機構改革から戦略を探る(中)

2019年04月25日(Thu曜日)

紡績 新領域の開拓に挑む

 大手紡績の繊維事業は、合繊メーカーと比較して伝統的な衣料用途のウエートが高い。しかし、昨今のアパレル不況の影響は大きく、事業環境が一段と厳しくなっている。こうした中、新領域の開拓に挑むことが危急の課題となっており、それに合わせて機構改革も進む。

 クラボウは今期(2019年3月期)から繊維事業部に事業推進部を新設した。新規ビジネスの検討やスマートウエア「スマートフィット」の普及促進、テキスタイルイノベーションセンター(愛知県安城市)で研究開発を進める新技術の実用化などに取り組む。

 全社横断的な動きを強めたのは富士紡ホールディングス。4月1日付で機能品事業開発部と繊維事業開発部を統合・分割し、新設した近未来商品開発統括部の傘下に近未来商品開発研究所、快適商品開発部、機能品開発部を置く体制とした。文字通り「近未来」に向けた商品開発を加速させ、新領域の開拓に取り組むことがその目標となる。

 特に近未来商品開発研究所はフジボウ愛媛の小坂井工場(同豊川市)内に設置されていることから、同工場で生産する熱接着繊維や蓄光繊維など特殊機能合繊を活用した用途開拓などにも取り組む。

 一方、既存事業の高度化や効率化を目的とした組織再編も少なくない。ニッケの衣料繊維事業本部は2月からユニフォーム事業部、ファブリック事業部を統合し、販売統括部を設置した。ユニフォーム地、紳士服地、売糸の各事業の販売部門を一元化した。4月からは製造統括部の生産部と技術部も統合し、生産技術部とした。

 ステークホルダーに対する説明責任を重視する動きも強まる。ダイワボウホールディングスは、これまで人事総務室が担っていた広報業務を4月1日付でIR推進室に移管し、同室をIR・広報室に拡大した。同社はここ数年、IRの強化に取り組んできたが、今後は、より総合的な情報発信を強める。