明日へ これが我が社の生きる道 染色加工編⑮

2019年04月19日(Fri曜日)

吉田染工グループ 同一敷地内で糸も生地も染める

 一つの敷地の中に、主に丸編み用途の糸のチーズ染色工場と、編み地を中心とする生地の染色整理工場を持っている企業がある。和歌山県紀の川市の吉田染工グループだ。先染めと後染めの生地を組み合わせてポロシャツなどを作る場合に、両生地の色合わせがスムーズなど、メリットは多い。もちろん、それぞれの工場単独でも他にない特徴がある。

 まずは吉田染工のチーズ染色工場から。この工場の特徴はなんといっても、染色工程の無人化を狙って1992年に建屋から新設されたということ。現在、月産能力100㌧の染色工程を、糸の準備後に限ってみると、操業員1人で24時間稼働させている。準備工程のソフト巻きをスピンドルにセットするスタッフも、2人と少ない。巻き直し作業の内製化も進め、現在はソフト巻きの全てを自社で行っている。染色した糸の紙管などへの巻き直しも半分は自社工場で行う。

 天然繊維から化学繊維まで全ての繊維を染めるノウハウを持つ。染色している糸の9割は、ポロシャツ、Tシャツ、インナー向けなどの丸編み素材となる。資材など他用途向けの染色にも取り組んでいる。

 生地の染色加工を担うのは、グループ会社の貴志川工業。染色した生地の主用途は吉田染工同様、ポロシャツ、Tシャツなど。

 同社設立のきっかけは、糸段階と編み立て後の両段階でシルケット加工を施す「ダブルシルケット」がイタリアで流行したことに商機を見いだした東洋紡の勧めがあったこと。これを受け、吉田染工と糸商、薬剤商社の3社共同出資で72年に設立された。このため、編み地のシルケット加工は今でも得意技の一つだ。

 設立当初は綿製の編み地のみを染めていたが、この10年間の設備投資で、ウールを除くほぼ全ての繊維に対応できるようになった。合繊100%生地の染色依頼も増えている。

 グループで生地の自販にも取り組んでいる。吉田染工が、島精機製作所のコンピューター横編み機「SRY」を3台導入。吉田染工が染めた糸を同機で編んで、貴志川工業で整理加工し、国内外の展示会に出品。1㍍当たり3500~1万2千円と高価だが、3㍍からのバルク・オーダーに対応していることもあり、既に10社近くの国内アパレルにワンピースやスカート素材として採用された。今年に入り韓国企業からもバルク・オーダーが入った。

 今年2月に、イタリアの「ミラノ・ウニカ」展に出展した吉田染工は、和歌山のニッターから買って、貴志川工業で染色加工した生地も披露した。産地のニッターの海外販売の手助けもしたいとの思いからだと、吉田篤生社長(52)は言う。

(毎週金曜日に掲載)

社名:吉田染工株式会社

本社:和歌山県紀の川市貴志川町前田16

代表者:吉田 篤生

主要設備:チーズ染色機〈250㌔6台、200㌔4台、150㌔4台、80㌔8台、35㌔4台、24㌔3台、12㌔5台、6㌔4台〉、ワインダー〈ソフト巻き1500錘、巻き返し960錘、長繊維384錘〉、「ホールガーメント」横編み機1台、「SRY」横編み機3台

月産能力:チーズ染色100㌧

従業員:45人