明日へ これが我が社の生きる道 染色加工編(21)

2019年06月07日(Fri曜日)

阪南チーズ染晒協同組合 期待に応える染工場に

 阪南チーズ染晒協同組合の創立は1964年。天然系、合繊系を問わず、紡績糸の染色加工と晒し、のり付けを行うという同社の機能は基本的に現在も変わっていない。

 同社の資料によると、昭和の最盛期には独身寮、家族寮を設けていたほか、野球部や卓球部を構成できるほどの人数の社員がいた。

 甚野祐宏代表理事(41)は、2008年に入職した。当時、先代の代表理事だった父の治氏は、廃業を考えていたようだったが、甚野代表理事は「繊維業界でできることはまだまだある」と、事業を継ぐことを決意した。

 しかし、直後にリーマン・ショックが発生し、受注も大きく減少する。生産現場の整理整頓など、それまで、なおざりになっていた「できることから着手」し、遠隔地の産業資材分野など新規顧客開拓を根気よく進めた。

 顧客開拓では、「足で稼ぐよりネットや口コミなどでの情報発信を重視した」と。新規の“飛び込み”で加工依頼が徐々に入るようになり、受注量も回復していった。ただ、依頼がさまざまな分野から寄せられる中で、自社の技術蓄積の不足も感じるようになった。

 外部から人材を招き、約5年間、指導を仰ぐことで、品質、開発ともに技術は大きく向上、同社で対応できる加工の幅が拡大して行った。小釜の増設など設備投資にも並行して取り組み、小ロット短納期型ビジネスへの対応力も高めたことが奏功、取引先を北陸、東海、滋賀、三備などの産地にも広げた。

 14年にビーカー室を設けたことで、独自加工技術の開発も本格的に進められるようになった。今夏には、衣料品用途の加工プロセスに関する特許を1件取得できる見込み。甚野代表理事は、「取得できれば当社で初めてのこと。自社開発の成果を形にできる」と期待する。

 17年には、木くずを燃やすタイプからガス式にボイラーを全面刷新した。甚野代表理事は「ガス式の方が運用コストは上がる」と言う。しかし、近隣への配慮や二酸化炭素の排出量など、将来に向けて同社が事業を継続していくための必要な投資だと語る。

 刷新に伴い、ボイラーを小型化して工場内に移設できたため、ボイラーが従来あった敷地に定番糸のストックヤードを年内に建設する。ストックヤードはこれまで少し離れた場所に借りていたため、加工スケジュールをより柔軟に組めるようになる。

 情報発信には現在も積極的に取り組む。インターネットでは会員制交流サイト(SNS)のほか、「社長ブログ」で産地内の幅広い情報を発信している。

 現在、同社の従業員は約30人、年齢構成も20代から80代まで良いバランスだと言う。甚野代表理事は「『阪南チーズなら何でもやってくれる』と言われることを目指してやってきた。その期待に応えられる体制が整ってきた」と自信を見せる。

社名:阪南チーズ染晒協同組合

本社:大阪府泉佐野市長滝448

代表者:甚野 祐宏

主要設備:チーズ染色機10㌔程度から500㌔まで計18台。ソフト巻き用ワインダー500錘、コーンアップ用ワインダー100錘、木管巻き用ワインダー100錘。自社ビーカー室完備

従業員:30人

(毎週金曜日に掲載)