産資・不織布通信①

2019年07月01日(Mon曜日)

衣料だけが繊維じゃない

 総務省の日本標準産業分類によると、繊維産業は化学繊維製造業、繊維工業(テキスタイル製造業)、衣服・身の回り品製造業(アパレル製造業)に繊維品卸売業・小売業を加えたものと定義されている。

 そのためではないだろうが、ファッション衣料を中心とした衣料品全般、少なくともインテリア・寝具寝装品を加えたものを繊維産業と捉える向きは多い。しかし、それらが繊維の全てではない。産業用繊維や不織布もれっきとした繊維の一つだ。

 日本を代表する自動車産業。その自動車には内装材からエンジン部品などさまざまな部位に繊維が使われている。日常生活では紙おむつや生理用品、夏に欠かせない制汗シート、美容のフェースマスクは不織布製だ。さらに医療の現場で使われるガーゼなど、産業資材や不織布の世界は裾野が非常に広い。

 その重要性が年々高まっている。例えば、日本化学繊維協会が毎年発表する化学繊維ミル消費量は、それを数値で示す。ミル消費量は糸・わたメーカーの国内生産から輸出量を除いた上で海外からの糸・わた輸入を加えたもの。国内の織り・編み物の糸・わた消費を示す指標とされる。

 その国内ミル消費量は2000年から17年の間で約17%減少した。これは日本の繊維産業の縮小を如実に表す。しかし、用途別では事情が異なる。衣料用は17年間で約56%減と大幅な落ち込みだが、家庭・インテリア用は4・0%増、産資用は0・3%増。つまり、衣料用以外は減っていない。

 用途別構成比率は、衣料用が18%に過ぎず、日本で消費される化学繊維の糸・わたの82%が非衣料向け。しかも、家庭・インテリア用には紙おむつなど衛生材料向け不織布用が約半分も含まれるため、衛生材料向け不織布と産業資材を合わせると全体の56%強が産資・不織布が占める。つまり、日本では化学繊維の6割弱が産業用織・編み物や不織布向けに消費されている。もはや国内で化学繊維を使用する主体は衣料ではないということだ。

 本連載では産業用繊維や不織布を手掛けるさまざまな企業を取り上げながら、衣料とは全く異なる繊維の世界を探る。

(毎週月曜日に掲載)