繊維は新材料/テクテキスタイル2019⑩

2019年06月10日(Mon曜日)

自動車資材は幅広い

 産業用繊維や不織布で、自動車資材は大型用途の一つとしてその重要性は高い。日本で使われるナイロン66長繊維はエアバッグやタイヤコードが大半を占め、ポリエステル短繊維は不織布の原料として、その多くが自動車資材向け。それも内装材だけではなく、防音材やフィルターなどさまざまな部品に使われる。本連載の1回目に紹介した合成皮革製造の加平(大阪府泉佐野市)はカーシート地用新合成皮革「DECO(デコ)」に絞って提案。「テクテキスタイル2019」でも日系企業の自動車資材に向けた繊維や不織布の提案は少なくなかった。

 帝人フロンティアが昨夏、約1億2500万¥文字(G0-ACAC)を投じて買収したドイツ・ジーグラーもその1社。ジーグラーは、欧州を中心に自動車向けの内装材や吸音材を製造する。ドイツ3カ所、さらにハンガリー、中国にも生産拠点を持つ。2017年12月期の売上高は6900万¥文字(G0-ACAC)。

 ジーグラーを担当する帝人フロンティア・産業資材部門の柿原宏充短繊維素材本部長補佐によると、「電気自動車の進展に伴って低周波の吸音材が求められており、帝人グループの原料と組み合わせて新しい吸音材の開発を進めている」と言う。電気自動車ではエンジン音がしないため、地面とタイヤが接地するロードノイズが今まで以上に聞こえやすくなる。このロードノイズをいかに吸音するかは自動車メーカーにとって課題の一つとなっている。

 もう一つ、ジーグラーで興味深い商品を紹介された。カーシートの支持材だ。カーシートの最高級は本革。欧州は特に本革が多い。その本革は品質面ではバラつきがある。「B格でもA格のように使える」ようにするのがこの支持材になる。特に湾曲部分にB格品を使うとシワになるなどのトラブルが生じる。これを防ぐのが支持材。不織布だけでなく、テキスタイルなど物性、部位に応じてさまざまに組み合わせながら、本革に応じた支持材を供給できるのがジーグラーの強みと言う。自動車資材が幅広いことがよく分かる。

 今回展では単独ブースを構えたジーグラー。次回は「グループとして共同出展を検討する」(宮堂倉一執行役員産業資材部門短繊維素材本部長)。その際、帝人の原料とジーグラーのコラボレーションがいかに進展しているのか注目される。