米国の対中制裁関税第4弾/繊維品764品目対象/対米衣類輸出の全て含む

2019年05月16日(Thu曜日) 午後1時19分

 【上海支局】米国が6月末以降に発動を予定する対中制裁関税第4弾の対象の3805品目(約3千億ドル分)には、衣類を含む繊維品764品目が含まれる。2018年実績で353億ドルある対米衣類輸出(相手国別シェア22%)の全てが対象で、発動されれば影響拡大は免れない。

 10日には繊維品917品目(年間輸出額約40億ドル相当)の制裁関税が、10%から25%に引き上げられた。ただ、18年繊維品輸出額(2772億ドル)の2%弱に過ぎず、影響は一定程度にとどまりそうだ。

 第4弾発動のインパクトは未知数だが、中国の業界関係者の多くは冷静に受け止めている。上海と温州(浙江省)などで内販向け縫製工場を経営する楊国聡氏は、「短期的には影響はあるが、(対米向け工場の)内販シフトなどで長期的には影響を吸収できる。政府も支援に動くだろう」と話す。

 中国企業の“余裕”の背景には、ASEANシフトもある。中国の人件費の上昇やASEAN各国が多国間と結ぶFTA(自由貿易協定)を背景に、多くの企業がこの10年、ASEAN地域に工場を設けてきた。綿紡績最大手で、06年にベトナムにいち早く進出した天虹紡織などは米中貿易戦争を追い風と受け止めている。

 在中国の日系企業への直接の影響は軽微。米国向けの中国製生地を手掛けているところはあるが、米国への直接輸出ではなく、現地やASEANの縫製工場への納品が大部分を占めるためだ。しかし貿易戦争の影響で中国経済の成長が鈍化し、消費が低迷する事態になれば、内販に影響する懸念がある。

〈新関税に失望/米国AAFAが声明〉

 米国アパレル靴協会(AAFA)のリック・ハルフェンバイン会長は13日、中国からのほぼ全ての輸入品に最大25%の関税を上乗せする制裁関税について声明を発表した。内容は次の通り。

 制裁関税原案について大変失望している。これは米国自らを苦しめるもので米国経済を破局に至らしめる。高物価、販売不振を招き、米国のグローバルサプライチェーンに依拠する労働者の職を奪う。当協会の試算では、衣料、靴、旅行用品、関連商品に対する4人家族の支出は年間500ドルの増加となる。