両角みのりのイタリアモードの今 (15)

2019年06月05日(Wed曜日)

「バックラベル」(ルーツに戻る服)

日本製生地に高い関心

 2013年設立の「バックラベル」は、品質にこだわり抜いたハイクオリティーなウエアで高い評価を得て、アマンやフォーシーズン、マンダリンオリエンタルなど高級ホテルに併設されるスパやジムで使われている。

 米国生まれでパリに長く住み、世界中のキャットウォークを飾った元モデルのエイミーとイタリア人フィリッポのカップルは、彼らの求めるコレクションを作るために、ミラノ北部に位置する中世の町、そして縫製の町として100年の伝統を持つベルガモに戻りスタジオを開いた。

 広く自由なオープンスペースのスタジオには、ショールームとしての顔の他にデザイナーのクリエーティブ・スペース、生地を裁断したりアイロンをかけたりする巨大な作業台があり、ミシンを自在に操るにぎやかで明るいお針子さんたちが作業するスペース、そしてストックスペースから事務スタッフのいるオフィスとがうまくゾーニングされている。

 「ライフスタイルを表現する」と言う彼らのコレクションは、ラウンジウエア、アスレチックウエア、リゾートウエアの三つのコレクションから成る。スパで使われるラウンジウエアは、その用途からも特に素材にこだわり、ミルクプロテイン、海藻、竹、ユーカリ、オーガニックコットン、「海島綿」などの自然素材を用いている。オーガニックコットンでは日本の前田源商店(山梨県富士吉田市)の生地を主に扱っている。

 「なぜ日本のオーガニックコットンなのか」の問いにフィリッポ氏は、「前田さんの扱うオーガニックコットンのクオリティーの素晴らしさと洗練されたコレクション」と答えてくれた。前田源商店が出展する「ミラノ・ウニカ」で実際に生地を触り、前田氏の情熱あふれるプレゼンテーションに心を動かされた買い付けのヴェラさんは、帰社後すぐにサンプルオーダーに動いたという。

 程なく本オーダーから製品化に至り、現在各スパへの納品が終わりネットショップでの一般販売も始まっている。日本の生地についての感想やこれからの提言を聞くと、「オーガニックコットンの品質と前田さんが扱う軽く柔らかい生地についてはとても満足している。このままのクオリティーで良い物を作り続けてほしい。今後興味があるのは日本製の薄いフェルパ(裏がパイル地になった素材、スウエット素材)」と語った。

 ブランド名のバックラベルとは、服作りを通してそれぞれのルーツに戻ること、そしてそこに新たな価値を見いだすこと。環境や人間に悪影響を与えない自然素材の発掘、ミニマリズムを追求し、最高の職人技を用いて現代的でありながら時代を超越したテイストを持つ服を作り続けたいと考えている彼らの強い思いと、それを実現するべく協力を惜しまない素晴らしいスタッフに支えられ、これからも発展を遂げていくことだろう。

 もろずみ・みのり 15年前にイタリアに渡り、建築デザインとファッションを中心とした企業視察や通訳を務める。2016年からImago Mundi代表。