中国の大手アパレル/消費転換期に業績伸ばす/日本企業とのコラボ重視

2019年04月03日(Wed曜日) 午前11時12分

 中国は今、消費の転換期を迎えている。都市部では、既存の商品やサービスに飽き足らない消費者が台頭している。大手アパレルの一部は、この変化にいち早く対応し、成果を上げている。これら企業の共通点は、素材メーカーをはじめとした日本企業とのコラボレーションを重視している点だ。(岩下祐一)

 中国でここ数年、「昇級(アップグレード)」が消費のキーワードになってきた。経済成長により都市部では消費がアップグレードし、メンツの重視や価格を最優先する消費から、生活や心を豊かにする消費にシフトしている。一方、昨年から言われ始めたのが消費の「降級(ダウングレード)」。経済成長の恩恵を享受するのは一部の富裕層に限られ、庶民の消費は景気が減速する中、ダウングレードを強いられているという見方が出てきた。

 その根拠として挙げられるのが、2018年に中国全土に2千店舗を出店したコーヒーチェーン「luckin coffee(瑞幸珈琲)」。売りは、2杯で1杯無料の“お得感”。都市部で人気の米スターバックスを“半額”で猛追。これまで負け知らずのスターバックスだが、18年4~6月期の既存店売上高は前年同期に比べ2%減った。

 国土が広大で、各地で文化が異なり所得格差も大きい中国市場は複雑。何に注目するかで見え方が大きく変わる。昇級と降級が同時進行している、というのが正しそうだ。ただ間違いなく言えるのは都市部の消費者は既存の消費に飽き足らず、新しいものを求めること。

 現地の百貨店アパレルなどに副資材を販売する上海清原の魏健剛総経理は、「今は消費の変化期。目の肥えた消費者が新しいものを求めている」と言う。上海久光百貨の前田茂樹副店長も、「(売り上げが伸び悩むのは)景気の悪化ではなく、消費の変化が要因。既存のやり方ではダメだ」と話す。

 18年のアパレル業界は、勝ち組と負け組の差が鮮明になった。勝ち組の代表はダウンウエアの波司登国際、スポーツ用品の安踏体育用品、紳士服の海瀾集団。この3社に共通するのが、変化の時に対応し、素材メーカーなどの日本企業とのコラボを重視していること。

 波司登は、華麗なる“復活劇”が地元メディアに注目されている。業績の低迷に苦しんだが、18年から祖業のダウンウエアに集中。商品と店舗を高級化し、若年層の開拓に成功した。18年4~12月は3割強の増収だった。

 同社は、15年から資本・業務提携する伊藤忠商事の社員数人を受け入れ、キッズウエアの中国内販の拡大や日本の高機能生地の採用などを進める。高徳康・董事局主席は「(以前多かった)日系素材メーカーとのコラボもまた始めた」と明かす。

 安踏体育用品の18年業績は売上高、純利益ともに過去最高を更新。アスレジャーのブームに乗り、「安踏」や「FILA」のウエア販売を伸ばした。同社は伊藤忠グループなどとの合弁で「デサント」を展開する。日系メーカーの素材の採用も始めた。

 海瀾集団の18年業績は13年の上場以来6年連続の増収増益を維持した。高級レディース「OVV」で、上海などの一級都市の開拓を本格化している。「OVV」は、日本の素材を積極採用する。

 同社は今年、主力ブランドの「海瀾之家」を日本で出店する。「(日本を訪れる中国人観光客への)プロモーションが目的」(周立宸総裁)と言うが、日本の小売りの最新ノウハウを吸収し、変化を続ける中国市場に生かす狙いもありそうだ。