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この人に聞く/フルカイテン 社長 瀬川 直寛 氏/AIで過剰在庫を早期発見

2019年08月16日(Fri曜日) 午前11時14分

 アパレルの在庫処分に消費者の厳しい目線が注がれるようになった。ITベンチャーのフルカイテン(大阪市福島区)は、人工知能(AI)を駆使した在庫管理サービスで、企業の適正在庫と業績向上の両立を支援する。事業スタートから2年足らずで大手でも導入企業が相次ぐ。瀬川直寛社長に同社のAIがどのように在庫削減に貢献するかを聞いた。

  ――貴社のAIについてお聞かせ下さい。

 当社のAIはSKU(商品管理の最小単位)ごとの過去数年分の膨大な仕入れデータ、販売実績から、現時点の在庫がこれからどの程度売れるかを予測します。そして今後も売れ行きの悪いものを「不良」、売れ残るであろうものを「過剰」、売れ行きが良いものを「フル回転」と分かりやすく分類します。今年秋には販売実績のない新商品への売れ行き予想もできる機能を追加する予定です。

  ――AIが予測することのメリットは。

 革新的なのは、過剰在庫が一目で分かるようになったことです。従来の人間による一握りのデータや勘、経験則に基づく判断では、数多くあるSKUの中から、過剰在庫を見極めるのは難しいことです。そして、この過剰在庫の行方が業績の良しあしを決めることが多いのです。当社のAIなら、SKUが何十万点あっても、何が過剰かすぐに分かり、早い段階で売るための対策を講じることができます。そうすれば不良在庫化を未然に防ぎながら、同時に業績向上を実現できます。

  ――AIの予測は当たるのでしょうか。

 AIの判断に高い精度を求めることには無理があると考えています。物の売れ行きには、競合他社の方針、天候、政治・経済の情勢など、予測不能な要素が多いからです。

 スタートアップ企業である当社のAIが大手でも導入されているのは、AIの予想に限界があるという前提に立った、現実的な業務支援システムだからです。予測の対象を在庫に絞って毎日、過去と日々加わるデータを基に予想し直すことで、誤りを最小限にします。

  ――導入実績は。

 2017年11月のシステムリリース以来、アーバンリサーチ、カイタックホールディングス、ジュン、キャサリンコテージ、丸高衣料、アシックスジャパン、マドラスなど約40社に導入していただいています。

 大量生産し、安く売って、余れば捨てるというビジネスモデルは終焉(しゅうえん)に近づいています。消費者が必要とするものが過不足なく適正な価格で行き渡るというのがこれから目指すべき消費社会ではないでしょうか。当社の事業は利潤の追求にとどまらない社会的な要請でもあると考えています。