メーカー別 繊維ニュース

環境特集(2)

2019年06月17日(Mon曜日) 午後5時4分

〈環境配慮型の提案広がる/企業姿勢もアピール/商社の20春夏素材〉

 商社の20春夏向けの展示会では、各社がサステイナブル(持続可能な)に関連する素材を強く打ち出した。

 日鉄物産は、5月下旬に「20春夏レディス合同展示会」を都内で開き、開発や調達を進めてきたサステイナブル対応の生地を披露した。

 「エス」はレンチング社のリサイクルリヨセル「リフィブラ」とペットボトルを再利用したマイクロポリエステル原料を毛羽の少ない「ボルテックス」渦流精紡で糸にしたエシカル素材。布帛と丸編みで展開する。

 ニットでは、キュアテックスとの協業でマニラ麻100%の和紙糸を打ち出す。ナイロンや綿と撚糸するタイプもそろえた。

 「ハウストンオーガニック」は、中国新疆地区の超長綿をコンパクトスピニングで紡績したオーガニックコットン。ソフトで膨らみがあり、シルクのような光沢を持つ。

 三井物産アイ・ファッションは、19秋冬向けからニュージーランド産メリノウールを使った自社ブランド「アニュアル」を展開する。「毎年の」を意味するブランド名には、長年着用できるような品質にこだわるサステイナブルの精神を込めた。20春夏素材展示会では、サマーセーターを提案した。

 「ワクロス・ハイブリッド」は、紙糸から作ったフィラメントファイバー。吸湿・放湿性などの機能性に加え、人体と環境に優しい点も打ち出す。

 クラッシュリネンは、乾燥状態の原料から繊維を取り出す手法で作る開発生地。麻でありながら綿ライクの肌触りと防シワ性を発揮する。

 豊島は、素材作りに対するサステイナブルな姿勢を「MY WILL(マイ・ウィル)」という言葉で表現し、事業展開する。

 新たなコットンの軸としてトルコ産オーガニックコットンを打ち出す。トルコ西部のイズミル地方にある農場と日本国内での独占販売契約を結んだ。この農場は紡績まで手掛けるため、トレーサビリティー(追跡可能性)が確かだと言う。

 「サステイナブル・デニム」は、製法から環境負荷低減にこだわる。レーザー加工やオゾンウオッシュを活用し、水の使用量を約85%も削減した。ストーンウオッシュで使う軽石も、オリーブの種を代用。緯糸には、トルコ産オーガニックコットンの落ちわたを利用している。

 蝶理は、6月上旬に都内で開いた20春夏総合商談会で、ファッションとエコロジーの共存を訴えた。

 「エコブルー」は廃棄されたペットボトルを100%使った再生糸。国内で回収された透明度が高いペットボトルを使用する。「リカバー」は、裁断くずを原料とするリサイクルコットン。リサイクルペットボトルやオーガニックコットンとの組み合わせも提案する。「エコディア」は、サトウキビ廃糖蜜を粗原料とする植物由来エチレングリコールと石油由来テレフタル酸を重合・溶解紡糸した部分植物由来ポリエステル。この3素材を環境配慮型商材の主軸に据え、ファッションに訴求する。

〈エコ素材使用例が増加/CSR憲章で方向性示す/アパレルの19秋冬企画〉

 ファッション業界の世界的潮流であるサステイナビリティー(持続可能性)を背景に、アパレルの19秋冬企画では、サステイナブル関連素材を使用する例が増えてきた。日本アパレル・ファッション産業協会もアパレル業界の社会的責任への取り組みとして「CSR憲章」を策定。20春夏はさらにサステイナブル対応が広がるとみられる。

 サステイナブルを全社的に打ち出しているのは三陽商会。同社は地球環境に配慮した事業活動「シンク サステイナブル」に基づき、環境に配慮した原材料調達、元の製品よりも次元・価値の高いモノを生み出すアップサイクルなどに取り組む。

 19秋冬商材から全ての製品でリアルファー使用を禁止。子羊の臀部(でんぶ)の皮膚と肉を切り取らない伊ボット・ジュゼッペ社のノンミュールジングウールを採用するなど、アニマルウェルフェア(動物福祉)も進める。

 環境配慮型原材料調達では、「アマカ」が再生のグリーンダウンを採用。「エス・エッセンシャルズ」はオーガニックコットン、再生ポリエステルを使用する。「エポカ」では、再生ウール使用の新ライン「ラマリア イン カーサ」が9月にデビュー。「エヴェックス バイ クリツィア」はリサイクル原料を使用した中わたアウターを展開する。

 ヒロココシノインターナショナルの「ヒロココシノ」は再生ウール「オズミー」の天竺を提案。オズミーは大津毛織のリサイクルウール生地で、裁断残布を色ごとに集め、特殊機械でワタ状に戻し、再度紡績した原糸を使用する。

 イトキンの「クリスチャン・オジャール」は9月後半から、「持続可能な循環型ファッション」としてサステイナビリティーを訴求する。東亜紡織のオーガニックウール、オーガニックコットンを使用したインナーや羽織りアイテムを展開。フェイクファーや合成皮革のジャケット、パンツなども企画した。

 「ジャンニ・ロ・ジュディチェ」はウール不織布「ラバラン」を中わたに採用した。ドイツのウール加工業、バウアーフリストッフェ社が生産。ウールにポリ乳酸を混ぜて特殊な加工技術で不織布にした。ウール原料はノンミュールジングウールを使う。

 レナウンの「シンプルライフ」は8月にエコデニムを投入する。再生ポリエステル、再生コットンを原料に、生産工程でも節水を心掛けた。

 日本アパレル・ファッション産業協会は「人権や労働環境、環境破壊など企業の社会的責任は発注者であるアパレルの責任が問われる」と、「CSR憲章」を制定、工場監査など7項目で方向性を示した。「エコ素材は来春夏から使用」と言うブランドもあり、アパレルの対応が進みそうだ。