共同開発の行方は YKK×JUKI (前)

2019年08月27日(Tue曜日)

熟練工に依存しない生産

 「熟練した縫製工が減り、若い人材も入ってきにくい。将来を見据えれば、技術に依存しない問題解決への取り組みが必要だ」。JUKIの本間君雄縫製機器&システムユニットプロジェクト主管は、YKKとの共同開発の背景をこう説明した。YKKとJUKIは2017年1月から両社の技術や知識を活用したミシンやファスニング製品の共同開発を進め、「ジーンズ用ファスナー縫製合理化装置」を3月に、テープのない新ファスナー「エアリーストリング」を7月に開発したと発表した。業種を越えたコラボレーションの行方を探る。

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 共同開発の第1弾となったのが、「ジーンズ用ファスナー縫製合理化装置」。ジーンズが全自動で完成するわけではない。ファスナー付けの作業を合理化した。

 ジーンズはジッパーを表から見えないようにするフライ(比翼)仕立てになっている。この生産工程は左前立サージング(ほつれ防止の縁かがり縫い)↓糸カット↓ジッパー縫い付け↓ジッパー止め縫い↓糸カットという一連の作業があり、これを自動化したもの。この工程に要する人員6人を1人に減らすことができると言う。

 裁断後のフライを自動供給する装置、自動フライ縫製機、エレメント(務歯)を取り除いて隙間を作るスペーサー機、スライダーを通して上下止めを取り付ける装置、ロボットアームを利用した自動カーブサージング機などが連結されたシステムである。

 「縫製工場は作業環境も違うし、人のレベルも異なる。ファスナー付けを合理化できれば、生産性も向上し、納期面でもプラスになる」(本間主管)とみる。

 この作業ではYKKはファスナーを200㍍のチェーンで納入する。ジーンズで約1500本分に相当する。本田孝一執行役員ファスニング事業本部フィールドテクノロジー戦略室長は「1日に8千~1万本以上生産するグローバルな大手工場に向く。ファスナー縫製の合理化に加えて、ファスナーの発注、在庫管理など業務全体に関するソリューションも提案していく」と話す。この共同開発体制は第2弾のテープにない新ファスナーへと進んだ。