タイ東レグループ/再編機に商品高度化/製販双方で相乗効果追求

2019年08月22日(Thu曜日) 午後4時36分

 タイ東レグループは、繊維事業の会社再編を機に、商品高度化と新商流開拓を加速させる。短繊維紡織加工、長繊維織布加工、エアバッグ基布製造のラッキーテックス〈タイランド〉(LTX)とポリエステル・レーヨン紡織加工のタイ・トーレ・テキスタイル・ミルズを統合し、新会社トーレ・テキスタイルズ・タイランド(TTT)が7月1日発足。長繊維製造のタイ・トーレ・シンセティクス(TTS)との2社体制とした。

(バンコクで泉克典)

 TTTは前身2社の幅広い素材群を生かす製販連携体制の確立、TTSは衣料用繊維の商品高度化に取り組み、連携してタイ内外で拡販を目指す。

 在タイ国東レ代表であるトーレ・インダストリーズ〈タイランド〉の髙林和明社長は、2019年度(20年3月期)上半期を「米中貿易摩擦による景気減速にバーツ高が重なり環境は厳しい。グループ全体で売り上げ微減の中、コスト削減で業績は前年並みを維持できた」と総括。タイの経済情勢を「成長鈍化の難しい局面。消費地としての魅力も小さく、労働集約型から高付加価値型への転換期」と見る。今後の課題につき、「内販で高額品を伸ばす余地はあるが、ASEANのハブとして輸出拡大も必要。TTT設立が拡販への鍵」と言う。

 TTTの前川明弘社長は「得意分野、顧客層の異なる両社が客先・素材を共有し、ワンストップ型で自販の提案の幅を広げる」と統合の狙いを話す。「合繊長繊維から綿100%素材も含めた衣料用織・編み物、資材織物まで手掛ける世界一の総合テキスタイルメーカー」を掲げ、社内組織再編と工場間交流に着手。素材別縦割りの営業体制を日本、欧米、タイの仕向地別に再編し、各部署に製販連携を担う素材別の事業責任者を置いた。

 長・短繊維の準備・織布設備、織・編み物双方の染色設備を活用して開発面の相乗効果も追求。例えば、長短交織品の開発を強化し、東レの機能製品事業部とも連携し、ワーキング向けを中心にユニフォームアパレルにアプローチする。LTX旧来の顧客の欧米アパレルへもシャツ地で脱定番を志向し、綿100%品も含めた高度化を提案する。

 策定中の次期中期経営課題でも、樹脂加工機など染色仕上げ工程の設備投資を盛り込み、もう一段の生産品高度化を図る。「合併前の両社合計比で2025年時点での営業利益倍増」を目標に掲げる。

〈TTSも糸加工で商品高度化〉

 TTSも、糸加工設備の充実で高付加価値化が進む。DTY加工設備はポリエステル用に続き、ナイロン用も導入。特殊な巻き取り装置も導入した。「細かな特品化の要望に広く応える態勢へ転換し、現在、衣料用ではポリエステル、ナイロンとも生産量の半分が加工糸になった」(奥村由治社長)

 産業用では漁網用で苦戦が続くナイロン6での「脱漁網」が課題。日系コンバーターとの取り組みを強化し、タイヤ部材など車両用資材の開拓を進める。日系自動車メーカーの現地生産拡大に呼応し、日本生産の部材のタイ移管にも取り組む。