産資・不織布通信②

2019年07月08日(Mon曜日)

セーレン 車内装材が屋台骨

 産業用繊維の中で、量的に多い分野の一つが自動車だろう。中でも内装材は最たるものだが、その自動車内装材で真っ先に思い浮かぶ企業がセーレン。2019年3月期連結売上高は1227億円。その60%強を車輌資材事業が占め、自動車内装材はその主力で全社の屋台骨を支える。

 同社は全世界の自動車内装材で、15~16%のシェアを持つ最大手。日本以外にタイ、インド、インドネシア、中国、米国、メキシコの世界8生産拠点でさまざまな自動車内装材を生産する。自動車業界は100年に1度の大変革を迎えつつある。コネクテッド(C)、自動運転(A)、シェアリング(S)、電動化(E)の頭文字から成る「CASE」による変化も含めて、同社の自動車関連の研究開発を担うのが車輌資材部門の商品技術開発室。140人を擁する大組織で、さまざまな研究開発を手掛ける。

 そのCASEの一つ、自動運転によって内装材はどのように変わるのか。25年、30年にCASEが本格化するとされるが、「内装材はそれよりも早いスピードで進む可能性がある」(宮越新司商品技術開発室長)とみる。大型ミニバンであれば約10平方㍍の内装材を使う。自動運転技術の進歩により車内空間の快適性を求める動きは増す。くつろげるリビング感覚の内装材イメージが浮かぶ。

 こうした動きは「当社にとってプラスに働く。付加価値品のニーズが高まる」としてファブリック、合成皮革とも快適性を重視した内装材開発を進めており、自動運転化で「できれば使用量を現状比15%増やしたい」と期待する。

 ただ、従来と異なる手法による開発品は「内装材に求められる物性を両立させる難度も高い。それに応えられるかどうかがポイント」。コスト問題も当然ある。さらにリビング感覚も人それぞれ。好みも違うだけに、いかにカスタマイズできるかも課題になる。車種ごとのアプローチも異なる。日常の足である軽自動車に、大型ミニバンほどのリビング感は求められない。

 CASEへの対応は現状「何が正解か、今は分からない」。ただ、後れを取るわけにはいかない。エレクトロニクス事業など他事業とも連携も強化しながら、自動運転以外のCASEをにらんだ開発も行う。(毎週月曜日に掲載)