始するなど化学分析にも力を入れる。

 さらなる受注拡大へ今後はタイの中堅企業に向けてもアプローチを強化する。日本で開催される商談会にも参加し、タイでの試験需要掘り起こしを進める。BVCPSとの連携でタイ周辺国での日本向け試験需要の獲得にも取り組む。既にマレーシアやシンガポールからの引き合いがある。こうした取り組みでタイ試験室の認知度を一段と高めることを目指す。