明日へ これが我が社の生きる道 染色加工編(26)

2019年07月12日(Fri曜日)

エイチ・スケッチ 手捺染設備を3倍に 

 手捺染の市場規模は縮小していると思われがちだが、増加する注文に対応するために生産設備を3倍に増やした工場もある。Tシャツなどの縫製品にロゴなどを手捺染しているエイチ・スケッチ(大阪市東成区)だ。

 扱っているのは、プリントまでを中国で一貫生産することが可能なように思える製品だが、短期間で調達する必要がある場合は国内で作らざるを得ない。同社はこのニーズに対応している。納期は2週間が基本。自社工場を持つため、サンプルは1、2日で提供できる。

 例えば、複数のアーティストが参加する音楽イベント。この種のイベントでは出演者がギリギリまで確定しないことが少なくない。この場合、イベント用Tシャツを短期で仕上げてくれる同社の出番となる。

 プロ野球選手の背番号を公式Tシャツにプリントしてもいる。この種の製品は、選手の活躍次第で売れ行きが大きく変わる。短期間で調達することが重視されるため、同社に依頼が来る。年度末を控えた企業から、予算消化のために社員用パーカーを年度内に納品してほしいとの依頼もある。

 同社は、平波信幸社長(49)の父親がTシャツの手捺染工業とし大阪市城東区で創業。平波社長は大卒後、婦人服製造卸勤務を経て、1995年、25歳の時に入社した。当時、同社の顧客が捺染拠点を中国に移したことで注文が減少していた。やがて、主力顧客の一つが倒産。資金繰りにも苦慮するようになる。

 事態を打開するために平波社長は10年ほど前、「どこよりも安く、かつ短納期にもできるだけ対応する」方針を打ち出し、注文を得るために走り回った。「人とのつながりを大事にしてきた」ことが奏功し、倒産した顧客企業の社員の転職先からも、注文が入るようになる。

 このような営業努力の結果、シルクスクリーンプリント用製品台50面規模の城東区の工場だけではさばけなくなり、東成区に工場を新設した。これにより生産設備は両工場合計で150面規模になった。従業員数はパートを含め25人。平均年齢は30代前半と若い。

 現在の主要顧客は15社。たまに注文が来る会社を含めると、300社以上の顧客がいる。今後について平波社長は、「当社は顧客のプリントデータを蓄積しており、顧客が望めばいつでも同じ図案のプリントが可能だ。人手不足と働き方改革の進展で、顧客の外注ニーズが増えるにつれ、当社のこの機能への評価が高まるはずだ」とみている。

社名:株式会社エイチ・スケッチ

営業事業所:大阪市東成区東小橋1―8―19

代表者:平波信幸

主要設備:シルクスクリーンプリント用製品台150面、製版機1台、ミシン1台、インクジェットプリント機1台

従業員:パート含め25人

(毎週金曜日に掲載)