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東レ/米中通商問題の長期化懸念/ASEAN戦略には好機

2019年05月24日(Fri曜日) 午前11時21分

 東レの日覺昭廣社長、大矢光雄専務は23日、東京都内で会見し、激化する米中通商問題が「当初予想よりも長引く可能性がある」との見方を示した。業績への影響が懸念される中、「2019年度は上半期(4~9月)にどれだけ数字を積み上げられるかになる」と指摘し、顧客との対話を深めながら対応策を打つ。一方、繊維事業では「ASEAN地域での取り組みに好影響を与えるかもしれない」と示唆した。

 今年に入って米中の通商問題が激しさを増し、日本国内の景気動向指数(3月)の基調判断も景気後退の可能性が高いことを示す「悪化」へと引き下げられた。こうした状況について日覺社長は「急ピッチで悪くなっていると感じる」とした上で、「米中両国の応酬は1~2年続くのではないか」と話した。

 通商問題によって中国経済は鈍化し、進行中の中期経営課題「プロジェクトAP―G2019」の進捗(しんちょく)にも影を落とす。同社への直接的影響だけでなく、取引先が悪影響を受けている部分も多く、顧客とのコミュニケーションを深めながら、生産地の組み換えなどの対応を図る。

 そのほか、グループ横断のトータルコスト競争力強化(TC)プロジェクトを強力に推し進めるなどコストダウンを加速する。同時に「水処理事業など米中通商問題によって売り上げが伸びている領域もある。それらを把握して上半期に利益を徹底的に積み重ねる」と強調した。

 繊維事業については、グループの中国での縫製品生産は全体の3割程度のため、個別商売は別にして、トータルでは米中通商問題の影響は比較的小さいと見る。繊維事業ではASEAN地域でのオペレーションを強化しているが、「(米中通商問題が)ASEANの需要拡大の好機になることもあり得る」(大矢光雄専務)と言う。

 今年度は、プロジェクトAP―G2019の最終年度となり、次期中経を見据えながら、新事業を創出するFTプロジェクトを積極的に進める。同プロジェクトでは、繊維の不織布ビジネスなど既に成果が上がっている事業があるほか、「水素・燃料電池関連材料」などの成長にも期待する。