繊維は新材料/テクテキスタイル2019④

2019年05月31日(Fri曜日)

用途広がる4軸織物

 「テクテキスタイル2019」で、帝人フロンティアが提案した中で最も関心を集めたのは4軸織物だった。4軸織物は、経糸・緯糸の2軸に斜め方向に2本の糸が交差する。これにより、寸法安定性と引裂強度に優れるほか、さまざまな糸をミックスできることから、物性面以外にデザイン面でも特徴を持つ織物でもある。

 この4軸織物を世界で初めて開発したのが、特殊織物製造の明大(岡山県倉敷市)。帝人グループが出品した4軸織物「テトラス」も明大の製品で、テトラスも明大のブランド。

 同展を訪れていた明大の小河原敏嗣社長によると、1970年代に4軸織物の開発に着手した。「手編みによる籐(とう)の椅子を自動化できないかと考えた」のがそのきっかけ。

 ただ、同時並行で開発していたスリングベルトに集中するため、いったん中断していた。スリングベルトが軌道に乗った段階で再度挑戦し「1989年に世界初の4軸織物織機を開発した」と言う。

 小河原社長の祖父が1963年に立ち上げた同社は提案型企業として知られる。現在、細幅のニードル織機10台、広幅のレピア織機5台、さらに力織機10台を構え、スリングベルトの縫製や撚糸も手掛ける。織機などを自ら改造したオンリーワンの織物開発に定評があり、4軸織物もその中で生まれた。

 ただ、4軸織物の本格販売には時間がかかった。メッシュタイプを開発し量産機を立ち上げ、初めてテニスラケットに採用され市場に出たのは2004年。同年にテトラスの商標も登録する。それが「横に広がり、ゴルフシャフトや卓球やバドミントンのラケットへと用途が拡大した」。

 こうしたスポーツギアを中心に耐震補強材などに向けても展開する4軸織物専用織機は現在3台(1台で最大月産3千㍍の規模)だが、「来月にはさらに1台増設する」ことを決めている。

 増設はある大手ブランドのスポーツシューズのアッパー向けで本格採用が決まっているため。軽量、強度バランスの良さなどが評価されたようだ。開発着手から50年弱。4軸織物の市場拡大に期待が高まる。