明日へ これが我が社の生きる道 染色加工編(24)

2019年06月28日(Fri曜日)

日本蚕毛染色 「洗えるシルク」で一丸

 日本蚕毛染色は「洗えるシルク」の拡販に力を入れている。わたの状態で染め、国内紡績の協力で糸にし、その糸を販売するもので、今後は生地売りも本格化する。糸売りは既に丸編み、横編み、織物向けなどで顧客を獲得しており、生地売り拡大にも不安はない。「商品の性質には自信がある」(冨部純子社長)ためだ。

 同社は1938年の創業。蚕毛糸、蚕毛生地の生産者として業界に独自の地位を確保し、海外販路も開拓した。しかし現社長である冨部氏が入社した2000年代初めの頃は苦境に立たされていた。染色事業は海外シフトの流れにあらがえず、受注数量、売り上げともに右肩下がり。財務状況も良くなく、赤字も幾度か出した。

 それでも「リストラはしなかった」。創業家である冨部家には「従業員に愛情を持って接するように」との家訓があった。業績回復のために着手したのは、徹底したコスト削減、環境配慮への投資、品質保証の取得、人事評価基準の変更などで「従業員の意識を変える」こと。加えて、機能性繊維事業の拡大に挑んだ。導電性繊維「サンダーロン」、抗菌防臭繊維「デュー」などの製品販売が軌道に乗り、業績は上向いていった。

 機能性繊維事業が拡大する一方、祖業である染色加工事業は低迷が続いていた。ポリエステル、ナイロン、アラミド、綿、麻、ウール、シルク、レーヨン、キュプラ繊維などを、わた染めを基本に染めることができるが、海外生産シフトの流れの中で、受注数量が大きく拡大することはなかった。

 こうした状況の中で生まれたのが洗えるシルク「セレーサカルメン」。2017年の開発成功と同時に、近畿経済産業局の「関西ものづくり新撰2017」にも選出され、同年に出展した展示会でも大きな反響を得た。

 「家庭用洗濯機で洗える」「アルカリ洗剤でも中性洗剤でも洗える」「色剥げ、縮み、風合い変化が起きない」といった特徴を持ち、特許も取得。国内紡績で糸にして糸売りからスタートすると、順調に販売量が拡大していった。同社が「今一番PRしたい商品」であり、大きく拡大した際に備えて生産背景も整えている。今後は生地売りも開始し、海外販路開拓にも着手する。

 冨部社長には「仕事をしていて楽しいと感じられる会社にしたい」という夢がある。売り上げも利益も必要だが、従業員の楽しさを奪ってまでそれを拡大したいとは考えない。03年に社長に就いたのは会社存続の危機から反転に向かう途上。その時に「一つになれる会社だと感じた」。洗えるシルクという柱商品が生まれ、全社一丸となってその拡販に臨み始めた今、その感覚はさらに強まっている。

社名:日本蚕毛染色株式会社

本社:京都市伏見区舞台町35

代表者:冨部 純子

主要設備:パッケージ染色機(オーバーマイヤー染色機)1㌔、20㌔、100㌔、300㌔、500㌔、チーズ染色機4台など

従業員:53人

(毎週金曜日に掲載)