繊維は新材料/テクテキスタイル2019⑦

2019年06月05日(Wed曜日)

独自性も際立つ出展

 「テクテキスタイル2019」で日本の合繊メーカーは従来以上に新素材を提案した。常連であるクラレも目新しさを感じさせた。同社本体の繊維事業は産業用繊維、不織布、人工皮革、面ファスナーで構成し、2019年1~3月期の繊維連結売上高は130億円(前年同期比2・0%増)、営業利益は11億円(19・6%増)。「先行き不透明感があるものの、モノによっては玉不足にある」と産業用繊維を担う、松尾信次繊維資材事業部長は言う。

 「独自性」がよく似合う同社だが、出展内容はそれがより色濃く表れた。その一つがPVA(ポリビニールアルコール)短繊維で、難燃剤を練り込んだ「バイナール」。日本では防炎衣料などに長年使われるが、テクテキスタイルを通じ海外に発信するのは初めて。

 PVA繊維は難燃だけでなく、ロジウムや白金プラチナなどさまざまな機能性粒子を練り込み、重金属捕集用のフィルター向けも狙う。こうした機能性粒子の練り込みは「クラレK―Ⅱ」のラインや、VIP(ビニロン・イノベーティブ・プロセス)と呼ぶPVA新製造法の中量産設備も活用する。

 耐熱ポリアミド樹脂「ジェネスタ」を原料にした「PA9Tファイバー」と同樹脂によるメルトブロー不織布も同社ならでは。独自ポリマーによる繊維化、不織布化という戦略を如実に表す。芯部分にエラストマー「セプトン」、鞘部分に溶融紡糸できるPVA「エクセバール」を配した「クラレッタSP」も同様。これを使った振動吸収性のあるダブルラッセルを初披露。サポーターや靴下、チェーンソー用手袋、更にカーッペットの裏材などに向けて訴求した。

 出展品で「最も関心を集めた」のは開発中のメタクリル樹脂などによる光ファイバー。細繊度のため織・編み物に加工できるのが特徴。用途は衣料、メディカル、自動車内装材、インテリアを想定する。

 昨今はKBセーレン、東レが新規参入した高強力ポリアリレート繊維も同社の「ベクトラン」が最先発で、違いを見せる。その一つが同原料を使ったメルトブロー不織布「ベクルス」で、今回展ではメッキ加工した電磁波シールド材を提案するなど、従来以上に「独自性」が際立った展示を行っていた。