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スクールスポーツ/自社ブランド強化の動きじわじわ/素材の独自性と新たなデザインで

2019年08月14日(Wed曜日) 午後3時46分

 大手学生服メーカーのスクールスポーツ事業は、ライセンスブランドによる商品展開に加えて、自社ブランドを強化しつつある。市場でのシェアを広げる中、次の成長を見据えた戦略を描く。(秋山 真一郎)

 学生服メーカー大手3社のスクールスポーツ事業は2019年の各決算期、前期比で増収を見込む。春の入学商戦で新規採用校を堅実に獲得した。明石スクールユニフォームカンパニー(明石SUC)の「デサント」、トンボの「ヨネックス」は新規採用校としていずれも100校を獲得。累計採用校ではデサントが1800校、ヨネックスが千校を突破し、ライセンスブランドが採用校の獲得に貢献した。

 ただ、「1ブランドで累計千校の獲得が限界」といわれたライセンスブランドで「どこまで伸びるのか」との声も少なくない。少子化で市場縮小の中でも成長を描くため、改めて自社ブランドによる商品開発に力を入れる。

 トンボは「ビクトリー」ブランドの「ピストレ」が堅調に販売を伸ばしている。ウオームアップウエアとしての「ピステスタイル」に着目した体操着で、素材には独自開発した「ピステックス」を採用。防寒・防風性に優れるほか、撥水(はっすい)や寒冷地向け肉厚起毛などラインアップも充実していることから全国へ採用校も広がってきた。

 素材の独自性と新たなデザイン性で、自社ブランドの企画力の向上にも取り組みつつある。菅公学生服は、今入学商戦から「カンコープレミアム」を打ち出した。防風や保温、耐久、軽量性能を持つオリジナル素材「グランガード」を採用。スポーツブランドにも負けない機能性やデザインが評価され、今入学商戦では中学校を中心に約60校が採用。うち9割が新規校で、来入学商戦へ向けても「今春並みに採用が決まってきた」と言う。

 来入学商戦に向けては小中学校をターゲットにした「カンコーノームコア」を投入。スタイル、素材、2次加工マーキングシステムの3段階の選択によって学校に合ったウエアの供給ができる。

 明石SUCは来入学商戦から自社ブランド「アスリッシュ」の販売を本格化する。体操服だけでなく、課外活動などの校外着としても着用できる新たなカテゴリーを意識した。

 Tシャツにポリエステルの撥水(はっすい)糸を使用し、汗染みや蒸れを防止。トレシャツやトレタイツにはダンボールニットを採用することで保温性を高めるなど、シンプルなデザインに加えて機能性も兼ね備え「中学・高校で引き合いが増えてきている」(前田健太郎営業本部スクールスポーツ部長)。

 菅公学生服、明石SUCがシンプルでありながらもスタイリッシュな印象のウエアを打ち出す一方で、トンボは美咲工場(岡山県美咲町)に昇華転写プリントの設備を持つ強みを生かし、他社に表現できないデザイン性でシェアを拡大。「ピストレと昇華転写プリントの2本柱で提案を強める」(営業統括本部の河本光正スポーツMD本部長)

 スクールスポーツ市場も学生服と同様に寡占化が進む中、安定供給できる生産体制も重要になってくる。トンボは昨年、トンボ倉吉工房スポーツ館(鳥取県倉吉市)を開設。初年度に計画していた年間4万点の生産量を上回るなど順調に生産数を増やしている。2年目は倍増近くまで増やし、自社比率を高めることで納期対応力を強める。