紡績の商品開発最前線②

2019年04月16日(Tue曜日)

富士紡ホールディングス 吸水速乾+抗菌防臭を両立

 富士紡ホールディングスは、綿100%生地への加工でさまざまな機能素材を生み出してきた。特に複合加工が難しい機能の組み合わせでも成果を上げる。例えば吸水速乾機能とわきが対策抗菌防臭機能を併せ持つニット生地「デオスカイ」の量産も2018年に始まった。

 抗菌防臭加工は、臭い成分を発生させる原因菌の増殖を抑えることで防臭性を発現させる。このため特定の臭いを抑えるには原因菌の特定とそれに対する抗菌性の確立が必要となる。近年、日本の化粧品メーカーが、わきがの原因菌がコリネバクテリウム属だと特定したことから、富士紡ホールディングスはコリネバクテリウム属を対象とした抗菌防臭加工を開発した。実用化のための機能性試験に関しても同社の要請を受けてボーケン品質評価機構が確立した。

 ただ、わきが対策抗菌防臭だけでは、いずれ競合他社にキャッチアップされる可能性が高い。このため同社では機能の複合化に取り組む。既に消臭・抗菌防臭加工ニット生地「デオエレガンス」と綿100%吸水速乾加工ニット生地「パールローレル」を開発していたことから、両者の機能融合に取り組んだ。

 一般的に綿への吸水速乾加工と抗菌防臭加工を同時に付与するのは加工剤の相性などの点から極めて難度が高い。このハードルをフジボウテキスタイルの和歌山工場(和歌山市)が持つ加工技術でクリアし、デオスカイの開発に成功した。18年に量産を開始し、Tシャツなどに採用されるなど徐々に販売が進む。後染めだけでなく先染め生地へも加工が可能なため、アウター用途にも利用できる。

 綿100%生地への機能加工として防汚加工の「ワンダーフレッシュ」も提案に力を入れる商品の一つ。特殊加工により油汚れに対するSG(ソイルガード)性とSR(ソイルリリース)性を併せ持つ。SG性とSR性の両立は高度な技術を必要とするが、これもフジボウテキスタイルの和歌山工場の技術力で実現した。

 世界的にサステイナビリティー(持続可能性)への関心が高まる中、綿100%の機能素材への期待は大きい。生産プロセスの改善にも取り組んでおり、フジボウテキスタイル和歌山工場では低浴比の染色機への更新を進めるなど環境負荷低減にも取り組む。