紡績の商品開発最前線⑤

2019年04月24日(Wed曜日)

日清紡テキスタイル 進化する形態安定加工

 日清紡テキスタイルはこれまでも、先進的な加工で形態安定シャツ地の開発をリードしてきた。綿100%ノーアイロンシャツ「アポロコット」やCVCの形態安定加工シャツ地「スパーノ」を中心に商品バリエーションや機能の拡大を進めるなど、現在でも形態安定加工の進化に取り組んでいる。

 同社の形態安定シャツ地の歴史は古い。1980年代に液体アンモニア加工による「スーパーソフト」を開発したことを皮切りに、90年代には加工と縫製でW&W性3・2級の「SSP」、2000年年代に入ると縫製ジワも抑制した進化版「ノンケア」を開発した。こうした技術を結集し、次世代ノーアイロンシャツ「アポロコット」を開発したのが09年。綿100%ながらW&W性4級を実現した機能は業界に大きなインパクトを与えた。

 あれから10年が経過したが、現在でもアポロコットは進化を続けている。アポロコットとほぼ同等の性能をCVCで実現したスパーノと合わせて、最近では防汚や抗菌防臭、消臭など他の機能加工と組み合わせたバージョンも増加した。白無地だけでなく先染めの販売も拡大している。先染めの整理加工は中国子会社の日清紡績〈常州〉が担うなど生産拠点の整備も進んだ。

 形態安定加工シャツ地で高い評価を得ている同社だが、近年は新たな競争にも直面する。合繊ニット製ドレスシャツの台頭だ。織物と比較して洗濯時の取り扱いの容易さでジワジワと存在感が高まる。これを受けて日清紡テキスタイルでは、あくまで綿100%やCVCによる着心地の良さ、そして織物ならではのドレッシーな生地表情やスタイリングに磨きをかけることで対抗する。

 サステイナビリティー(持続可能性)への意識が高まっていることから、例えば繊維製品の安全性に関する国際的認証である「エコテックス規格」も導入した。現在、アポロコットは全てエコテックス規格を取得している。

 最近では形態安定加工の競争も激化した。このため既存のW&W性を基準とするだけでは機能の優位性を消費者に訴求することが難しくなりつつある。そこで、このほどボーケン品質評価機構と東京家政大学家政学部の森俊夫教授と共同で画像解析を用いた形態安定性評価方法・装置を開発した。画像からの定量的データを基に独自の「防シワ指数」を算定し、形態安定性を評価する。目視による6段階評価しかできなかったW&W性と異なり、1¥文字(G0-AC9E)刻みの数値で評価できるため、より厳密な評価が可能になった。こうした評価技術も活用しながら、アポロコットのさらなる進化に取り組む。

(おわり)