メーカー別 繊維ニュース

技術の眼

2019年05月14日(Tue曜日) 午後4時23分

 「技術の眼~NEW WAVE GENERATING TECHNOLOGY~」では将来的にニューウェーブを巻き起こしうる重要な技術にスポットを当て、紹介する。

〈YKKスナップファスナー/取付品質の決め手は三つのポリシー〉

 YKKスナップファスナーは創業以来、三つのポリシーを掲げる。ハイクオリティーな製品、高性能なアタッチングマシン、的確なアドバイス。「この三つがそろわないと、ボタンやスナップの取り付け品質の維持は難しい」と言う。

 YKKのスナップ・ボタンは0.1ミリメートル以下の寸法精度が求められる。これを前提に生地にどう取り付けるかが重要となる。同社は取り付け機械(アタッチングマシン)も自社で設計、製造、レンタル(一部販売)する。

 とはいえ、生産現場では、生地の厚さは千差万別。取り付け圧力を間違えると、生地切れやパッカリングなどの原因となる。同社はコンペンセーター(打込圧力自動調節装置)で、誰でも適切な圧力で取り付けられるようにした。生地や仕様に合った事前アドバイスも行う。最近ではスナップを電極パーツとして使用する“通電スナップ”などにも取り組む。

〈三陽商会「サンヨーコート」/電動ヒーターで防寒対策〉

 三陽商会は、紳士の「サンヨーコート」で、モバイルバッテリーを用いた電動ヒーター搭載コートを一部店舗で販売する。同コートをはじめ、19秋冬シーズンは特徴を際立たせたコートを拡充する。

 電動ヒーターのコートは、ステンカラー(8万9千円)とフード付き(9万9千円)の2型を用意。背中部分に配置した電動ヒーターで最高45℃まで温度が上がる。温度調節は専用アプリで行い、スマートフォンからも操作できる。

 羽毛や中わたとも違う吸湿発熱性素材「コマサーモ」(小松マテーレ)を採用。多くの吸湿発熱性素材はわた状であるのに対し、コマサーモは布であることから「デザインが容易で、今回は薄く軽量に仕上げた」(三陽商会の企画担当者)と説明する。

 水分を吸着し発熱するコマサーモを使用したことで、ヒーターを稼働させなくてもコートは暖かい。しかし、防寒対策という意味で電動ヒーターも搭載した。

〈シンサイカトー/間伐材など使った衣料品〉

 オーダーメードニットなどを手掛けるシンサイカトー(大阪市北区)は、生地・ウエアと雑貨の自社ブランド「縁樹の糸」の提案を強める。間伐材などを原料とした糸で各種製品を生産しており、持続可能性が評価を得ている。

 縁樹の糸は、樹木(倒木を含む)や間伐材、端材などを材料にして作った和紙をスリット・撚糸した糸を用いる。糸自体が吸水性や速乾性、消臭性、軽量、しなやかさなどの特徴を持ち、家庭洗濯もできる。国内の協力工場で織り・編み(自社の編み立てと併用)、染め、縫製を行い、衣料品や雑貨に仕上げる。

 奈良県の吉野山や大峰山の間伐材などを使った「イヒカの糸」、大阪府岸和田市の間伐材やだんじり製作の際に出る端材を用いた「ケヤキの糸」を展開。今年2月に京都府の北山杉を活用した「北山杉の糸」を投入し、3月からは高野山の木を利用した「高野山の糸」の提案を始めた。

〈東レ/環境低負荷と撥水性能両立〉

 東レはこのほど、独自の複合紡糸技術「ナノデザイン」を駆使した新素材「ナノスリットナイロン」を開発した。特殊な原糸構造を持たせることで「環境低負荷と優れた撥水(はっすい)性能とを両立させた」。

 従来の撥水素材に使われていたフッ素系撥水剤には自然界で分解されにくく人体への蓄積、自然環境への残留が懸念されるパーフルオロオクタン酸(PFOA)が含まれている。

 環境意識の高まりから、特にスポーツ分野ではPFOAを含まない環境低負荷の撥水剤を使った素材へのニーズが高まっているという。しかし、PFOAを含まないC6タイプや非フッ素系の撥水剤は撥水性能や耐久性が低いため、本格的なスポーツ向けには使いにくいという問題を抱えていた。

 東レは涙滴型断面のスリットを持たせたナノスリットナイロンの開発でこの点を解消。環境低負荷の撥水剤で優れた撥水性能、耐久性を実現した。

〈アツギ/QOL向上へ新ブランド〉

 アツギは、クオリティー・オブ・ライフ(QOL)向上を支援する新ブランド「アツギウェルネス」を立ち上げた。東レ・オペロンテックスのほか、大学や医療機関と共同で企画し、データに基づいた商品を打ち出す。膝サポーターと着圧ソックスの開発を終え、19秋冬から販売を始める。

 「アツギウェルネス ひざサポーター」は、国立病院機構徳島病院(徳島県吉野川市)と共同開発。膝や膝頭(膝蓋〈しつがい〉骨)が外側に流れないようにするための工夫を施しているほか、内側広筋(後ろ側は内側腓腹筋)に圧を加え、曲げ伸ばしをサポートする。膝の構造を考え、右膝用と左膝用を用意する。

 「アツギウェルネス 着圧ソックス」は、浜松医科大学(浜松市)と共同開発した段階着圧設計ハイソックス(ふくらはぎが14ヘクトパスカル、足首が21ヘクトパスカル)。ナイロンタイプと綿混タイプを用意し、いずれもつま先ありとオープントゥがそろう。

〈村上被服/フルハーネス対応加工で特許〉

 ワークウエア製造卸の村上被服(広島県府中市)はこのほど、作業着の背中に施す「フルハーネス対応加工」で特許を取得した。今年2月の法改正によって建設業で5メートル以上の高所で作業する場合、フルハーネスが原則義務化され、需要拡大に期待する。

 同加工は上着の下から安全帯を通すために、背中にD環(高所で作業を行う場合に使用するハーネスを取り付けるフック)の取り出し口を設けたもの。作業着本来の機能を損なうことなく、作業の自由度を確保する。防寒服のような厚みがあるウエアでも加工が可能。加工は自社商品のウエアに限り対応する。

 電動ファン(EF)付きウエアに関連する特許も取得を推進。涼しさ向上につながるベストの脇メッシュ仕様(特許出願中)や、ファンが水洗いできる仕様(同)、首回りの風抜けを体感できる襟元ソフトワイヤー(特許取得済み)などによって、他社製との違いを明確にする。