東京ファッション・ウィーク 19秋冬レビュー⑤

2019年04月10日(Wed曜日)

タエアシダ、ヒロココシノ 熟練デザイナーの挑戦

 今季は、東京で長らくショーを行っているベテランデザイナーの充実ぶりが目立った。得意とするエレガントな表現に加え、メンズアイテムの展開や音楽、アートとの連動など挑戦的なコレクションを披露している。

 「タエアシダ」の芦田多恵デザイナーは、昨年10月に父親の芦田淳氏が死去したのを受け、現在は「ジュンアシダ」のクリエーションも担っている。芦田淳氏は1966年から約10年間、皇太子妃だった美智子さまの専任デザイナーを務めた経験もあり、コンサバティブで品の良いデザインを得意としていた。

 一方、自身のブランドタエアシダでは、シャープな異素材レイヤードでエレガントなアイテムを発表。クラシックな幾何学柄を採用したロングドレスをはじめ、シースルーのブラウス、チェスターコートとガウンを融合させたようなアウターで、緊張感を与えるコレクションが並ぶ。

 ブランド初となるメンズウエアも打ち出した。ジーンズやパーカ、ショート丈のダウンジャケットを織り交ぜ、若年層を開拓するような商品を提案している。ファブリックの多様性やラグジュアリーなスタイリングを発信し、プレタで培った高等テクニックをメンズに落とし込んだ。

 コシノヒロコ氏による「ヒロココシノ」では、ワントーンのボリューム感のあるスタイリングをはじめ、上質な国内テキスタイルを採用したドレス群を披露している。ピアニストの横山幸雄氏をランウエー中央に配し、プロジェクションマッピングを交えたアーティスティックな発表に挑戦した。

 横山氏は即興で生演奏し、その周囲をモデルが歩く演出。バイアス状にカットした生地や植物、昆虫をプリントした生地を不規則に巻き付け、立体的なフォルムを構成した。コシノ氏は「ファッションと音楽、アート性が混じり合うことで、新しいファッションの在り方を提案した」と言う。ベテラン勢の挑戦は今後も続きそうだ。