繊維は新材料/テクテキスタイル2019⑭

2019年06月14日(Fri曜日)

ニッチな高性能繊維

 難燃性や耐熱性などが特徴の高性能繊維として、思い浮かべるのは、消防服に使うメタ系アラミド繊維、焼却場のバグフィルター(ろ過布)が主力のポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維、フッ素繊維、ポリイミド繊維などだろうか。

 そのどれでもない高性能繊維がある。東証一部上場企業である群栄化学工業(群馬県高崎市)が製造するノボロイド繊維「カイノール」だ。フェノール樹脂を原料とするカイノールは一般的ではない。しかし、特殊用途での認知度は高く、特に直接、間接含めた輸出比率は60~70%と海外が主戦場。このため「テクテキスタイル」にはドイツの販売子会社、カイノール・ヨーロッパが継続出展を続ける。

 独特の金茶色からなるカイノールは、難燃性の基準であるLOI(限界酸素指数)が30~34%。これは難燃性が特徴のモダクリル(26%)、メタ系アラミド繊維(28%)を上回る。耐熱性も300℃と高く、150~250℃領域では長時間安定性を持つ。

 また、炎に当たっても炭素化するのみで溶融しない。燃焼しても有毒ガスは発生せず、煙が少なく、耐薬品性にも優れる。熱伝導率も小さいため、断熱性が高く、極低温(マイナス192℃)に耐える。

 こうした特徴を生かし、防護衣料、航空機の内装材用など防炎用途を主力とするが、今回展では「既存の需要家だけでなく、インドの綿紡績からの問い合わせが多かった。彼らも高付加価値化を図っているようだ」と新顧客開拓に手応えを得た。

 防炎用途だけではない。カイノールを炭化させた炭素繊維や、賦活化(吸着効率を高めるための化学的または物理的な処理)することで活性炭素繊維にもなる。

 炭素繊維ではシール材や摩擦材、活性炭素繊維では浄水フィルターや溶剤回収装置などに使う。「環境規制強化を背景に昨今は中国からの活性炭素繊維の問い合わせも増えている」。この活性炭素繊維や航空機用の好調を背景にこの1~2年、年産600㌧の生産設備はフル稼働にある。

 繊維には綿、ウール、ポリエステルなど汎用繊維だけでなく、一般的には知られていなくても、ニッチ市場で特徴を生かし活躍する素材はある。カイノールはその一例。繊維は奥深い。