繊維は新材料/テクテキスタイル2019⑧

2019年06月06日(Thu曜日)

アクリルも産資強化

 四大合繊の中でアクリル短繊維は産業資材用の比率が最も低い。日本化学繊維協会の2017年度化学繊維ミル消費量調査によると、産業資材比率はナイロン長繊維74%、ポリエステル長繊維26%、同短繊維44%。

 これに対し、アクリル短繊維は16%に過ぎないが、アクリル短繊維メーカーもこの数年、産業資材用途の強化に取り組んでいる。その1社が東洋紡子会社の日本エクスラン工業(大阪市北区)だ。「テクテキスタイル2019」では東洋紡、東洋紡STCと共同出展したが、提案した5素材のうち、高強力ポリエチレン繊維「ツヌーガ」と接触冷感生地「iCOLD」除く3素材は日本エクスラン工業製。産業資材に力を入れていることがよく分かる。

 吸湿発熱性が特徴のアクリレート系繊維「エクス」、超吸水性繊維「ランシール」に加え、初披露した「エクスランKMC」への「引き合いが強かった」と研究開発部機能材グループの小見山拓三副課長は手応えを示す。

 アクリルとアクリレート系繊維の中間的な素材で繊維表面に細かな穴が無数にあり、比表面積が通常の66倍。イオン交換性を生かした水処理フィルターなど向けの開拓を目指した。架橋剤を使わないため、食品フィルター向けも期待する。「生産性を高め、コスト削減も図った」など、性能以外でも工夫を凝らす。

 アクリルとは異なるモダクリル製造のカネカは環境を切り口にした。今回も高難燃「プロテックス」をメインに国際的な安全規格「エコテックス」で最も厳しいクラス1に適合する寝装用2タイプを訴求する一方、前回展に続いて生分解性ポリマー「PHBH」を出品した。

 PHBHは2019年末には高砂工業所(兵庫県高砂市)で年産5千㌧の本格設備が立ち上がる。「国内に加えて欧州企業からの問い合わせが増えている」が、繊維はまだ時間がかかりそう。同じ生分解性樹脂で耐熱性が欠点のポリ乳酸(PLA)以上に耐熱性が低いのが弱点の一つ。さらに加水分解のスピードが早く、短期的な使用条件にしか適さないためだ。

 大阪工場(大阪府摂津市)に原糸の試験設備を持つが「繊維の用途はまだ定まっていない」として、同展を通じて用途探索に取り組んだ。