メーカー別 繊維ニュース

環境特集(5)/日々高まるエコへのニーズ/サステ素材を前面に

2019年06月17日(Mon曜日) 午後5時5分

〈キュプラで持続可能性深耕/旭化成〉

 旭化成が販売するキュプラ繊維「ベンベルグ」は、本来は繊維として使用されないコットンリンター(綿の種の周りの産毛)を原料とし、素材そのものがサステイナビリティー(持続可能性)を体現する。サステイナビリティーには生産体制や社会貢献でも取り組んでいるが、最近は染色加工での追求も脚光を浴びる。

 今注目されるのが、環境配慮型フィブリル加工技術「ベルティーンエボ」。加工時の環境負荷を大幅に低減できるのが特徴で、従来の加工法と比べ温室効果ガス排出量16・5%減、エネルギー資源総消費量21・0%減、使用水量19・5%減などを実現した(第三者機関の評価に基づく)。

 国際服地展「プルミエール・ヴィジョン」の2018年9月展でデビューしたところ来場者から高い評価を得た。世界の染色メーカーとコンバーター(日本2社、イタリア2社、トルコ1社、ポルトガル2社)で生産するが、取り組み先は順次拡大を図る。

 そのほかの取り組みを見ると、生産体制では工場電力の約4割を再生可能エネルギー(自社水力発電、バイオマス発電)とし、ゼロエミッション化も推進。社会貢献では中国やインドなどで人材育成を進めている。

〈来春夏から防透け婦人パンツ地/クラレトレーディング〉

 クラレトレーディングはペットボトル再生ポリエステルを中心とする環境配慮型の素材群「エコトーク」の全面的なリニューアルを検討しており、「機が熟したタイミングで一気に打ち出したい」との意欲を示している。

 昨年、マイクロプラスチック問題が注目されるのに伴い、「最近は再生ポリエステルブームのような状況を迎えている」と言う。

 これまでエコトークの用途はユニフォームや学販向けが中心だったため、丸断面のフルダル糸やセミダル糸で開発したテキスタイルを販売してきた。

 しかし、婦人ファッション系ユーザーからの要請に応える形で、このほど再生原料による「スペースマスター」をラインアップした。

 ユーザーが20春夏から店頭展開を開始する透けにくいレディースパンツ向けにスペースマスターによる中肉織物を投入する。

 バイオ由来の原料から製造するポリエステルの生産・販売も計画しており、現在は海外メーカーから購入するバイオチップでポリエステル全体の30%をバイオ化した商材を試験生産し、生産技術の構築を進めている。ノウハウを確立次第、設備の改造に取り掛かり量産へと移行。「エコトーク」シリーズの一翼を担わせる。

〈“シンク エコ”を前面に/帝人フロンティア〉

 帝人フロンティアは2013年11月に開催した総合展から同社の環境活動指針でもある“シンク エコ”をテーマに掲げるようになった。

 4カテゴリーでスタートさせ、今ではリサイクルの推進、植物由来原料の使用、省エネ貢献型製品、環境汚染物質排出低減、有害化学物質使用低減、オーガニックコットンの使用、気候変動への適用――という7カテゴリーに広げている。

 4月下旬に東京で開いた総合展では、シンク エコのコーナーを増強。再生ポリエステル「エコペット」のバリエーションを出展したほか、エコペットとポリトリメチレン・テレフタレート(PTT)繊維「ソロテックス」との複合企画、ソロテックスとオーガニックコットンとの複合企画などもそろえた。

 これまでは、スポーツやユニフォーム向けの販売を先行させてきたが、「ファッション素材にもサステイナブル(持続可能な)が必須になってきた」と見ており、エコ素材の基準を設定するとともに近々、独自ブランドとして打ち出す。

 サッカーJ1のガンバ大阪、FC東京とのコラボ、ライブイベント会場でのペットボトルのリサイクル、音楽フェスティバルへの協賛といったシンクエコ活動にも力を入れ、“地球環境に優しい企業を目指す”との方針を掲げている。

〈排水処理市場に本格参入/東洋紡STC〉

 東洋紡STCは昨年、水処理用MF膜「フィルプレート」の販売をスタートさせ排水処理市場に本格的に参入した。

 さまざまな業種の工場ではBOD(生物化学的酸素要求量)やCOD(化学的酸素要求量)の値が高い産業排水を処理するため、バクテリアを活用する活性汚泥法による設備が数多く採用されている。この場合、大きな設備が必要になるほか、処理水に汚泥が混じるという問題があったと言う。

 同社は処理水に汚泥が混じらないようフィルター機能を持たせたMF膜「フィルプレート」を開発し、昨年から投入。設計・施工・管理を担当するエンジニアリングメーカーとの連携で新規顧客開拓を進めてきた。

 活性汚泥法の設備の半分以下にコンパクト化できるほか、「長期間、ほぼノーメンテで運用できる」のがフィルプレートの特徴。

 既設の工場ならば、既存設備のスペースにフィルプレートによるユニットを2~3台導入し、処理能力を引き上げられる。新設工場ならば設置スペースを半分以下に抑えられる。

 フィルプレートを導入したユーザーからは汚泥を確実に止められる点が高く評価されているという。2019年度は活性汚泥による既存設備からの代替を推進し、「少なくとも20%の拡販を達成したい」との意欲を示す。

〈「エコユース」1.5倍に/東レ〉

 東レはグリーンイノベーション事業拡大プロジェクトを推進しており、全社売上高を2018年度の7869億円から19年度には9千億円に引き上げる。

 繊維事業ではこの間、ペットボトルからの再生ポリエステルやバイオ由来原料から生産するポリエステルの拡販に取り組んできた。

 昨年、マイクロプラスチック問題が浮上するに伴いペットボトル再生ポリへの引き合いが増えているといい、19年度はペットボトル再生ポリ「エコユース」の販売で1・5倍への拡大を計画する。

 これまでは短繊維中心の販売だったが、ユニフォーム、スポーツ、婦人、紳士、カジュアルなどのあらゆる用途にエコユースを売り込んでいくため、異型断面やカチオン可染、ハイカウントといった差別化長繊維の商品ライン拡充をここに来て加速している。

 そのためには、「奇麗な回収ペットボトルから作られるフレークが欠かせない」と言い、高品質のフレークを確保するための手立てを検討している。

 一方、バイオ由来ポリでは、原料の30%をバイオ化した「プライムフレックス」などを展開中。100%バイオ化を目指した開発も強化しており、生産技術の確立やコストなどを踏まえると、「具体化はもう少し先になる」とみている。

〈“トリプルアセテート”で「ソアロン」訴求/三菱ケミカル〉

 三菱ケミカルは、トリアセテート「ソアロン」を生産する富山事業所が森林認証を取得しており、ソアロンをサステイナブル(持続可能な)素材として打ち出している。

 特に、エコへの関心が高い海外市場での訴求を先行させており、2017年9月の「プルミエール・ヴィジョン」からアプローチに着手。欧州連合(EU)のメゾンなどでの販売実績を積み重ねてきた。

 国内でも昨年5月のテキスタイル展からサステイナブル素材としてのアピールに着手。今年5月には、ソアロンの持ち味であるサステイナビリティー、ファンクショナビリティー、クリエーティビティーを“トリプルアセテート”というコンセプトで打ち出す「大々的な販促活動」へと移行させている。

 最近の市場動向を「エシカルファッションへの注目度が高まる中、エコが浮上している」と見ており、ここに来て国内でもエコへの関心が高まってきていると言う。

 今後も国内外の展示会での情報発信、ストーリー作りを続行。100%使いの織・編み物「ソアロンTIS」を中心とするサステイナブル素材群を拡充するとともに、海外から引き合いが来ているというソアロンと再生ポリエステルとの複合素材開発にも取り組み、婦人服市場でサステイナブル素材としての認知度向上、拡販を目指す。

〈サステ推進グループ設立/ユニチカ〉

 ユニチカはポリ乳酸素材「テラマック」や再生ポリエステル「エコフレンドリー」による商品開発、販売促進に力を入れている。環境配慮型の取り組みを全社横断的に進めていくため、5月1日付で技術開発企画室傘下にサステナブル推進グループを新設。同室を4グループ体制に増強した。

 ここ約10年、大きな動きが見られなかったテラマックの販売。マイクロプラスチック問題が浮上するに伴い、昨年からテラマックも再び注目され始めた。

 現在の用途構成はざっと繊維が50%、不織布と樹脂が25%ずつ。ティーバッグ向け繊維や3Dプリンター向け樹脂の販売が安定的に成長している。

 繊維では、先にユニチカトレーディングがケミカルリサイクルによるポリエステルを冠ブランド・エコフレンドリーとして大々的に打ち出していくことを表明。ユニフォーム、スポーツ、婦人服向けに販売する特化素材を再生ポリエステルに置き換えていくための原糸・生地開発に力を入れている。

 マイクロプラ問題の解決に貢献していくためにも「生分解素材や再生ポリエステルを普及・浸透させたい」との意欲を示しており、2019年度からサステナブル推進グループによる取り組みを本格的に立ち上げた。

〈不織布製品の循環加速/レンチンググループ〉

 レンチンググループ(オーストリア)は、特殊不織布ブランド「ヴェオセル」でエコサイクルテクノロジーを導入した。衣料品の製造工程で発生した廃棄コットンをアップサイクルし、持続可能な形で調達された木材パルプと混合する。これによってヴェオセルブランドに使用する新たな繊維を作ることが可能になった。

 このエコサイクルテクノロジーは、レンチンググループが誇る効率の良いクローズドループ生産プロセスをてこ入れしたもの。循環型(クローズドループ)工程で溶剤と水の99%以上を回収・還元するため、水や溶剤の排出量は極めて低水準になる。蛍光染料の使用もなくしている。

 レンチングが生産する繊維は、再生可能な木材を原料とし、使用後の製品は生分解して自然に返るという大きな循環型経済を形成している。今回、新たな技術として原料の一部に、未使用のコットンをアップサイクルして繊維を作るテクノロジーを確立したことで、不織布製品の循環性がさらに高まる。

 同社は「循環型経済の推進は当社の長期的な主要戦略。今回の技術導入で、植物由来の素材の循環についての議論を深めるための新たなステップを踏み出せる」と語った。

〈革新プロセスで環境負荷低減/ダイワボウノイ〉

 ダイワボウノイは、1980年代からオーガニックコットンの活用やケミカルフリーの染色加工を実用化するなど環境を切り口とした商品開発に取り組んできた。これを発展させ、開発プログラム「エコロジー・サステイナブル・プロジェクト」を立ち上げた。商品の機能だけでなく、生産プロセスの革新も含めた環境負荷低減に取り組む。

 このほどカセイソーダを使用しない染色加工プロセスの開発に成功した。カセイソーダは、繊維の精練漂白や染液の調合などに幅広く使用されているが、使用済み溶液の廃棄には中和工程が必要なため廃水処理の環境負荷も小さくない。新プロセスは廃水処理で中和工程を省けるため、薬剤や水の使用量削減できるなど環境負荷低減が期待できる。綿などのセルロース繊維だけでなく、アルカリ性に弱いシルクやウールなどタンパク質繊維にも適用できる。

 そのほか、染色加工や機能加工では、安全性の国際的認証である「エコテックス規格」を全面的に導入している。加工剤の安全性には特に注意し、最適なものへの置き換えも実施した。抗ウイルス加工「クリアフレッシュV」の加工剤も有機化合物系から無機系に変更することで安全性を高めた。

〈SDGs目指す「エコテクノ」/シキボウ〉

 シキボウは商品開発・提案に国連が提唱する「持続的な開発目標(SDGs)」を全面的に組み込んだ。その一つとして1997年に立ち上げた「エコテクノ」ブランドを再編した。

 エコテクノはオーガニックや生分解性、リサイクルなど原料の特性に焦点を当てた「グリーンエコ」、生産プロセスなどでの環境負荷を低減する「アースエコ」、機能性や耐久性などで環境負荷低減につなげる「ブルーエコ」の三つのカテゴリーブランドで構成する。

 グリーンエコで注目なのが東南アジアに生息するエリ蚕の繭から採取するシルクを活用する「エリナチュレ」。天然のUVカット性や消臭性など機能面に加え、廃棄されていたキャッサバ芋の葉を飼料として再利用することや養蚕技術の提供、さらには東南アジアの農村部での雇用創出を目指す。

 アースエコでは、食品などにも使用される多糖類「トレハロース」を繊維に付与することで熱伝導性と放熱性を高めた涼感生地「トレハクール」、茶葉の抗菌作用を活用した抗菌防臭加工生地「チャバフレッシュ」、ヤシ油成分を活用した撥水(はっすい)加工生地「ヤシパワー」など多彩な機能素材をそろえる。校倉(あぜくら)造り構造織り組織の高通気生地「アゼック」はブルーエコとして打ち出す。

〈FSC認証を取得/オーミケンシ〉

 人と地球への「やさしさ」を第一の企業理念に掲げるオーミケンシ。昨年10月、主力のレーヨン素材でFSC認証を取得した。持続可能な森林から切り出した木材を原料に使っている証しであり、これにより同社の素材はより環境に配慮したものとして認知されるようになった。

 近年の世界的な環境意識の高まりに合わせて、レーヨンの生分解性を“さらにステージアップさせた”素材も開発中だ。昨年に立ち上げた「ホープ 極(きわみ)」ブランドから近い将来発売する。

 そもそも、国連のSDGs(持続的な開発目標)や地球温暖化、マイクロプラスチックによる海洋汚染といった問題が声高に言われるより前から、具体的な地球環境に配慮した取り組みに力を入れている。

 二酸化炭素排出量の削減はその一つ。90年から工場やオフィスでの排出量削減に乗り出し、直近の数値では90年比53%減と、実に半分以下にまで削減している。

 リサイクル素材の開発実績も豊富だ。木材を原料としない草本系レーヨン「リ・テラ」や牛乳パック、広島県の平和記念公園に捧げられた折り鶴を原料としたレーヨンなど本来廃棄されるものを繊維原料として再び活用する取り組みも行っている。

〈地球環境に優しい徳島工場/クラボウ〉

 クラボウの徳島工場(徳島県阿南市)は、操業開始以来、地球環境負荷低減型のモノ作りに取り組んできた。設備投資や新技術の開発・導入などを積極的に行っているほか、「ヒグ・インデックス」への登録・評価開始など次の目標も定めている。同時にライフサイクル全般を考えた商品開発を続けている。

 生産活動では地球環境保全のために四つの削減に力を入れた。1998年度比でCO2排出量を33・1%削減(2017年度時点。以下同じ)し、排水量は28・0%減少。指定化学物質取扱量は10年度比で58・5%減。ゼロエミッションも達成した。

 登録・評価を進めるヒグ・インデックスは、サステナブル・アパレル連合(SAC)が開発したサプライチェーンの環境負荷・社会的影響を自己評価するツール。そのほか主要素材での「エコテックス・スタンダード100」の認証取得、商品や生産プロセスでの有害な化学物質の排出ゼロを志向する。

 商品では環境配慮型の素材を多く開発。撥水(はっすい)加工素材「アクアマジック」はフッ素非含有ながら優れた性能を発揮する。防汚加工の「ステインマジック」、シワを抑える「リンクルマジック」などもそろえる。

〈パーソナルオーダーに広がり/セーレン〉

 セーレンが展開する「ビスコテックス」は、IT(情報技術)と一貫生産体制を融合して、「ほしいものを、ほしいときに、ほしいだけ」提案するデジタルプロダクションシステムだ。同社は、このビスコテックスを応用したパーソナルオーダーブランドの展開をB2CとB2Bの両面で強化している。

 ビスコテックスは、繊維一貫生産機能(原糸製造から編み・織り、加工、縫製まで)を活用した独自システム。自社開発のインクジェットプリンターを核に全行程をITで制御することで、短納期化と多品種・小ロット・在庫レス生産を実現した。水やエネルギーの使用量が抑えられるため、地球環境にも優しい。

 同システムによるパーソナルオーダーブランドが「ビスコテックス メイク ユア ブランド」。等身大モニターとタブレットを用いてバーチャル試着を行い、シルエットや色・柄、サイズなどを自由にカスタマイズする。組み合わせは47万通りに達し、顔映りやスタイルなど自分に合った“運命の一着”が作れる。

 福井店や大阪ヒルトン店、名鉄百貨店本店、電子商取引(EC)などで展開し、今年3月には新宿高島屋店をオープンした。新コレクションとして「エアーピース」の販売もスタートしている。新コレクションには、スポーツ衣料向けの素材技術を生かしており、軽量感や伸縮性、通気性、イージーケア性などを付与した。

 新宿高島屋店は、40~60代の支持を集め、「3月は想定を上回る出だし」(土居健人執行役員スポーツ・ファッション衣料部門ビスコテックス・ブランド事業部長)となった。スタイルアップできるシルエットや肌に合った色・柄の選択が画面上でできる(デジタルフィッティング)ことなどが魅力的だったようだ。

 ビスコテックス メイク ユア ブランドは、B2Cだけでなく、B2B展開も始めている。第1弾としてレリアンが「ハロー・マイドレス」に導入し、4月下旬から伊勢丹新宿店や博多阪急で、5月11日からジェイアール名古屋タカシマヤで販売を開始した。

 そのほかにも興味を示すアパレルやブランドが増えている。土居執行役員は「サステイナビリティー(持続可能性)とカスタマイゼーションの二つの観点で訴求し、さらに認知を高める。

 B2Bでは26、27日に東京都内で開催予定の展示会でソリューションを提案する」とした。海外市場での展開も視野に入れる。

〈植物由来の多孔質炭素材料開発/ソニー〉

 ソニーは、消臭をはじめとする多機能の発揮が期待できる炭素材料「トリポーラス」を独自開発した。特定の物質に対し、既存の活性炭よりも高い吸着量を発揮するほか、吸着速度にも優れている。衣類や布製品など幅広い分野での応用が可能で、今年からライセンスを始めた。

 トリポーラスは、もみ殻などの余剰バイオマス(再生可能な生物由来の有機性資源)から生まれた多孔質炭素材料で、独特の微細構造を持つ。通常の活性炭が持つマイクロ孔(2ナノメートル)に加え、メソ孔(2~50ナノメートル)とマクロ孔(1マイクロメートル)を持つ。

 従来では難しかった分子量の大きな物質を吸着し、有機塩化物や農薬などの低分子化合物に対する吸着スピードが速い。環境浄化フィルターやトイレタリー、化粧品などの幅広い分野での展開が期待され、衣料品や布製品では繊維への練り込みや後加工で応用できる。

 原料のもみ殻は日本で年間約200万トン、世界では1億トン以上排出されると言われ、余剰バイオマスを使ったサステイナブル(持続可能な)素材として国内外で関心が高まっている。トリポーラスのインド生産も視野に入れる。

〈高齢化社会問題の解決ねらう/ミツヤコーポレーション〉

 物流のミツヤコーポレーション(堺市)は、高齢化社会問題への対応をビジネステーマに掲げている。それを解決することは、人間社会のサステイナブル(持続可能な)対応であると見ている。

 2017年に本格化させた社内組織「ニオイエックスラボ」は、高齢者の臭い問題解決を目指す。衣類では消臭効果の高い植物由来多孔質炭素材料「トリポーラス」を活用することを決めた。それでも効かない場面では消臭スプレーで対応するという二段構えをとる。

 トリポーラスは、ソニーが発明したもので、それをレーヨンに練り込むことで消臭繊維に仕立てた。再生可能な生物由来の有機性資源である余剰バイオマス(もみ殻)を利用したサステイナブル機能繊維として使用する。

 汎用性を広げるため、通常のリング紡績糸のほか、コンパクト糸、「サイロスパン」糸の生産体制があり、渦流紡績の「ボルテックス」糸、コアスパン糸も開発している。こうした開発には協力会社の存在が欠かせない。同社がリーダーとなり、繊維原料メーカー、紡績会社、ニッター、織布企業、染工場、靴下メーカーなど繊維各業界との協力拡大を進めている。

 同社の源流をたどれば、江戸時代からの小幅織物晒。明治・大正・昭和まで、それはおしめに使われており、大便や小便を衛生的に処理する社会のサステイナブルな仕組みの一環として環境保持に役立ってきた。