紡績の商品開発最前線④

2019年04月23日(Tue曜日)

ダイワボウノイ 生産プロセス革新でSDGs

 ダイワボウノイは事業戦略の中心にSDGs(持続可能な開発目標)を積極的に組み込むことに取り組んでいる。その一つとして環境に焦点を当てた開発プログラム「エコロジー・サステイナブル・プロジェクト」を立ち上げた。商品の機能だけでなく、生産プロセスの革新も含めた環境負荷低減に取り組む。

 同社は1980年代からオーガニックコットンの活用やケミカルフリーの染色加工を実用化するなど環境を切り口とした商品開発に取り組んできた。近年、世界的にサステイナビリティー(持続可能性)への意識が高まったことから、取り組みを改めて強化。環境負荷低減や安全性に対する学術的なエビデンスや国際的な第三者認証を重視することで取り組みの精度を高度化させた。

 例えば染色加工や機能加工では、安全性の国際的認証である「エコテックス規格」を全面的に導入している。加工剤の安全性には特に注意し、最適なものへの置き換えも実施した。抗ウイルス加工「クリアフレッシュV」の加工剤も有機化合物系から無機系に変更することで安全性を高めた。

 さらに抜本的な生産プロセスの革新にも取り組む。このほどカセイソーダを使用しない染色加工プロセスの開発に成功し、2月には特許も出願した。

 カセイソーダは、繊維の精練漂白や染液の調合などに幅広く使用されているが、強アルカリ性のため使用方法によっては繊維にダメージを与える場合もある。使用済み溶液の廃棄には中和工程が必要なため廃水処理の環境負荷も小さくない。新プロセスでは廃水処理でも中和工程を省けるため、薬剤や水の使用量削減が可能など環境負荷低減も期待できる。

 繊維にダメージを与えないことで風合いにも優れる。綿などのセルロース繊維だけでなく、アルカリ性に弱いシルクやウールといったタンパク質繊維にも適用でき、綿とシルクやウールの混紡素材にも応用できる。2019年度(20年3月期)中には具体的な商品開発での活用など実用化を進めることを目指している。

 そのほか、紡績のコーマ工程で発生する未利用綿(落ち綿)を活用した綿糸「ジンモ」を復活させるなど原料面での取り組みにも力を入れる。アフリカ産の植物繊維をフェアトレードで調達し、商品化する開発も進む。原料から生産プロセス、商品の機能それぞれで環境に焦点を当て、SDGsの実現に取り組む。