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2019春季総合特集Ⅴ(5)/top interview 明石スクールユニフォームカンパニー/“制服は文化”を明快に/社長 河合 秀文 氏/AI活用で先んじて手打つ

2019年04月26日(Fri曜日) 午後4時39分

 明石スクールユニフォームカンパニー(明石SUC)の今入学商戦は、学生服のモデルチェンジ(MC)、スクールスポーツによる新規校獲得が順調で、計画する2019年5月期の売上高に近い数値への着地が見えてきた。河合秀文社長は防災教育の「明石SUCセーフティプロジェクト(ASP)」といった試みも広げながら、“制服は文化”として新たな視点からも事業拡大に取り組む。

  ――平成を振り返ると。

 百貨店からファストファッション、ネット販売といったように、平成のアパレル業界は“まさに主役交代の歴史”だったように思います。その中で学生服は、スポーツブランドといった力のあるところと組むなど、主導権を握ってしっかりと運営してきたと思っています。

  ――5月から元号が令和に変わります。新時代に向けての課題は何でしょうか。

 新しい時代になっても少子化の問題は続きます。その中でどう生き残っていくかを考えていかなければなりません。似た言葉に文明と文化があります。文明は世の中で全ての人に役立つ技術革新などを指しますが、文化は一定の人々にとって良いと思うものです。

 学生服については“制服は文化である”ということを明快にメッセージとして伝えていくことが必要と考えています。制服も“良いな”と思ってくれる人を増やしていけば文化になり、今後も続いていくのではないでしょうか。

  ――19年の入学商戦の進捗(しんちょく)についてお聞かせください。

 計画通り進みました。入学商戦では3月の大きな山をいかに予測するかが重要になります。8割方売れるとみえるものは先に生産を済ましておくなど、先んじて手を打つことで、ハードルを高くしなくても対応ができます。AI(人工知能)を使っての集計作業も始まり、昨年に比べて時間の短縮にもつながっています。ただ、働き方改革などの影響で、運送会社による集荷時間が早まったり、土日の対応がスムーズにいかなかったりなど苦労する部分もあったので、来年に向けて対策を考えていかなければなりません。

  ――学生服、スクールスポーツ、企業向けユニフォームのアクティブチャレンジそれぞれの商況については。

 学生服は、制服更新で他社に入れ替わるのは少なくすみました。AKB48の衣装などを手掛けるオサレカンパニー(東京都千代田区)と共同企画の制服「O.C.S.D.」といったオリジナル企画の採用も増えてきています。店頭商品でも、人形玩具「リカちゃん」をモチーフにした女子学生服ブランド「リカ富士ヨット」を打ち出すなど、新たな販路開拓が進んでいます。

 LGBT(性的少数者)への配慮から女子向けのスラックスの販売も増えています。今後も確実に需要が増える可能性があります。

 スクールスポーツは、「デサント」の新規採用校が100校以上となり、累計で1800校を超えました。来年の入学商戦では、デサントで培ってきたノウハウを生かした新ブランド「アスリッシュ」も投入する予定で、さらに市場深耕を進めます。

 アクティブチャレンジでは、介護、メディカル向け「ルコックスポルティフ」ブランドを中心に販売は順調で、計画通りに進む見込みです。今後も拡大するには新規の取引を毎年しっかりと積み重ねていくことが重要になってきます。

  ――17年にスタートした、神戸学院大学(神戸市)の社会防災学科と産学連携で防災教育に取り組むASPの状況は。

 今期が本格的に動いた1年目でした。折り畳める防災用ヘルメット「セーフメット」や、被災時の非常用食料、避難所での一時的な生活用品をセットにした「セーフボックス」などの販売は徐々に増えており、学校から多くの反響があります。

 昨年、総合展で披露した小学校向け防災学習教材も、学校で説明会を求められたり、今春から一部の小学校で採用されたりするなど、高い関心を集めています。小学校向けの販売は少なかったですが、これをきっかけに学校と接点ができ、制服の販売につながる可能性もあります。

 今秋には中学校、高校向けの防災学習教材を披露できればと思っています。防災関連の展示会へ参加しながら、市場を広げていきます。

  ――19年5月期に売上高267億円(前期261億円)の目標を掲げています。

 売上高は目標のあたりで着地できる見込みです。利益面は人件費、物流、外注工賃など、コストが上昇してきており、確保が難しくなってきています。市場では大手メーカー同士の競合も激しくなり、なかなか売り上げが伸ばしにくい状況になってきました。在庫を含めて無駄なコストを増やさないようにしていかなければいけません。

〈平成の思い出/“平成”ではなかった平成時代〉

 平成での印象に残った出来事を尋ねると「9.11アメリカ同時多発テロは衝撃だった」と河合さん。「ワールドトレードセンタービルが倒壊している様子はまるで映画を見ているようだった」。世界情勢が大きく変化した出来事でもあった。国内に目を向けると、1995年の阪神大震災、2011年の東日本大震災、そして昨年には岡山県倉敷市を豪雨が襲うなど、災害が多い時代だった。「そういう意味で“平成”ではなかった」と河合さんは話す。

〔略歴〕

かわい・ひでふみ 1982年明石被服興業入社。89年取締役。2002年専務。05年から社長。明石SUC社長も兼務。