イオン/ベトナムの調達4倍を視野/25年に10億ドル「可能」

2019年06月18日(Tue曜日) 午前11時51分

 イオングループは12日、ハノイで「イオン・サプライヤー会議」を開催し、イオンの日本店舗におけるベトナム産品の調達額を2020年に5億ドル、25年には現在の約4倍にあたる10億ドルへ引き上げる目標を掲げた。イオン執行役員で商品・物流担当の柴田英二氏は「達成できると確信している」と力強く述べ、「ベトナム・ファースト」で取り組む方針を示した。

 同グループの18年のベトナム産品の調達額の実績は、前年比8%増の265億円に達した。うち、プライベートブランド(PB)のトップバリュは25%増の89億円。カテゴリー別では、衣料品が146億円で全体の55%を占め、食品が65億円(同24%)、住関連が24億円(9%)、健康・美容関連が30億円(11%)だった。

 同社は昨年10月にベトナム商工省とベトナム製品の日本向け輸出拡大に関するMOU(覚書)を締結。MOUに基づき、対イオンの輸出額を20年に約2倍の5億ドル、25年に約4倍の10億ドルを目指し、商品開発を推し進める。

 「計画目標の達成は十分に可能」と語った柴田氏は、その理由にベトナムから日本への輸出額とイオンの日本国内におけるシェアを掛け合わせた試算をあげる。同試算によれば、18年時点で調達額が5億5千万ドルに上るとし、「(逆にいえば)現時点で5億ドルに達していないことが課題」との見解を示した。

 課題について同氏は「日本が求める品質基準への理解不足」を挙げた。例えば、マンゴーなどの果物は、本質の「味」以外に色や形といった「見た目」も品質として重要となる。ただベトナムでは浸透しておらず、結果的に輸入量が計画を下回ったことがあると言う。今後に商材ごとの課題解決を強化する必要がある一方、日本の消費者が「ベトナム産」に対してネガティブではないことが、拡大の上で好材料のようだ。

〈食品分野の拡大に意欲〉

 現在、ベトナムからの調達で最も割合が高いのは衣料品分野(売り上げ構成比の約11%)だが、「食品に伸び代が大きい」と柴田氏。18年の実績でも伸び率が24%(トップバリュは52%増)と最も勢いがある。イオングループの売り上げの7割を食品が占めていることからも、今後の期待が大きい分野。

 「ヘルス&ウェルネス」を戦略として掲げる同社は、オーガニック分野への参入を呼び掛ける。日本の農業が先細るなか、中国や米国、豪州からの輸入に頼る現状がある一方、売り上げ規模は既に1億ドル、2年後には5億ドルまで拡大させる計画。「ベトナムで生産したオーガニック野菜を最新の冷凍技術でフローズン野菜として輸出するなど、可能性が高い」(柴田氏)と述べた。

 イオンが13年に輸入を開始したベトナム産のパンガシウス(ベトナム名:チャー、バサ)は、19年の計画ベースで13年比の20倍に相当する100㌧、450万ドルに拡大する見込み。柴田氏は「(ベトナムには)5年で10倍、20倍が可能な実績商材が出てきている」と実績を例に期待を示した。

 このほか、昨年10月に発売したトップバリュの「フィッシュ・デリおさかな惣菜シリーズ」は、ベトナム産を含む実績商品の一つで、20年までに1億ドルの売り上げが見込まれる。食品以外では、キャリーケースの「スムーブ」が18年に670万ドルを売り上げ、前年比で47%に拡大。Yシャツは今年、前年比2倍増の200万ドルに達する計画。

 また、昨年にグループ傘下のイオンリテールが明らかにした各事業分野の分社化についても言及。25年に向けた成長目標を示し、拡大領域の指針を参加したサプライヤーや商工省幹部らに共有した。

〈「ベトナム・ファースト」明確に掲げ〉

 グループ横断で行われる同サプライヤー会議はこれまで、日本と中国(香港含む)、東南アジア諸国連合(ASEAN)で開催してきたが、昨年に初めてベトナム単独で実施した。今回で2年連続の開催となり、ベトナム戦略への意気込みがうかがえる。

 同会議には、イオン・ベトナムおよびイオン・トップバリュ・ベトナムと取引のある約240社が参加。地場サプライヤーからは「イオンのポリシーや商品戦略を基に、今後につなげたい」といった声が複数聞かれた。ある食品メーカーは「工場拡張のタイミングで具体的な開発計画を立てたい」と前向きだ

 柴田氏は「ベトナム・ファースト」を掲げ、ベトナムが最重要拠点であることを明確に表明。米中貿易摩擦をはじめとした世界情勢の中で同国の可能性を改めて評価した。「(グループ全体でも)ベトナムを戦略的に捉える意識が高まっている」。

 イオン・ベトナムは今年、ハノイ市ハドン区に5号店のオープンを控えている。同社の西峠泰男社長は、「年内の開業に向けて順調に準備が進められている」と明らかにした。

〔NNA〕