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2019春季総合特集Ⅴ(3)/top interview 菅公学生服/スマート社会への対応見据える/社長 尾﨑 茂 氏/教育ソリューション、種まく段階へ

2019年04月26日(Fri曜日) 午後4時37分

 菅公学生服は今入学商戦で、学生服、スクールスポーツとも販売が拡大し、前期より増収になりそうだ。制服モデルチェンジ(MC)校も予想以上に獲得でき、他社との競合でも「勝率が高まってきた」と尾﨑茂社長。現在、学校を中心に80件近く案件がある教育ソリューション事業は「種をまく段階」にあり、結果的にMC校の獲得につながるケースも増えつつある。

  ――平成30年間を振り返っていただくと。

 繊維産業は凋落の30年間だったのではないでしょうか。国内のモノ作りはほぼなくなり、中国がモノ作りで台頭してきたかと思えば、一瞬で人件費の安い東南アジアへとシフトし…。国内でのモノ作りの技術が何も残っていない、という悲しい現実ですね。

  ――学生服業界は比較的、国内での生産が残っています。特に貴社は国内最大の縫製基盤を自社で持っています。

 そうですね。ただ、4月の入学シーズンに合わせて納期が集中し、国内でないと対応できないからであって、結果的に残ったとも言えなくありません。人手不足やさまざまなコストアップが深刻になる中で、自動化への取り組みや業務のすみ分けによってまだまだコストを下げて効率化できる部分は残っていると思います。

  ――令和時代への課題をどう見ていますか。

 繊維産業そのものが、衰退の一途をたどっていくんだろうなと思っていますが、それでも着る服というものはなくなりません。どこがどんな商品を作って支持されるかどうかでしょうが。

 今一つは国連が提唱する「持続可能な発展目標(SDGs)」に基づくモノ作りが世界的に奨励されてきて、再生可能な繊維の使用にどのように各社が取り組んでいくのかが課題だと思います。

 売り方に関してもネットの台頭を避けて通ることはできません。リアル店舗の生き残りはますます激しくなってくる可能性があります。スマート社会になりつつあり、接客などなくなることも考えられます。そこにどのような形で企業が対応するかを見据えながら、これからの課題に対応していくしかないでしょうね。

  ――2019年の入学商戦の進展はいかがでしょうか。

 販売計画はほぼ達成でき、学生服、スクールスポーツの売り上げは増収の見通しです。今年は新入生が増えていることに加え、制服MCでも、1学年300~500人ほどいる私学を獲得できているケースがあるなど、他社との競合で勝率が高まっています。

 店頭販売でも「カンコー」ブランドがかなり浸透してきました。社名を「菅公学生服」に変えてから、堅調に伸ばせる状況になってきました。

 スポーツは「カンコープレミアム」など新ブランドの採用が増えています。「アディダス」ブランドも採用校が伸びています。

  ――前年はスポーツがかなり増え、生産で協力工場の活用が増加したことでコストを圧迫しました。

 今年は学生服が増えています。MC校の獲得が予想以上だったこともあります。

  ――MC校獲得の勝率が高まってきた要因の一つに、教育ソリューション事業の拡大があるのでしょうか。

 一概にそうとは言い切れませんが、認知が高まってきたことは確かです。目先だけでなく将来的にどうしていきたいかを考えている学校に対して非常に関心を持ってもらっています。

  ――学校を中心に細かい案件も含めて80件ほどの取り組みが進行していると聞きます。

 これまで関わりがなかった学校とのつながりができてきました。結果的に制服MCにつながるというケースも出てきていると思います。

  ――昨年の総合展「スクールソリューションフェア」では、独自開発の教育プログラムとして「Ancs(アンクス)プログラム」や「カンコーNCSプログラム」といった、最近関心が高い“非認知能力”を育むプログラムを紹介しました。

 まだ、種をまく段階です。学校の関係者だけでなく、一般の方々にも当社がどういった取り組みをしているか、分かってもらうことが大事だと考えています。

  ――ストライプインターナショナル(岡山市)ともブランド展開や産学連携によるキャリア教育プロジェクトに力を入れています。

 他の企業からもタイアップしたいとの声が増えてきました。当社としても商品開発に生かすなどのメリットがあれば検討していきます。

  ――19年7月期決算では売上高350億円、経常利益2億円を計画しています。

 今の段階で利益は分かりませんが、売り上げは達成できると思います。

〈平成の思い出/社名変更〉

 2013年の創業160周年を機に、社名を「尾崎商事」から「菅公学生服」に改めたことが「一番の思い出」と尾﨑さん。当時、社名変更にあたってプロジェクトを立ち上げ、若い世代を中心に約50人が参加。尾﨑さん自身は「カンコー」になると思っていたが、出てきた案が菅公学生服と聞いて驚いたとか。「常に菅原道真公に触れる。そんな思いがあると聞いた」。社名が菅公学生服になったことで、「ドメインが学生服となり、向かう方向が明確になった」。社名も割と早く根付き、「受け入れやすかったのでは」。

〔略歴〕

おざき・しげる 1998年尾﨑商事(現・菅公学生服)入社。2001年取締役、03年専務。06年から社長。