明日へ これが我が社の生きる道 染色加工編⑳

2019年05月31日(Fri曜日)

久野隆染工場 繊維業界の駆け込み寺

 「繊維業界の駆け込み寺」。大阪市東成区で衣類の製品染めと、染色にまつわる衣類の補修を行っている久野隆染工場は自らをそう表現する。

 久野博史代表取締役(72)の先代、義雄氏が工業用ミシン糸の染色工場として現在の地で創業した。しかしミシン糸の生産拠点が海外に移る中で見切りを付け、糸染め設備を撤去し、当時はやり始めた製品染めの設備を導入した。1980年のことだ。ところが、製品染め業者が増えるにつれて競争が激化したため、95年からは衣料品の染色にまつわる不良の補修にも乗り出した。

 現在は売上高に占める製品染めのウエートは4割に低下し、補修が6割を占めるまでに拡大している。ただ、製品染めの売上高も近年は安定していると、久野代表の長男で、6年前に同社に入り営業を担当している雄平氏(36)は言う。中国の染色工場の操業が環境規制強化で難しくなったことを受けて、小口を中心に国内回帰があるためだろうと分析する。

 容量が1㌔から50㌔までの多様なワッシャー機を備え、個人デザイナーからの数枚の発注はもちろん、大口の注文にも対応していることが同社の売りの一つ。日産能力は3千枚で、製品染めでこれだけの能力を持つ工場は少ないと言う。納期が早いことや、プレスやネーム付けも自社工場で行っていることも特長。交通の便が良い大阪市内にあり、色の確認に行きやすいことも顧客に評価されている。

 一方の補修事業では、染色堅ろう度の不足など、染色にまつわる不良の補修依頼が増えている。「フィックス剤を用いれば色落ちが止まると思っている人もいるが、そんな簡単なものではない」と久野代表。自らも長年にわたって染色に取り組んできたから構築し得た独自のノウハウが同社の売り。色落ち止め以外にも、臭い、カビ、ホルマリンの除去や、縮み、ピリングの防止なども行っている。「他では手に負えない不良でも補修できる」と雄平氏は胸を張る。製品染めは主に綿製を対象に行っているが、補修はどのような繊維製であっても対応している。

 屋内自然乾燥室を持っているのも同社の売りだ。衣料品の中にはタンブル乾燥や日光での自然乾燥不可の商品も少なくない。そのような衣料を染めたり補修したりした後は、この屋内自然乾燥室で乾かす。

社名:有限会社久野隆染工場

本社:大阪市東成区東小橋1-4-15

代表者:久野 博史

主要設備:パドル機、ワッシャー機、脱水機、全自動洗濯機、タンブラー機、アイロン、プレス、ミシン、CCM、ラボラトリーマシン

従業員:パート含め21人

(毎週金曜日に掲載)