産資・不織布通信⑧

2019年09月02日(Mon曜日)

三井化学 産業材向け不織布強化

 三井化学は2019年4月、産材開発室を発足させた。産業材向け不織布の開発強化の一環として立ち上げた組織で、衛生材料用途で培った技術を生かす。自動車から産業資材、フィルター関連まで幅広い用途に狙いを定め、長期経営計画の着地となる25年度には、衛生材料用途と並んで不織布事業に大きく貢献する分野に育てる。

 不織布市場での産業材について不織布事業部は、「ニッチマーケットが集積し、さまざまな領域・用途で成長が考えられる分野」と位置付ける。同時に「(産業材は)変化も速く、スピード感のある商材開発が必要になる」と強調。研究開発とマーケティング戦略立案の両面で産材開発室に期待する。

 衛生材で培った技術とノウハウを生かして商材開発・用途開拓を進めるが、中心になるのはスパンボンド不織布(SB)とメルトブロー不織布(MB)の展開。SBは極細繊維や中空構造技術を自動車向けの吸音材などに落とし込む。MBでは、ポリオレフィンの極細繊維を使った「シンテックスnano」を商品化しており、高性能ろ材として提供する。

 自動車やろ過フィルター関連に加え、農業資材、医療(ドレープや手術着など)、アクティブシニア向け商品、次世代のIC製品・IoT製品などにも目を向けている。不織布製品に求められる機能や品質は高度化が進んでいることから研究・開発でそうした流れに応じる。用途の探索についても積極的に取り組む。

 産業用向けの不織布の生産は、グループ会社であるサンレックス工業(三重県四日市市)がメインとなるが、将来的な話として海外の拠点での製造も視野に入れている。設備投資についても「研究開発と生産能力強化を目的に、必要に応じて順次実施する」とし、「産材開発室の人員拡充」も推進する。

 産業材向けの不織布の需要は、ASEAN地域を中心に堅調に推移している。不織布事業部は「ポートフォリオを強化することで産業材のプラットフォームを構築する」と話し、「25年度には産業材が量的に拡大し、貢献度も衛生材料と並んで大きくなる」と展望する。

 紙おむつなどの衛生材料については、製品の品質やブランドへの信頼度が高い日本製の需要は必ず戻るとし、柔軟高強度不織布「エアリファ」を中心とする高付加価値品の提案を継続的に強化する。エアリファは柔らかさと強さを兼ね備えた高機能不織布で、日本とタイ、中国の3極で生産体制を整えている。

(毎週月曜日に掲載)